第148話

「とりあえず盗掘野郎は通報しといた。今頃牢屋で情報を吐かされてるだろう。」

「GMコールっすか?」

「いんや盗掘の現行犯で連行。旅人相手だと通報して倒せば牢屋直行だから楽でいいわ。」

「さすが守備隊隊長ですわ。」

「仕事が早いですね。」

「冤罪だったらどうするんです?」

「その場合は牢屋に行かずに普通にリスポンするから問題無し。」


俺達はとりあえず遺跡の文字を解読する為に外に向かって歩いている所だ。同行しているPTで読める人が居なかったからね。英知の図書がしばらく情報収集をしながら解読してくれるそうだ。


「しっかしオリジンスキルなぁ。そんなのがあったとは。」

「英知の図書さんは知ってたっすか?」

「えぇ、私とルドさんはフレンドですのでね。」

「うっかりフレンドチャットでオリジンスキルの事を訊ねちまってなぁ。そっからログイン制限時間まで質問攻めに遭って大変だったよ・・・・。」

「いい情報を頂けました。」


俺達が雑談をしながら遺跡の外に出たその時、アナウンスが流れた。


ピンポンパンポーン⤴ お知らせします。ワールドクエスト『世界の真実を探せ』に該当するクエストが発生しました。これによりストーリークエストを解放します。ストーリークエスト『巨神の真実』をクリアした旅人が現れました。これよりストーリークエスト『巨神伝説』を開始いたします。その他にも各種族のストーリークエストを解放しました。詳細はヘルプ又は公式HPをご覧ください。これからも『Another Life Online』をお楽しみください。 ピンポンパンポーン⤵


「「「「「「はい?」」」」」」


ワールドクエスト?ストーリークエスト?えっ?無いんじゃなかったの?在るの?そもそもワールドクエストとかストーリークエストの扱いってどうなるの?


「あっルドさん見て下さい!ヘルプに新しい項目が追加されてますよ!!」

「大変ですわ。ストーリークエストのリーダーがルドさんになってますわ。」

「うわっこのクエスト同じメンバーでクリアしないといけないのかよ。別の遺跡探しに行こうと思ってたのによぉ。」

「時間制限が無いのが救いっすね。でもこれは早くクリアしたほうが良い気がするっす。」

「なるほどなるほど、ワールドクエストは旅人全員で参加出来ると、ですがストーリークエストは始めた当人達しかクリアできないのですね。そしてストーリーの中身は動画として公式HPに掲載されるわけですか。なんか恥ずかしいですねこれ。」

「クエストによっては追加で人を入れる事は可能なのか。でも追加で入った人達の報酬は少なくなると。最初から居た人達には報酬の全額払いは確約されてるっと。リタイヤは・・・出来ないな。」


ただ遺跡を調査して未発見の文章を見つけるだけでどうしてこうなるのか・・・・。しかもストーリークエストの次の目的はソノーハ魔道国の大魔導図書に入れって、クリアに面倒くさい事をしなきゃいけない匂いがプンプンするぞ!!


「とりあえず今日はどうするよ?」

「俺は一回城塞都市に帰って相談かな。守備隊の仕事を抜けないと駄目だろうしな。」

「私も一緒ですわ。」

「我々は一度帰って情報を纏めます。追加で何か解ったら連絡しますよ。」

「記録はバッチリですのでそれほど時間は掛からないと思います。」

「なら俺達はソノーハ魔道国へ行く準備でもしておくか。」

「入国に必要な物は我々で準備するっす!!」


と言う事で一度解散となった。準備ができ次第日程の話し合いをして、早めにストーリークエストに取り掛かるということで全員合意した。(メガネ達がかなり熱心に押して来たのもある。正直意気込み過ぎてちょっと怖かった。)


ウケンの魔道具で帰って来た俺達はその足で都市に戻った。そのまま親父の所に顔を出して事の経緯を説明する。


「なるほどなぁ。」

「って事ですまんな親父。しばらく守備隊の隊長としては動けないかもしれねぇ。」

「いんや、それなら丁度良かった。これをソノーハ魔道国に持って行ってくれ。」


そう言って親父は机から1通の手紙を取り出して渡して来た。


「これは?」

「ゴーレムダンジョンで取れる鉱石の中にミスリルやらアダマンタイトやら魔法金属が多く含まれてるだろ?その加工をする為に必要な設備を融通してくれって手紙だ。」

「うん?都市にも鍛冶屋が居るだろ?そっちじゃダメなのか?」

「今の鍛冶屋でも少量なら加工できるが、何分ゴーレムダンジョンで取れる鉱石は多い。大量にインゴット化して加工するには今の施設じゃ足りないんだとよ。雑貨屋の仕入れのついでに持っていくつもりだったが丁度良いからお前が持ってけ。それで出張扱いにしてやる。」

「すまんな親父。」


守備隊の方はこれで何とかなるはずだ。手紙の配達も親父がクエスト扱いにしてくれたか任務として行くことが出来る。


ルゼダの方もチャットで連絡が来て、シスタークレハから許可が下りたという事で俺達の準備はおしまい。さぁ残りは日程を決めるだけとなった所で「ちょっと待ったぁ!!」の声が。


「ぱぱ!!しあもいく!!」

「ルドさん酷いです!!私も行きます!!」

「クリンが『僕も一緒に行きたいです!!』だそうですわ。まったく明後日までログインできませんのにクリンたらもう。」


いつものメンバーが同行を熱望。俺達が受けたストーリークエストは追加人員OKのクエストだったから急遽メガネやウケン達に連絡を取って参加していいかを確認。結果いつものメンバーで参加する事となりましたとさ。メガネやウケンのギルドメンバーも参加させるみたいだし問題は無いな。


ストーリークエストの出発は人数調整やら物資の補給やら色々な事情が在って現実時間で明々後日になった。丁度土日だからがっつり時間取れるしね。それまでに色々と準備しておかないと。


「そういえば、シチートの奴が釈放されたぞ。」

「やっとかよ。クエストの事もあるし早速修行しに行って来る。」

「気を付けろよー。貞操はしっかり守れよ。」

「・・・そんなに暴走気味なの?」

「牢屋一杯にお前の顔やらデートプランやら未来の家族計画を書きまくってる奴がやばくないとでも?中にはお前をどうやって襲うかの犯行計画まで在ったぞ?一応釘は刺しておいたが。」

「・・・・気を付けて行って来る。」


念の為にリダに声を掛けて師匠の家に行く。師匠の家にも道場が併設されているけど、今の所俺と守備隊の数人が来るだけだ。最近は師匠が居なかったからもっぱら俺が相手になってたんだけどな。


「師匠~?居るかぁ~?」


今日は休みだから真っ暗な道場に顔を出す。道場は物音1つせずシーンとしていた。


「ありゃ?居ないのかな?」

「母屋の方じゃないですか?」

「そうだな、そっち行ってみるか。」


出入り口に近かったリダが先に外に出る。その瞬間!! ピシャンッ! と音を立てて道場の扉が閉まった!!


「ふふふふふ、つぅかまぁえぇたぁぁぁぁぁ。」

「ひぃっ!?」


いつの間にか俺の背後に全裸の師匠が居た。うん、何を言っているか分からんと思うが本当に気が付いたら俺の背中にシチート師匠がへばりついていて、チラッと見ると何も着てないんだよ!!胸部の饅頭が潰れてるのが見えたんだよ!!


「ふふふふふふ。」

「師匠?何してんの?ちょっと落ち着けって。なっ?リダも中に入れてやらないと。」

「だぁ~めぇ~。」


眼が怖いっす!!目が血走ってて怖いっす!!それにその舌なめずり止めて!!ひゃ~っ!!耳を舐めるな!!


「ルドさん!!ルドさん無事ですか!!」ドンドンドンッ!!

「ここじゃおちつけないわ。さぁこっちよぉ~。」

「師匠!!目が正気じゃないって!!落ち着いて!!いや力強いな!!俺ってこんなのばっかりか!!引き摺るなって師匠!!暗がりに連れてこうとするなって!!止めろ!!止めろて!お願いだから許して!!止めて下さいお願いします!!許してください後生ですから!!助けてリダ!!あーーーーーーーーーーーーーっ!!」


道場を叩き壊して突入したリダのおかげで貞操は無事でした・・・・。俺は師匠に気絶させられていたらしい、引きずり込まれた後の記憶が無いもんな・・・・。リダの証言によると師匠は裸の俺に跨っていてもう少し遅かったら危なかったそうだ。離れすぎてると禁断症状的な物で過激になるのか?牢屋に入れずに定期的に会う方がまだましなのか?修行もあるし今回は見逃すしかないが、今後が本当に不安だ・・・。修行しっかり受けるから落ち着いてくれませんかね?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


2022/6/6 今回はここまで!!最後はもう少し続きそうな感じで次章へって感じです。さぁ次回はソノーハ魔道国に行きますよー!!どんな事件を起こしてやろうかな( ̄ー ̄)ニヤリ ではでは又次回の更新で!!

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