第151話
半日の講習が終り。俺達は早速購入した魔道具に乗ってヤゴニャに向かっていた。
「かなり速いなこれ。」
「時速80キロくらいは出ていますわ。」
「これでまだ余力が在るんですから凄いですね。」
「あばばばばば、運転結構怖いです!!」
今運転してるのはクリン。慣れる為に交代で運転する事にした。
「あはははは、はやいはやーい!!」
「シアちゃんの機嫌が直って良かったですね?」
「あれはマジで死ぬかと思いました・・・。」
「全面的にルドさんが悪いんですわ。」
「すんません・・・。」
なぜこのような会話をしているのかと言うと、俺がシアを呼び出すのを忘れてたんです。ギリギリまで実を作りたいと言ったシアは城塞都市にずっと居て。他のメンバーと合流する時に俺が友魔の鈴で呼び出す事になっていた。
でもいつまで経っても呼ばれないもんだから俺にチャットを送って来た所、すでに顔合わせは済んでいてさらには移動用の魔道具の購入まで終わっていた。
慌てて呼び出した俺の前でシアは除け者にされて寂しかったと泣き叫ぶは暴れるはでもう大変だった。王都の外で呼び出して良かったよ・・・・。最後にはシアの行きたい場所に皆で今度出かける約束をして何とか泣き止んでくれた。いや、本当にごめんなシア?
「ぱぱはやくそくやぶったからゆるしません!!」
「こんどテッタと行った喫茶店連れてってやるから。許してくれよシアぁ~。」
今俺はご機嫌取りをする為に、シアに肩車をしている状態だった。俺達の話を聞いてシアは俺の頭をバンバン叩く。
「おおもりじゃんぼぱふぇをきぼうします!!」
「DXフルーツ山盛りクリームパフェを買ってやろう!!」
「しょうがないなぁ~。ゆるします!!」
ひょこっと俺の目線にシアの顔が下がって来る。危ないから辞めなさい。落ちても知らないぞ?
「ふふふ、シアちゃんも可愛いですね。」
「こういうのはちょろいって言うんですわ。」
「頼むものが大きなボウル一杯のパフェじゃなければのほほんとする会話なんですけどねぇ~。」
シアに許して貰うならそれくらい構わん!!ペロッと食べちゃうだろうからな。それよりクリン、ちゃんと前見て運転しろよ?いま行商のおっちゃんが腰抜かしてたぞ。
「あら?あれがヤゴニャじゃないですか?」
「おっ?もう見えたのか?」
「えぇ~、もうついたのぉ~?」
「やっぱり速いですわね。3時間も掛かってませんわよ。」
「あっすみません、いつの間にか150キロくらい出てました。」
「「「スピードの出し過ぎだ!!」」」」
途中で運転は変わろうと言ったでしょうが!!俺も運転したかったのに!!
ヤゴニャにちょっと寄って転移ポータルを登録しようって話になったんだけど、まぁ怪しいものが爆走しながら近づいてきたらこうなりますわな。
「貴様等何者だ!!」
街の入り口の前で兵士達がこちらに向かって槍や杖を構える。お仕事に一生懸命取り組んでいて何より。さて胸元のバッチを取り外して掲げて、自分の身分を明かしますかね。
「城塞都市ルド守備隊第5隊長のルドだ!!城塞都市よりの書簡をソノーハ魔道国に届ける道中である!!物資の補給がしたい!!街に入る事を認められたし!!」
「・・・・・。確認しました!!任務ご苦労様です!!どうぞお通り下さい!!」
うん、こういう時って立場は便利だね。これが只の旅人のギルドだったら色々聞かれたんだろうなぁ。バッジ様様だ。
「ふわぁ~。いいにおい~。」
「腹減るなあ。」
街に入るとそこは大通り、色々な店が立ち並んでいてとても賑わっている。屋台なんかも出ていて、そこから焼けた味噌の様な匂いが漂って来ていた。
「隊長さん、家の味噌カツはうまいよ!是非食べていきな!!」
「うちのパンにはさむと最高だぞ?どうだ1つ!!」
「じゃあ両方貰おうか。パンにはさんで渡してくれ。10個頼む。」
「「あいよっ!!」」
丁度お腹も空いてたって事で出来た手を頂きます!うーん、こってりしたみそにカツのジューシーな肉汁がたまらん。柔らかなパンが味噌と肉汁を受け止めてこれもうまい。
「こういう所が憎い演出ですわよね。」
「地方に行かなくても美味しい物が食べられるもんね。」
「おいし~い。」
「そのうちリアルでも食べたくなって取り寄せたりするようになるぞ?ふと食べたくなるんだよなぁ。知らなかったらそうはならん。」
「あるあるですよねぇ。ゲームの中で食べてリアルの方が気になって買っちゃうって。」
味噌カツサンドを食べながら通りを進む。入る時に補給なんて言ったけど別に必要な物なんて無いしな。ちょっと街の様子を見たかっただけだ。味噌カツサンド買ったから補給も嘘じゃなくなったしな。
「どうする?先急ぐか?」
「そうですね。食料を買い足して先に行きましょう。」
「回復アイテムなんかも使わずにここまで来れちゃいましたしね。」
「この先から魔物の出現が増える様ですわ。慎重に運転して下さいまし。」
「ごーごー!!」
と言う事で運転手は交代して俺!!せっかく買ったブリンガーが壊れるのは嫌なのでこっそり転痛を使ってたりする。
「よっしゃ。それじゃあ行くぞー。」
「魔物の対処は私達でやりましょう。」
「最初からこうしておけば良かったですわ。ルドさんが運転すれば動く要塞なんですもの。」
「あはははは、僕達も運転になれないと咄嗟の時に動かせなかったら困るでしょ?」
「ぱぱもっとはやく!!もっとはやく!!」
「危ないからだーめ。」
「ぶーっ!!」
と言っても120キロくらいは出してるんだけどな。見通しの良い場所だし、たまに木が生えてたりするけどすぐに避けられる。こりゃ確かにスピード出しちまうわ。
「『遠心打』!!」
「『遠隔爆弾』ぽいぽいっと。」
「『光の矢』ですわ。」
「『新緑の鎌鼬』~。」
襲い掛かって来る魔物の方はリダ達が対処してくれている。時たまブリンガーにぶつかる奴も居るけど、そこは俺の転痛がダメージを肩代わり。そんでもってここで新技紹介ですよ!!あの変態師匠からやっと勝ち取った技がこれだ!!
『硬化』:対象に気を流し入れ、防御力を高める。(対象のDEFに+MIND(1000) 耐久力減少-20%)
『軟化』:対象に気を流し入れ、衝撃吸収力を高める。(対象の耐久力+MIND(1000) DEF-20%)
しょぼいとか言うなよ!!絶対に言うなよ!!結構凄いんだからなこれ!!効果は見たまんま、重ね掛けOKね。まぁ元々この2つは1セットとして使うんだけども。
お互いがお互いのスキルを補う形になってる。これでも一応プラス効果が在るんですぜ?100くらいだけど。そんな事より見て欲しいのはテキストの方!!このゲームテキストにたまに重要な事を仕込んでるから油断できんよ!!
気を流す。そう、俺と対象が繋がるってことなんよこれ。そんでね?繋がるって事は対象物も俺の体として扱う訳よ。つ~ま~り~?
金剛巨人体の一部効果が対象にも乗ります。
うん、言いたいことは解る。俺も思った。それ何てチート?でもねこれ人には使えんのよ。物限定。書いてないけどね。
人を鉄みたく固くしたりスライムみたく柔らかくしたり他人ができる訳ねぇべ。常識で考えるべ。って運営に馬鹿にされてる気分だったよ。うん。
でもこれ耐久力の装備なんかを使った場合、一発で耐久全部持ってかれる攻撃でも原型とどめるし、完全に壊れても1度だけなら耐久半分で復活するのよ。俺がスキル使えば耐久力4倍になるしな。ダメージ軽減まで付いちゃう。やったね!!お得だね!!
さすがに状態異常無効とヘイトとサイズ変更は無理だった。それでも凄いと思わない?物限定だけど。あっそうそう付与する対象は今はどちらも1つしか駄目らしい。慣れてくると増えるらしいんだけどね。熟練度的な物が足らんのだって。ちゃんと書いといて欲しいよねぇ。
まっ新しく覚えた技のおかげでブリンガーは壊れずに運用できるわけだ。あっ今魔物轢いた。経験値入んないからもったいないんだよなぁこれ・・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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