第132話
『GUOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!』
「っ!?何っすか今の鳴き声は!?」
男の言葉を聞いて、俺の鎧から大きな心音と熊の叫び声が。そんでもって意識が朦朧としてきた俺の目の前にウインドウが表示された。
【般若熊の怨鎧が一定の怨念を取り込み、使用者のインベントリ内部の素材を使って進化。『百怨夜行』に変化しました。装備スキル<狂乱><暴走>が発現しました。
百怨夜行がスキルを発動。使用者ルドは<狂乱><暴走>状態になりました。狂乱暴走状態になった事でステータスが変動。DEFとMINDの値が全てATKに変更されます。】
皮鎧だった般若熊の怨鎧は腕や脛に黒い金属が仕込まれ、胴体部分は完全に金属鎧に変化した。その上から熊の毛皮の様な肩掛けが追加され、フードだった熊の頭は完全に兜に変わる。両手に持っていた盾がいつの間にか金属製の爪に変化して、そこから黒紫の瘴気を立ち昇らせる。
『GUOOOOOOOOOOO!!』
俺の口から熊の鳴き声の様な声が出てるねぇ。えっ?なんで他人事の様に言うんだって?いやなんか俺の意識が体から弾き飛ばされて宙に浮いてるんだもん。仕方ないね。メニューとかは使えるみたいだからちょっと装備の確認するかぁ。
百怨夜行(上):数多の怨霊や怨念を取り込み変化した上下セットの鎧。その無念を晴らすまで装備者から離れる事は無い呪われた装備。その怨念は装備者を狂わせ、己の全てを掛けて殺戮を繰り返す道具とする。ATK+100000 DEF+5000 スキル<狂乱> 耐久∞
百怨夜行(下):数多の怨霊や怨念を取り込み変化した上下セットの鎧。その無念を晴らすまで装備者から離れる事は無い呪われた装備。その怨霊は装備者の理性を壊し、己の全てを掛けて暴れ続ける傀儡とする。MIND+100000 DEF+5000 スキル<暴走> 耐久∞
<狂乱>:発動中、装備補正を基礎値に変更する。自動戦闘状態に移行する。
<暴走>:発動中、DEFとMINDの値をATKに変更する。(HPやMPの量は変更されない。)
うん、呪われた装備の呪いがパワーアップして装備者を完全に道具にするんだね。あっ盾役のお礼にって先行した奴らが置いて行ったグラビタイトがインベントリから無くなってる。盾の強化に使おうと思ってたのになぁ。ふ・ざ・け・ん・な!!
勝手に進化したと思ったら勝手にスキルまで使って何だこれ!!説明分には己の全てを掛けてなんて不穏な文章が混じってるよ!!スキルが解けたら俺どうなっちゃうの!?そもそもこのスキルは解けるんですかいねぇ!?
でもせっかくだけどこれだけじゃあの男は倒せないだろうなぁ。いやだって相手チート野郎ですし?攻撃無効とか言ってたからせっかく手に入れたATKも意味ないよ・・・・。
そう!!やっと俺はATKを手に入れたんだ!!しかも珍しいATK自体を+する装備のおかげで!!これで敵を倒せるぞ!!まぁ今俺は自分の意思で体動かせないんだけどな!!
「このっ!!なんで攻撃が効かないっすか!!」
『GUAAAAAAAAAAAA!!』
おろ?なんか男の攻撃が効いてないっぽい?なじぇ?・・・・・・・・・・・・。あっ!!なるほど、あいつ対象を指定しないとチート機能使えないのか。
あり?でも攻撃力増大と攻撃無効を自分に使ってたよな?だったらおかしくないか?
ピロンッ!!
へっ?ヘルプさんが勝手に起動した?
『対象が使っている違法ツールは自身に作用する物ではなく相手に作用する物。攻撃力増大は相手が受けるダメージの増大。攻撃無効は相手の攻撃力を0にするコマンド。なお対象に指定されている個体名ルドが現在浮遊霊状態にある為、コマンドの指定が無効になっている模様。』
あっなるほど。俺がここに居るから俺を対象に使ったチートは全部こっちに来てるのか。で体は熊公が使ってるから影響を受けないと。ってか違法ツールって解ってるんならあいつBANしてくれませんか?
『管理AIからの返答。違法ツールを使う侵略者が今後出てくる事を加味して旅人が対策を取れるよう観察中。正答の1つを提示した事により個体名ルドに対して後程報酬を与える。』
あっそうっすか。そう言えば仲間が動けないの何とかならん?俺の友魔まで動き止まっちゃってるんすよ。
『管理AIより返答。対象の使う違法ツールを現在解析中。10分後に対処可能。』
じゃあよろしくっす。さてさて、体の方はっと。おぉっ!!大分追い詰めてるな!!
「こんのっ!!いい加減にするっすよ!!システムコマンド『GUA!GUA!GUA!!GUAAAAAAA!!』ギャーッ!!」
おっ!あれはいつか見た熊の4連撃!!結構いい感じに決まったな!!そんでもって男の手からあの黒い箱が飛んでいった。
「しまったっす!!」
『GAッ!!』ぶちぶちぶちぶちっ
「ギャアアアアアアアアアアアッ!!」
うっわ、容赦ねぇ。さっき俺がやられたみたいに腕飛ばしたよ。しかも力づくで。引きちぎられたらかなり痛いだろうなぁ。ってかあいつ痛覚設定弄って無いのか?どう見ても痛覚100%なんですけど?
「くそっくそっ!!NPCの分際で良くもやりやがったな!!」
銃を乱射する男、だけど熊公はうまい事避けてさらに銃を持っていた腕を爪で切り飛ばした。
「ギャァッ!!ちょっまて、やめろ。やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
『GUAGUAGUAGUAGUAGUAGUAGUAGUAGUAGUA・・・・・・。』
痛みで動きが止まった所に熊公が男の上でマウントポジションを取る。そんでもって後は殴る殴る殴る殴る殴る。顔がひしゃげようが悲鳴を上げようが許しを乞おうが関係なしに殴り続ける。しかも熊公はちゃんと爪を収納して殴ってるもんだからダメージが致死量まで行かない。んで、男の方は何時の間にか回復チートを使ってたのか死なないとすぐにHPが回復する。ステータス見てる時に使ったのかな?
『GUA!!』ボリンッ!!
最後には熊兜が男の頭を噛み千切ってフィニッシュ。おいそれ食ってねぇだろうな?食うんじゃないぞ?俺の体にカニバリズムを刻むなよ?
男の体は・・・・・。なんか黒い穴に吸い込まれて消えていった。ポリゴンになって消えるんじゃないのね。NPCやAIなんて言ってたから旅人だと思ったのに違うのかね?
『GUOOOOOOOOOO!!』バタンッ
最後に熊公は叫び声を上げた後に倒れた。それと同時に俺の意識も体の方に戻ったのか視界に地面が映る。
「いだだだだだだだだだだだだっ!?」
意識が体に戻ったからなのか体中から痛みが!?もしやこれがデメリット!?ピロン♪
うん?またウインドウが・・・・・。はぁっ!?
『狂乱・暴走発動後の肉体的、精神的汚染が無いかを判断する為強制ログアウトを執行します。ログイン可能時間は現実時間で4時間後、その後ステータスの数値は全て1となります。ステータスの低下は時間経過と共に戻ります。(必要時間ゲーム内時間で48時間)狂乱・暴走時の取得経験値及びドロップアイテムは全て没収されます。』
そんなスキル用意しておくなよぉぉぉぉぉっ!!なんでスキル使っただけで強制ログアウトさせられにゃならんのよ!!それにステータス低下に経験値とドロップも無し!?俺が一体何したんだよぉぉぉぉぉっ。
「ルドさん大丈夫ですか?さっきのは一体何ですか?」
「どうしましたの!?どんどん体がポリゴンになってますわ!?」
「ぱぱ?かえっちゃうの?」
「ルドさん僕達どうしたら!?」
「とりあえずここにある機械は全部壊して、何か情報になりそうなものは持ち帰りで。あと俺24時間ゲームに入れなくて、入っても2日は役に立たないから。戻ってきたらスキルについて説明するから。ちゅうことで後は任せた。」
俺の意識はそこで無くなった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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