第120話
「ふぃ~。謁見ってのは肩凝るなぁ。」
王様との謁見が終って城の中の休憩室で待機中。なんでも守備隊に稽古を付けるための許可証の発行に時間が掛かるそうだ。なんで前もって準備しとかないかねぇ。呼び出したのはそっちだろ?
「お疲れ様。お茶淹れたわよ。」
「・・・・・・。」
師匠が湯気の立つティーカップを俺の前に置く、それ自体は何でもない普通の風景・・・。いや師匠にお茶を淹れさせたというのはまずいか?まぁ師匠が自分から淹れると言ってくれたんだけど。
「そんなにジーっと見つめられると照れちゃう♡」
「普通のお茶と色が違う事について何か言う事は無いのか?」
そう、ティーカップの中身が何やらピンク色をしているのだ。こんなお茶は見た事ないぞこらっ。
「そうかしら?普段のお茶と一緒よ?」
「このひとこれいれてたー。」
「あっシアちゃん駄目よ!!」
シアが蔓で持ち上げたのは茶色い小瓶、そこにはラベルが貼ってあって・・・・。
「おもいっきり【ルドきゅん篭絡用超強力媚薬】と書いてありますが?」
「てへっ♪」
「こんなの飲めるかぁぁぁぁぁっ!!」
まだ状態異常の【興奮】は無効化して無いんだよ!!飲んだら大変な事になる所だったわ!!
「しあがもらう~。」ゴクンッ「うぇ~あんまりおいしくなーい。」
「ちゃんとしたお茶淹れるからそっち飲もうな。」
「はーい!!」
「ちぃっ、でもまだまだ次があります。王都に居る間に必ずルドきゅんを落としますよ!!」
「こそこそと聞こえない様に言ってるつもりだろうが全部丸聞こえだからなっ!!シア、隠し持ってる薬全部回収して!!」
「りょうかーい。」(`・ω・´)ゞ
「いやっ、シアちゃんそこは駄目!!あぁ~ん♡」
「色っぽい声出すの禁止!!」
「あのぅ~。書状が出来たんでさっさと出て行ってくれます?」
「「「はいっ。」」」
いつの間にか書簡を持って来た女性文官に冷たい目線を向けられながら俺達は城を出た。(追い出されたとも言う。)
「じゃあ次は守備隊の訓練場か。」
「そうなるわ。こっちにあるから行きましょうあ・な・た・♡」
「結婚してねぇわ!!いつまでやるんだよ!!」
「ルドきゅんが私と結婚して家庭を築いて子供を11人作るまで♡」
「サッカーチームでも作る気か!!そもそも師匠とはそんな事しない!!」
「ぱぱもへんなひともそろそろいくよ?」
ほら見ろ!!師匠が変な事しか言わないからシアにまで変な人って言われてるじゃないか!!
シアに助けて貰いながらなんとか守備隊の訓練場にたどり着いた。めちゃくちゃ疲れたんだけど・・・。なんで師匠はそんなに艶々してるんだろうね?
「ルドきゅんとずっと一緒に居れるだけで滾るわぁ。はぁはぁはぁ」
「滾らせるな、にじり寄るな!体を密着させるな!!息を荒くするな!!!」
「はいはいへんなひとはこっちだよー。」
「あーれー。」
シアの蔓で引きはがされる師匠。いやほんとシアが居てよかった・・・。2人っきりだったら今頃何をされるか分かったもんじゃなかったよ・・・・。
師匠を引きはがし、少し落ち着かせてから(これが放置プレイなんて言いながら頬赤らめてやがったがな!!)訓練場に入ろうとしたところで、入り口に立つ少女に気が付いた。
茶髪でポニーテールそして黄色い瞳をした少女の腕には盾が装備されていて、武器として棍棒を持っている。あれって盾職か?でも棍棒を持つってのはなんか変だな・・・・。
こちらが様子を伺っている事に気が付いたのか、少女は慌てた様子で俺達に向かって走って来た。
「師匠知り合い?」
「知らないわ。ルドきゅんの知り合いじゃないの?」
「違うな。あんな旅人は見た事ない。」
「あっあの!!僕はテッタと言います!!すこしお話良いですか!!」
少女の名前はテッタと言うらしい。自己紹介されたならこっちもしないとな。
「俺はルドだ。」
「ルドの妻のシチートです。」
「ぱぱのこのしあです。」
「いや妻じゃねぇだろうが。しれっと嘘混ぜんな。」
「もう、認めてくれてもいいのにぃ~。」
「はなしすすまないからへんなひとはこっち~。」
「あぁ~~れぇ~~~。」
俺達のやり取りの苦笑を浮かべるテッタ君、ほら呆れられてるぞ師匠。
「騒がしくて申し訳ない。それで話って?」
「あっえっと、盾職の方ですよね?」
「おう、双盾使いやってる。そっちは?」
「あっ僕は“聖盾使い!です。」
「聖盾使い?」
聞いた事ないな?もしかして俺と一緒でランダム選んだのかこの子。聞いてみるか。
「もしかしてキャラクリの時にランダム選んだ?」
「あっ解っちゃいます?そうなんです。面白そうだからランダムを選んじゃいまして・・・。」
「それでその職業になったのか。どんな感じの職業だ?」
「盾使いと回復職を合わせたような感じですかね?その分MP管理が大変でその上攻撃もしなきゃですからなかなか大変で・・・・。」
「それはきつそうだな。で?そんな聖盾使いのテッタちゃんが一体俺に声を掛けたのはなぜだ?」
「それは決まってるじゃない。強くなりたいからよ。」
シアに引きはがされた師匠がもう戻って来ている。はて?強くなりたくてなんで俺に?
「ルドきゅんは解ってないかもしれないけど、あなた結構有名なのよ?」
「おっそうなのか?」
「えっ!?あっ!いやっ僕は知りませんでした・・・・。同じ盾使い同士でお話がしたくって・・・。」
「だとよ、師匠も適当な事言うなよな。」
そんなこったろうと思ったよ。まったく、俺が有名になる理由なんて無いだろうに。
「あら大外れ。でも強くなりたいのは本当よ。そうでしょう?」
「・・・・・はいっ。前に所属していたギルドは僕が弱いから追放されました。僕が強かったらと思うと・・・・。」
顔を伏せて何かを我慢する様に手を握るテッタちゃん。いやぁ、そんなに考えこまんでもえんやで?おっと似非関西弁が。
「いやいやいや、そんな力が全て!!みたいなギルド辞めて正解だろう。ここはまぁ俺達にとっちゃもう一つの人生なんだから好きにしたっていいんだよ。犯罪じゃなければだがな。」
「でも僕が弱いのは本当ですし・・・。」
「あらっ、なら簡単じゃない。ルドきゅんが修行つけてあげればいいのよ。」
「はぁっ!?なんで俺が?俺師匠からまだまだ技教え切って貰えてねぇんだが?」
守護双壁流の技を全部習得して無いぞ?なのに俺に弟子を取れってか!?
「弟子を取れと言ってるんじゃないわよ?盾職としての戦い方を教えてあげなさいって言ってるのよ。」
「それぐらいなら出来るだろうけどよ。それなら師匠の方が良くないか?」
「あら、私は双盾の師匠であって聖盾使いの師匠では無いわ。教える事なんてルドきゅんと変わりないわよ?それよりも、亜空の知識があるルドきゅんが教えてあげた方がきっと為になるわ。それにしばらくは守備隊に指導するから手も空かないわね。」
ふーむ?そう言えば盾職の師範代達は師匠を除いて雲隠れしたんだっけか。なら他に教える人を探すのも大変か。
「シア、この変な人を守ってくれるか?」
「えぇ~、ぱぱといっしょがいい。」
「私の心配してくれるルドきゅん尊い・・・。はっ!?大丈夫よ、私なら1人で動く方が強いわ。それに守備隊の中に居るから襲って来る奴も居ないでしょうしね。」
「鼻血拭けよ・・・・。まっそう言う事ならシアもこっちだな。」
「やったー!!」
「えっと?」
「テッタちゃんには俺が盾職の戦い方教えてやる。師匠が指導を終わるまでの期間限定だけどな。まぁそんなに参考になるかは分かんないけどな。それでいいか?」
「本当に良いんですか?僕結構弱いですよ?」
「なぁに、弱い者を助けるのが盾職の本分だ。任せとけ。」
「っ!?よろしくお願いします!!」
勢いよく頭を下げるテッタちゃん、ポニーテールが飛んで来て危なかったぜ。そんなテッタちゃんを笑顔で見ていた師匠が狩場のアドバイスをくれた。
「なら王都外の森に行ってらっしゃい。そこならある程度強い魔物が居るわ。」
「情報サンキュッ師匠。それじゃあ早速行くか。」
「はいっ!!」
と言う事で、俺に期間限定の弟子が出来た。ちゃんと教えられるかなぁ・・・?
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます