第131話

「ルドさんどうしますの!?」

「ルゼダは状態異常回復の魔法を試してくれ!!他の3人は先にキメラの掃除だ!!」

「了解ですわ!!『清涼なる朝露』!!」

「行きますよ!!『心通』!!」

「ごめんなさい!!『光波』」

「『根源の槍』!!」


先程の階層に居たキメラより硬く、そしてタフだ。3人の攻撃をもってしてもなかなか倒しきれてない。ダメージは俺が全て引き受けているからまだ戦えてるが戦闘職ばかりだったら辛いだろうなぁ・・・・。多分それで先行した奴らは負けて材料にされちまったんだろう。


「ルドさん!!状態異常回復は効きませんわ!!こうなったら倒すしか・・・。」

「本人たちも殺してくれって言ってるからな。デスペナ貰って恨むんじゃねぇぞ!!3人共頼む!!」

「はいっ!!『心打』!!」ボガンッ!!

「『光波連斬』!!すぐ楽にしてあげますからね!!」ズバババババッ!!

「『進撃の倒木』!!たーおーれーるーぞー!!」ズズズズズッズシーンッ!!


おっ?シアが新しい魔法を覚えたのか。今まで見た事ない技だったな。そのおかげで襲って来ていたキメラの大半が倒せた。


改造されたキメラ旅人もポリゴンとなって消えていく。復活してもあの姿のままだったらどうするかね?


「あっ大丈夫みたいです。リスポーンしたら元の姿に戻ったと連絡がありました。」

「なら良かった。」


城塞都市から来た旅人達だからね。見た目が違っても受け入れる気でいたし、事情を説明すれば市長も問題無いと思っていたけど元の姿に戻ったんなら良かった。


「この雰囲気。坑道を思い出しますね。」


クリンから報告を聞いて居ると、周りを見ていたリダがそんな事を口にした。


「この機械とかあの蟻についていたのとそっくりですわ。」


そう言ってカプセルを指さすルゼダ。


「よく見たらそうですね。こちらの方が使いやすそうですけど。」


ルゼダが指さしたカプセルを除きながらそう答えるクリン。


「ここは奴らのアジトの1つって事かな?でも見たのは1人だけだしなぁ。1人でこれだけの設備って整えられるもんか?」

「何か裏技的な物でもあるんじゃないですか?このゲーム、まだ発見されてない種族や職業もあるみたいですし。」

「でも旅人が発見したらアナウンスが鳴るはずですわ。」

「うーむ?まぁ考えても分からんことは考えるだけ無駄だな!!降りてけば犯人が居るだろうし、そいつに聞けばいいだろ。」

「それもそうですね。」

「奥に下に行く階段がありますよ。」

「早速降りましょう。」


9階層はこれまた研究施設の様な場所。しかも今度は魔物から人を作ろうとしているのか、名前の表記が人造人間#$%&という表記と魔物の名前が重なって見えている。


ここでもアラームが鳴り、カプセルが解放された。8階層のキメラと違ってこちらは知能が高く、集団で連携して攻撃してきた。全体攻撃やランダムターゲットの攻撃も多用して来て、俺じゃなかったら早々に仲間が1人落とされる所だったわ。


「よいしょっと。これで最後ですね。」

「厄介な物が現れましたわね。」

「うえぇ~。まずぅ~い。」

「そんなもん食べるんじゃありません。」

「下に行く階段が開きましたね。」


リダの言う通り、奥にあった扉が開いて階段が見えている。


「しっかし、ここの奴等は何考えてるんだろうなぁ?」

「普通に考えれば、自分たちの手駒となる物の創造ですわね。魔族や悪徳領主なんかが秘密裏に開発して自分の兵士として使う話は鉄板ですわ。」

「にしては数が少ない気がするんだよな。」

「そこはここの他にも生産拠点が他にあると考えるべきなんじゃないですか?」

「げっ!?つまり後々こいつらが一杯出て来るって事か?」

「恐らく。」


多分イベントなんだろうけど、人造人間やキメラを相手するのは結構大変なんだぞ?攻撃力が高く設定されてるのかHPはゴリゴリ削られるし、MIND攻撃もやって来るから一気にダメージ貰って驚く事もあるし・・・。


「面倒臭ぇ・・・・。」

「ぱぱおりないの?」

「・・・・降りるか。」


鎧の怨念取り込みも終わったみたいだしな。さっさと降りて何が目的なのか聞くとしようか。


10階層、どうやらここが終点っぽい?なんせ指令室っぽい作りの部屋に男が1人立ってたからね。


「うげっ!?もう見つかった!?早すぎるよ~。まだレポート送って無いのにぃ~。」


なんか俺達が来た事で驚いて装置をカチャカチャ弄ってますな?何しようとしてるか分からんがそれを許すルゼダじゃない。


「『守護結界』ですわ。」

「うわっ!?おまっなにするっすか!!これじゃあ送れないじゃなっすか!!」

「何しようとしているかは分かりませんが、させませんわ。」


装置を丸々結界の中に封印。操作を弾かれた男がこっちに向かって文句を言って来る。


「あぁ~もう!!せっかくうまく行ってたのに!!やっと本格的にキメラが作れて最初の報告を送る所だったんすよ!!」

「あらっ、それは好都合。そのレポートはこちらで頂きましょう。」

「聞く手間が省けるな。あんな面倒臭いの量産されてたまるか。」

「じゃあ僕、そこら辺の機械壊してきますね。」

「しあもやるー。」

「私も行ってきます!!」

「あっ!?こら止めろ!!」


うん、何やら重要そうな機械が一杯あるもんねここ。男の方も必死で守ろうとしてるし、相手が嫌がる事は積極的にやりましょう。って事でクリン達が機械を壊して行くのを妨害しようとする男を俺が妨害する。


「このっ!!邪魔だっ!!」

「邪魔してんだっつの。」


男が使ってるのは銃とナイフ。ローブの下には案の定軍服っぽい衣装が。あいつ等の仲間で決定ですなこりゃ。


「こんのっ!?って固い!!あぁもう!!だから護衛くらい付けてくれって言ったっすのに!!」

「なぁ、何でこんな事するんだ?前の奴等も魔物を使って攻撃して来たし、目的ってあんの?」

「はぁっ?あっお前等「クイーン計画」を妨害しやがった要注意人物じゃなっすか!!「キメラ計画」まで嗅ぎつけたんすか!!」


クイーン計画?キメラ計画?あの蟻と今回の合成魔物の事か?


「くっそ!!AIの分際で生意気っすよ!!」

「はぁ?誰がAIだって?」

「そうだったっす!!こいつ等聞く耳持たないんだったっす!!」


何か一人で騒いで一人で納得する男。いやいや、俺達がAIって何言ってんだこいつ?


「なぁ、お前等って「くっそ仕方ないっす!!使いたくなかったけど使うかしかないっす!!」いや話聞けよ。」


何やら覚悟を決めた表情で懐から黒い箱を取り出す男。なんだあれ?


「システムコマンド!!攻撃無効と即死効果付与!!あっ即死は出来ないっすか?だったら攻撃力増大っす!!」

「はぁっ!?何やってんのお前!!」


システムコマンドってまんまチートだろそれ!!うわっダメージが一気に増えた!!


「追加コマンド、部位欠損に痛覚増大!!」

「ぐがぁぁぁぁぁぁっ!?」

「ルドさん!?」


こいつっ!!俺の腕切り飛ばしやがった!!めっちゃいてぇ!!超いてぇ!!HP減って無いのに体にダメージあるって何だこれ!?


「ふっふっふ、これで俺の勝ちっすよ!!」

「てめぇっ!!」

「あ~あ、せっかくリアルじゃできない生体実験して楽しんでたっすのに・・・。あーあ、データ保存してたサーバーまで壊されちゃったすかぁ。はぁ・・・・。仕方ないっす、こいつ等使って又実験するっすかぁ。」

「させるかよ!!」

「はい残念。」ザザザシュッ!!

「ぐぬぅっ!!」


残ってた腕と脚まで切り飛ばされたんですが?痛みの所為で頭がチカチカしてきましたが何か?いやこれどう考えても異常検知で強制ログアウト寸前だろ!!


「ルドさん!!大丈夫ですか!!」

「おごごごごごごご。」

「痛みで喋れないっすよぉ~。ふ~む、雌2匹に雄1匹とUMA1匹っすかぁ。そこに居るUMAとの繁殖実験にでも使うっすかね?それともキメラとして混ぜちまいますかねぇ。減らされちゃったしキメラと交配しても面白そうっす。ここにいた奴は弱っちくて使う気にもなれなかったんすよねぇ。とりあえずコマンド、行動不可。」


男が又コマンドを口にすると黒い箱から光が走り俺以外の3人に命中する。


「何!?体が固まって・・・。」

「う、動けませんわ!!」

「ぐぬぬぬぬぬっぶはぁ!!駄目です全然動きません!!」

「うごけないのぉ~。」(´・ω・`)

「そこで大人しくしてるっすよー。後で一杯可愛がってやるっすから。あぁ次の実験が楽しみだなぁ~。後で上に放置してる死体持って来てキメラ作らないと。よわっちぃから使いたくないんすけどねぇ~。」


ドクンッ!!『GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』


あっ鎧の中の熊がキレた。まぁなんか好き勝手言ってたしなぁ、良く我慢したよ熊公は。

 

毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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