第112話

俺達はイベントダンジョンをかなりの速度で潜っていった。それにはまぁ人狼ゲームで手に入れたSPが大きく関わっている。


「このスキル、とっても使い勝手が良いですね。『心通』」

「『ステータス分配』だっけか?よくSP10で取れたな。」

「いえSPは50使いましたよ?修行して強くなったので余っていました。」

「それはそれですげぇな。」


ステータス分配の効果は自分のステータスの1つを一時的に別のステータスに振り分けるEXスキルだ。リダさんは心義夢想流で『心与』を覚えてるけど、これは自身には効果が無いからね。自分様に覚えたんだってさ。


リダさんの場合、殴打で戦う場合と心義夢想流を使って戦う場合で使うステータスが違う。普段はATKの数値でダメージを出し、流派を使う場合はMINDの数値がダメージになる。ステータス分配は火力を底上げするのに役立つスキルだな。


「リダさんのスキルってかなり強力ですよね。」

「あら、クリンのスキルも強力ですわよ?」

「そうかな?『鬼人化』『大回転光波』!!」


クリンが使った鬼人化はその名の通り、鬼人になってステータスがアップする。クリンの鬼人化は普通のと違って金髪から白髪に、そんでもって白目になって赤い隈取が顔に浮かぶ。


「やっぱりファンとしてはそこは譲れませんから!!」

「その為にSP100はやり過ぎだと思いますわよ?」

「ルゼダも一緒じゃん。」

「まぁそうですけど、『退魔の矢』」


ルゼダが手に入れたのは光の弓矢を生み出してMPの続く限り攻撃に使えるという物。しかもこの弓矢には相手のバフを消し飛ばす効果も付いている。味方に当てればデバフ解除、状態異常回復、設定しているバフの付与と回復とかいうぶっ壊れスキルである。その分消費MPは大きいらしい。


「さすがにSP150は痛かったですわ。」

「それぐらいの効果はあると思うがな。」

「そう言えばルドさんは何を取りましたの?」

「俺?それがなぁ・・・・。」


SPは確かに10支払われている。けれどもSPを消費してスキルを手に入れる一覧には全くスキルが映らなくなってしまった。


「多分オリジンスキル持ってるからなんだろうなぁ。」

「それじゃあSPはどうするんですか?」

「使えないんじゃ宝の持ち腐れですわね。」

「勿体ないですよねぇ。」

「いやSPは使えるんだよ。」

「ぱぱ、えすぴーもうつかったよ?」

「「「えっ!?」」」


俺が持ってるオリジンスキル<金剛巨神体>と<巨操盾術(対)>は普通のスキルと違ってレベルが無い。ここら辺は流派スキルと似たような物だけど、実はこの2つのスキル、進化するのだ。そして進化に必要な物がSPって訳だな。


「それで、進化したんですか?」

「そんな簡単に進化するか!!SP両方共100必要なんだよ。」

「それじゃあ今回手に入ったSPは?」

「金剛巨神体に全部ぶっこんだ。」

「それでも10分の1ですわね・・・・。」

「さきはながいの~♪」ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪


嬉しそうに言わないでくれシアちゃんや・・・・。


「レベルが上がったらこんな苦労しなくて良いんだがなぁ。」

「今言っても仕方ないですよ。それよりどんどん先に進みましょう!!」

「そうですよ!!海底都市を救ったら又SP貰えるかもですし!!」

「人助けに報酬を求めるは何か嫌な気分になりますわね・・・。」

「貰えても貰えなくても助けに行くだろ?と言う事で休憩終わり!!進むぞ!!」


飛び出してくる平目や鯛、烏賊や蛸、鮪に鰹、様々な魚介系の魔物を倒しながら進む。やべ、なんか刺身食いたくなって来た・・・・。


「なんかお腹空いて来ました。」

「お刺身とか美味しそうですよね・・・・。」

「海鮮丼なんかも良いですわねぇ。」

「その話題は危険だ!!俺も腹減って来た・・・・。」

「しあはおなかいっぱーい!!」


そりゃ魔物の大半を食べてればお腹は膨れるだろうなぁ。羨ましい!!


ダンジョンの階層としてはそろそろ50階に到達する所かな?もしこのダンジョンが100階層なら丁度中間か・・・・。ボスが居たりして。


「ルドさん、なんか大きな扉が見えますよ。」

「扉っちゅうか、引き戸?」

「提灯が下がっていますわね。」

「お食事処って書いてます。」

「おしょくじどころってなに?」

「お食事処ってのは、飯屋つまりレストランって事だ。」


でも何でダンジョンの中に飯屋があるんだ?こういう時は大体中ボスが居るもんだろ?


「とりあえず入ってみます?」

「そうだな、何が出て来るか分かんないから気をつけろよ?」

「とりあえずバフを掛けときますわ。」

「何か食べれないかなぁ・・・・。」

「わくわく((o(´∀`)o))ワクワク」


とりあえず代表として俺が引き戸を開けて中に入る。


ガラガラガラッ「らっしゃーせー。」


えっと、寿司屋?店の中央に板場があって、それを囲う様にカウンター席が作られている。テーブル席もあるけれど、4つしか無いな。


「お客さん何名で?」

「えっ?あっあぁ、5名だ。」

「丁度カウンターがあいとりやすんで、そこに座ってくだせぇ。5名様ご案なーい!!」


カウンターに座るよう促されたので、素直にそのまま座る。皆も俺と一緒にカウンターに座った。あっこれ子供用の椅子ですか?すみませんありがとうございます。シアはここに座ろうなぁ。


「ルドさん大丈夫なんですか?」

「今の所攻撃もして来ないしな。それによく見て見ろ、ここ非戦闘エリアになってるぞ。」

「あっ本当だ!!ここセーフエリア扱いだ!!」

「ダンジョンの中ですのに不思議ですわね。」

「おー、おさかないっぱい!!」


板場の中には寿司屋とかで見る透明なショーケースが置かれていて、その中には色々な魚が下処理されて置かれていた。うーむ、丁寧な仕事をしているのがここからでも分かるな。どれもこれも宝石みたいに綺麗だ。


「さてお客さん方、なんでこんなダンジョンの中に飯屋があるんだってお思いの所だとおもいやす。」

「えぇまぁ。」

「不自然ですわ。」

「おかしいよね。」

「そう聞いて来るって事は何か理由が?」


板場から俺達に話しかけてきた板長が、胸を張ってから俺の疑問に答える。


「何を隠そうこの板長がここのボスになります。そしてお客様方にある挑戦をして貰ってるって訳ですわ。まぁここに来たのはあんた達が初めてですがね!!」

「挑戦って一体何ですか?」

「それは・・・・。大盛海鮮丼時間内に食べきれるのか!!大食いチャレンジー!!」ドンンドンパフパフ♪


1人板場でノリノリな板長。俺達はそれを唖然とした顔で見守る事しか出来なかった。板長、初めての客だからって張り切り過ぎてないかい?空回りしてるぞ!!ほらっ!!一緒に居る従業員らしき人も頷いてる!!


「いえね?普段なら普通に戦闘なんですが、今は祭りの時期!!来てくれるお客さんに楽しんでもらわねぇとと思って趣味の料理を披露したいだけなんですよ。」

「それってクリア出来なかったらどうなる?」

「ただダンジョンの入り口に戻されるだけ、何のペナルティもありませんやな。」


ペナルティ何も無いのか。それなら挑戦してみても良いかな?


「まぁ普通に金払って飯食って帰りたいってんならそれでも良いですぜ?腹減ってるんでしょう?その場合先には進めませんがね。」

「つまり先に進みたければ挑戦しろと?」

「そうでやす。」

「ルドさんやりましょう!!」

「何事もチャレンジです!!」

「お腹もすいてましたし願っても無い事では?」

「しあもたべるー!!」


うーむ、ボスの話を鵜呑みにするのもどうかと思うけど、ヒントも無いしなぁ。セーフエリアだから戦闘も出来ないし、特殊なギミックボスだったって事か?俺達の目的が海底都市にあるからどちらにしろ受けるしかないか。


「じゃあ、その大食いチャレンジに参加って事で。」

「あいよ!!大食いチャレンジ5名様参加―!!準備するぞ!!」

「へいっ!!」


あっそっちの人喋れたのね。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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