第107話
あの後ビーチは完全に安全地帯となった。何度か悪霊着きの攻撃を受けたけれど、白判定を受けた人を天井に上がれるようにしたことで、不審な動きを即座に察知して排除することが出来た。
「さて次はこちらが攻勢に出る番だ。」
「ここに集まらなかった人は全員黒と判断して動く。それでいいな?」
「後は乱戦にならないよう。固まって動く事。もし乱戦になってしまった場合は事前に決めた合図を行う事ですわね。」
「でもあんな合図でいいのか?すぐにバレないか?」
「男女で合図は分けてるし、すぐには気付かないだろう。それに最悪ここに戻ってくれば白黒はっきりする。」
「留守番は任せてくれ。きちんとここを守るよ。」
「しっかし盾の人が居なかったらもう全滅してるんじゃないか?」
「違いない。後でフレンドコードを交換しないか?一緒にイベントダンジョンに潜って貰いたい。」
「ずるいですわ!!私達も同じように考えていましたのに!!」
「盾職がこれほど凄い職業だなんて思わなかったもんなぁ。」
「くそう!!こんなに活躍できると解ってたら騎士から双剣騎士になんてならなかったのに!!」
「はははっ、そこまで楽な道じゃなかったけどね。それじゃあ外の事は任せた。」
「「「「「「「任された!!」」」」」」」」
壁の中から外に出ていくギルドを見送り、俺達はここの防衛に専念する。紛れ込まれないよう全員で固まって動くから戦力的にはかなり有利なはずだ。
「ぱぱ、みんなだいじょうぶかな?しあはいかなくていい?」
「シアはパパと一緒にここを守ろうな。返ってきたときに安全地帯が無いと困る事になるからね。」
「はーい。」
「ルドさんももう無茶しないで下さいよ?復活出来ないんですから。」
「無茶はしないよ。でも回復出来る人には居て欲しいなぁ。」
「ルゼダちゃんに連絡出来れば良かったんですが・・・・。」
「俺の姿を見てここに来ないって事は無いだろう。多分悪霊着きにやられたんだろうな。まっ無い物ねだりをしてもしょうがない。守りを固めようか。」
「「はいっ!!」」
一方、悪霊着きを討伐に行った部隊はと言うと。順調に悪霊着きを討伐しながら島をゆっくりと回っていた。
「そっち行ったぞ!!」
「隊列に紛れ込まれない様にして下さい!!人の壁を作って侵入を防いで!!」
「今一人通った!!中に居る奴等は警戒してくれ!!」
「混ざり込んだ奴は倒したぞ!!HP減った奴は回復しておいてくれ!!」
「襲って来た奴らは全部倒した!!」
「全員無事か!!」
討伐部隊の安否をリーダーとなったキリュウが確認する。討伐部隊の仲間はそれぞれがキリュウに見える様に合図を送っていた。そしてキリュウの目に合図を送らない者が写る。キリュウはおもむろにその人物に近付いて行った。
「おうお疲れ。疲れただろう?」
「あぁ、でも悪霊着きを倒さないとイベントが終わらないんだろ?だったらさっさと倒してバカンスを楽しみてぇよ。」
「そうだな、だから悪霊着きはすぐに殲滅しないとな。こういう風になぁ!!」バゴンッ!!
「ぐふぅ!?なぜわかった!!」
「教えるかバァーカ!!」
ポリゴンとなって消えていく悪霊着き。それを見送ってキリュウは再度仲間に目を向ける。すると、全員が取り決めた合図をキリュウに返す。
「しっかしバレねぇもんだなぁ。こんな簡単な事なのによ。」
「動作が小さいから分かりにくいのでしょう。提案してくれたリダさんに感謝ですね。」
取り決められた合図、それは男性であれば視線を合わせた時に指を小さく弾く、女性であれば服を小さく払うという単純な物だった。
「うっし、確認が取れた。5人やられちまったな。」
「兄貴、仇を取りやしょう!!」
「おう!!次行くぞお前達!!」
「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」
悪霊着き側は追い詰められていた。特に連携を取る事も無く好き勝手に暴れていた為に、一致団結した討伐部隊に徐々に追い詰められているのだ。慌てて悪霊着き達も連携を取ろうとするも、すでにかなりの数が討ち取られてしまっていた。
「おいっ誰かあの部隊に混ざってかき回してこい!!」
「無理だ!!どうやってか知らんが混ざりに行ったら確実に狩られる!!」
「魔物召喚で一気に攻めるしか無いぞ!!」
「召喚するにしてもこちらの人数が少なくて無理だろうが!!すぐに魔物も狩られちまうよ!!」
「爆弾やろうはどこ行ったんだよ!!あいつが居れば集団何て一発で吹き飛ばせるだろうが!!」
「すでにやられちまったよ!!」
悪霊着き達が拠点にしている森の中の洋館。徐々に討伐部隊はそこに迫って来ていた。
「姿を消して逃げるしかねぇぞ!!生き残ってりゃチャンスは来るだろ!!」
「くっそ、ビーチを抑えられたのが本当にいてぇ。あそこ姿消してもバレるからな。」
「悪霊着きが誰か分かる奴が居る何て聞いてねぇぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「占い師ポジションは最初っから予見されてたろうがよ!!」
「俺は逃げるぞ!!逃げるからな!!」
「勝手にしやがれ!!死亡フラグってんだよそういうのは!!」
ガチャっドカーンッ!!
逃げようとしてドアを開けたその時、悪霊着きの体が宙を舞い反対側の壁に激突した。
「よう悪霊着き共、覚悟は良いか?」
「討ち入りじゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「「「「「「「「げぇっ!?」」」」」」」」」
「ほらほら、大人しくしなさい!!」
「さっさとバカンス楽しみたいんだよ!!ダンジョンも楽しみだしな!!」
「もどったら盾の人をレンタルする順番を決めますわよ!!」
「おう!!本当に楽しみだぜ!!」
「その為には!!」
「「「「「「「「「「「「お前達が邪魔だ!!」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「「「ぎゃーーーーーーっ!!」」」」」」」」」」」」
こうして悪霊着き達は全滅するのだった。
ピンポンパンポーン⤴ ただいま旅人が悪霊着きを全滅させました。防衛側の勝利となります!!防衛側には勝利ボーナスとしてSPを10差し上げます。皆様お疲れさまでした。ピンポンパンポーン⤵
「おっ終わったみたいだ。」
「こっちには誰も来ませんでしたね。」
「ひまだった!!」
ふぅ、無事に防衛側が勝てたか。おっ?皆が戻って来た。
「「「おかえりー。」」」
「「「「「「「「ただいまー!!」」」」」」」
イベントが終わったからか、幽霊になっていた人たちが次々に復活して来る。って結構このビーチに集まってたんだな!?
「ルドさんやりましたね!!」
「よく頑張りましたわ!!私達は早々にやられてしまいましたから・・・・。」
「おうクリンにルゼダ。やっぱりやられてたか。」
「お疲れ様です2人共。」
「おつかれさま!!」
「そうですわ!!ずっと見てましたけどその子がシアちゃんって本当ですの?」
「とっても可愛いですね。」
「しあはしあだよ?」
「進化したんだよ。まぁその話は後でな。それより向こうをどうにかしないと。」
俺の目線の先には壮絶なジャンケンをしている人達が居る。そう、俺が一緒にダンジョンに潜ると約束したギルド達だ。
「「「「「最初はグー!!ジャンケンポンッ!!」」」」」
「ぐあぁぁぁぁぁ負けたぁぁぁ!!」
「やった勝ちましたわ!!」
「まだだ!!これからは潜る順番を決めるぞ!!最初に潜るのは一番になった所だ!!じゃあ行くぞ?最初はグー!!ジャンケン~。」
「「「「ポンッ!!」」」」
「あれは何をしていますの?」
「あー、ダンジョンに一緒に潜ってくれって頼まれてな。俺達も個人で潜りたいから人数搾ってくれって言ったんだよ。1日1時間限定で一緒に潜るって約束でな。どうやら4つのギルドに絞ったみたいだな。」
「それでジャンケンなんですね。」
「たとえ1時間でもルドさんが盾をやれば20階層くらい行けそうですね。」
「ギルドで潜ればもっと行けるんじゃないか?」
「人数が多ければ多いほど射線が被ったりしますわ。多い方が良いというのは間違いですのよ?」
「それもそうか。」
「よっしゃーーーーーーっ!!」
「「「畜生!!」」」
おっどうやら順番が決まったみたいだな。後は日程の調整だな。
「ぱぱ、しあおなかすいた。」くぅ~。
「おっそうか?それならバーベキューの残りでも焼くか。」
「僕達も食材提供します!!」
「あら?バーベキューをしますの?じゃあ祝勝会にしましょう!!」
「悪霊着きだった人も呼んで反省会もしましょうよ!!又イベントがあるかもしれませんし!!」
「だったら俺がまた巨人化して声を掛けるよ。」
「おう!!宴会の話か?俺達も混ぜろ!!食材と場所の確保はしてやるからよ!!」
「飲み物はこちらで用意します!!」
「皆聞け!!これからお疲れさまの宴会やるぞ!!声かけて回ってこい!」
「「「「「「へいっ!!」」」」」」
その後は悪霊着きも防衛側も皆ログイン時間ギリギリまで騒ぎ、楽しい夜を過ごすのだった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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如何だったでしょうか?地味にルド君達の強化と交友関係を広めて盾に対しての意識改革が進んだ話にしてみました。
次は第10章として作ります。何話になるかは分かりませんが、今細かく描写する練習をしようと思いますので長く感じてしまうかも?だれ無いようにしかしてちゃんと読者に伝わるように書くのはすごく大変ですよね。出来ている人が本当に羨ましい・・・・。
次の題名も決まっています!!そしてルド君達が手に入れたアイテムでまだ使って言内の物もありますよね?さてそれらが一体どうなるのか!こうご期待と言う事で次回の更新をお待ちください!!
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