第113話
「へいお待ち!!特選大盛海鮮丼スーパーDXだよ!!味わって食べてくれ!!」
「なんじゃこりゃ!?」
「デカすぎですよこれ!?」
「僕の身長くらいあるんですけど・・・。」
「良く崩れずに全部乗ってますわね・・・・。」
「おいしそー!!」
俺達の前に出されたのは、大盃の様な器に盛られた特大の海鮮丼だった。作っている工程を見ていたけど、この山もりの刺身の中にはこれまた山盛りの酢飯が入っている。白い山が出来上がるのを見ていた皆は冷や汗を掻いていると思う。俺もそうだから。
高さが2m近くあり、その側面は様々な刺身で彩られている。器の縁にはイクラや飛子なんかの卵系の具材がまるで海の様に入れられていて、普通の人ならそれだけでお腹いっぱいになりそうだ。
「制限時間は1時間!食べきれなかったらダンジョンからの強制退出だよ!!仲間内で助け合うのは半分まで食べ切ってからならOKだ!!と言う事で準備は良いかい?」
「大将!!醤油と山葵くれ!!あと途中の水分補給は良いのか?」
「水分補給は好きにしてくれ!!」
「スキルとか使っても良いんでしょうか?」
「スキル使用もOK!!だが収納系は禁止だぞ?」
「皆さま、早くしませんとシアちゃんが我慢できませんわ。」
「(๑º﹃º๑)ジュル」
おっと、シアの目がやばい感じになってる。まぁ量に目を瞑ればめちゃくちゃ美味しそうだからな。
「それじゃあいいか?よーい、始め!!」
「ごちそうさまでした!!おいしかったぁ~♪」
「「「「「「早いよ!!」」」」」」
シアの奴一気に食い切りやがった!!頭の花が器ごと海鮮丼を飲み込む姿は凄かったぞ!!
「1名クリア!!さぁ次は誰だ?」
板長が俺達の事を見ながら煽って来やがる!!俺も負けるか!!
「巨人化!!ぬおぉぉぉぉぉぉぉっってうめぇ!!一気に食い切るのが勿体ねぇ!!」
「お刺身がどれも新鮮でおいしいですぅ~♡」
「酢飯もくどくなくて、口の中をさっぱりさせる感じでたまりません♡」
「あら?鰹のたたきなんかもありますわ。飽きない様に工夫が施されていておいしいです♡」
「いいな~(๑º﹃º๑)ジュル」
「嬢ちゃんおかわり要るか?」
「うん!!」
シアの奴、ちゃっかり同じ奴をもう一回食べてやがる!!でも本当にこの海鮮丼うまいな。油っけの強いトロの部分は食べ過ぎると胃にもたれるけど、酢飯がそれを上手に緩和してくれる。逆に淡泊な刺身の部分には酢飯が刺身の旨味を引き出すように働いてとてもうまく纏まってる。こういう所はゲームならではだよなぁ。店に迷惑にならない様に2mまで体を大きくしたけど、しなくても食い切れたな。あっ!!醤油と山葵使い忘れたな。
「ごっそさん!!うまかったよ!!」
「あいよ!!2名様クリアだよ!!他のお客さんも頑張んな!!」
板長が持っている時計を見ると時間はすでに30分くらい経過している。進み具合は・・・・。なんと、ルゼダがもうすぐ食い終わりそう。逆にクリンはあんまり進んでないな。リダは丁度今半分くらいか。
「ご馳走様ですわ。大変美味しゅうございました。」
「3名クリア!!さぁ残り2人だぞ!!時間はあと20分だ!!」
「ふほはん、ほれほってふだふぁい。」
「ん?これか?まぁ俺は使わなかったから良いけど。」
「あふぃあほうほはいまふ。」
おっとここでリダが俺の使わなかった醤油と山葵を海鮮丼にぶっかけた!!おーみるみるうちに丼が減っていく!!
「ごふぃふぉうふぁまでふぃた。」
「4名クリア!!残り時間10分を切ったぞ!最後の一人だ頑張れ!!」
「クリン!頑張るのよ!!」
「もう少しで半分です!!頑張って!!」
「ふぁいっ!!」
果敢に海鮮丼に挑むクリン、そして残り時間5分を切った所でやっと半分食べ切った。
「シア頼む!!」
「おなかいっぱい( ´З`)=3 ゲップ」
見るといつの間にかシアの横に、大盃の器が山の様に積まれていた。
「食べすぎだろ!?」
「ルドさん時間がありません!!」
「えぇい!!こうなったら巨人化!!」
俺は店に入るギリギリの3mになって、クリンの残っている海鮮丼を掴む、そして勢いよく口の中に流し込んだ!!
「ルドさん!!頑張ってください!!」
「もう少しですわよ!!」
「残り後1分!!」
「ぱぱがんばってー!!」
「残り30秒!!」
「モガガガガガガガっ!!」
「ルドさん僕の所為ですみません、でも頑張ってください!!」
「残り10秒!!」
「ゴクンッ!!ゲフーッ、ごっそさん!!」
「残り1秒で全員クリア!!いやぁ良い物見せて貰ったぜ。」
なんとか食い切った!!これで全員で下の階層に降りれるぞ!!
「よっし!!お前達は下層に・・・・。あんっ?ダメ?なんでだよ、挑戦クリアしたじゃねぇかよ。えっボスとしての役目?はぁ・・・・。しゃーねーなぁ、やるか。」
ほえっ?なんか相方さんに耳打ちされて板長の雰囲気が変わったんですが?
「ルドさん!!セーフエリア解除されました!!」
「うわぁ、店がどんどん畳まれて行きますよ!!」
「こちらが本当の姿と言うわけですわね!!」
「おー、かっこいい!!」
いつの間にか店自体が天井と地面に吸い込まれるように畳まれ、そして板長とその助手の姿が両手に包丁を持った巨大な竜人の姿になった!!店の無くなったこの場所は、鍾乳洞の様に上下から岩の棘が生え、所々に水たまりの在る海底洞窟だった。
「さぁこっから第2ラウンドだ!!俺達を倒して見せろ!!じゃなければお前らを刺身にしてやる!!」
「えっつまりさっきの海鮮丼の刺身って・・・・・。」
「怖い妄想するなよ!!新鮮な魚介類で作った至高の一品なんだぞ!!人なんか入ってねぇよ!!料理人舐めんな!!」
その言葉を聞いて明らかにほっとする俺達。だってさっきの台詞ってっやっぱりそう言う事だと思うじゃん?
「おじちゃんたおしたらもうかいせんどんたべられないの?」
「うーん、多分駄目なんじゃないかなぁ。」
「え~、おいしかったのにぃ~。」
「おっ、嬢ちゃん嬉しい事言ってくれるねぇ。なら次来た時はもっとうまいもん食わせてやるよ。俺達は死んでも時間が経てば生き返るしな!!」
「やったぁ~!!」
あっダンジョンの魔物ってそうなってるんだ。いやぁ、俺もあのうまい海鮮丼が二度と食えないと思うと倒し辛かったんだよなぁ。
「それじゃあイベントが終わってもお店続けるんですね。」
「おう!お前達のおかげで自信持てたからな!!後は店の名前を考えるか。」
「なら『鮮魚竜屋』(せんぎょたつや)なんてどうですの?」
「おっ!いいねなら『鮮魚竜屋!!』にしとくわ。ありがとな嬢ちゃん。」
「お安い御用ですのよ。」
「僕達戦闘前でしたよね?」
ゴニョゴニョゴニョ「わーってるよ、ちゃんとやれば良いんだろうが!!」
クリンの言葉でこちらも戦闘態勢に、あっちはあっちで相方さんに耳打ちされて戦闘態勢に入った。
「んじゃま!!覚悟しろや!!『3枚おろし』!!」
「巨人化!!『今度来た時は普通に寿司と刺身が食いたいぞ!!』」ガガンッ!!
板長の持っている包丁が俺に振り下ろされる。おれはそれを盾で受ける。
「『心打』!!煮込み料理なんかがあると嬉しいです!!」
「僕は焼き魚が食べたいです!!ご飯とお味噌汁をつけて下さい!!『光波』!!」
「私ムニエルなんかの洋風な物も頂きたいですわ。『破魔矢』!!」
板長が攻撃を受けら動きの止まった隙を逃がさず、リダとクリン、ルゼダが攻撃を加える。板長はその攻撃を全て受けたが、まだまだ元気そうだ。
「しあはあのかいせんどんがいなぁ。」
⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી(^ω^)ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎Ω<ギャー
シアはそんな皆を尻目に、助手君を蔓で掴み上げて振り回している。
「わぁったよ!!次来た時全部用意しといてやる!!『鱗剥ぎ』!!」
『それは楽しみだ!!』ガリガリガリガリッ!
板長の包丁から無数の斬撃が飛んで来て俺の持つ盾の表面を削り取るように攻撃する。残念ながら耐久∞の盾には効果が無い!!
助手の方はシアが今にも食べそうになってるな。必死で手に持った包丁で蔓に対処してるけど、まぁ頑張ってくれ。蔓のおかわり沢山あるから。
板長の方は結構強いな。なんか技も使って来るしHP結構減る。種族進化して無かったら持たなかったなこれ。
「ほれほれ!!ぼーっとしてたらお仲間をやっちまうぞ『串打ち』!!」
板長がどこから取り出したのか、金属製の串を取り出して周りに投げる。
『守護双壁流『守護者』!!マジで!?板長串も打てるの!?なら今度鰻も焼いてくれ!!』ガガガガガガッ!!
俺は投げられた串を技を使って誘導し、全て受け止めた。
「私白焼き食べたいです!!『心現』『心打』!!」
「穴子が食べたいです!!『遠隔爆弾』」
「肝吸いも良いですわね。『亀甲陣』『回復結界』」
その隙にリダとクリンは再度攻撃に移り、ルゼダは俺に対して防御バフと持続回復の付与を行う。
「しあも!!しあもたべる!!うなじゅう!!」
「だぁ~~~お前等戦闘中に注文付けて来るんじゃねぇ!!頭ん中でレシピ考えちまうじゃねぇか!!」
「「「「それが狙いだから。」」」」」
「料理人の習性を利用するたぁこの策士共め!!」
「しあはちがうよ~?」(´~`)モグモグ
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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