第88話

「申し訳ございません。」


やっぱり駄目だったかぁ。まぁ国同士の戦争にまで発展させたんだ、王族の一員として受けられんわな。


「そんなっ!!どうしてですか!?」

「私、巨乳が好きなもので。」


そんな俗物的な理由なんかーーーい!!


「村長!!あんた馬鹿だろ!!ここで受けとけば戦争は止まったかもしれないのに!!」

「自分の性癖に嘘は付けません!!」

「そこは目をつぶる所だろうがよぉぉぉぉぉぉ!!」


俺が村長の首を掴んで振り回している間に何やら皇女様とメイドさんがこそこそと話をしていた。


「ゴホンッ!!胸が大きければ結婚して頂けるのですね?」

「えぇ、Hカップ以上でしたらなおいいです。」

「こんのおっぱい星人が!!俺こんな人の村に住むの嫌になって来た・・・・。」

「ならば安心ですね。」


そう言いながらメイドさんが懐から棒状の魔道具を取り出した。あれ?それって性別変換する奴じゃ?


「本当は肩が凝って嫌なのですが・・・。愛する方の希望でしたら仕方ありません。」

「では行きます。『解除』」


メイドさんの解除の言葉を受けて魔道具が光出し、その先に居たお姫様の姿も光出した。そして少しの間光ったかと思うとそこには・・・・・。


「結婚してください。」

「喜んで♡」


茶髪は変わって無いよ?髪型もボブっていうの?あんまり詳しくないんだけどそんな髪型。そして極めつけはお胸!!なんとチョモランマが生まれてました!!いやそれにしてはでけぇな。


「お嬢様はJカップです。普段は重たいからとこの魔道具で小さくしているのですよ。」

「あぁ~、肩が凝ったり動き難いってよく言いますもんね。」

「左様です。」


ってかさっきから俺達2人の事をほっぽってイチャイチャし出してますが?俺は地味に村長の事を軽蔑していますが?このイライラどこにぶつけてやろうか?よっしそれなら。


「それじゃあ俺はこの事を村の連中に伝えてきますね。」

「あっ、すみません。お願いします。」

「クロエさんでしたっけ?お疲れさまでした。」

「お嬢様が大変ご迷惑をお掛けしました。」


すぐに2人の空間を作り始めた村長たちに冷たい目線を送りつつ俺は屋敷の外に出た。さてと、それじゃあ巨人化薬を飲んで、巨人化して、咆哮も使ってと


「咆哮『村長は巨乳好きのおっぱい星人だったぁぁぁぁ!!おっぱいしか見ていない最低の屑男だったぁぁぁぁぁ!!攻めて来た相手が巨乳だからって結婚を申し込んだぞぉぉぉぉ!!』」

「「「「「「「「なんだってぇぇぇぇぇぇっ!!」」」」」」」」


嘘は言ってないぞ。後は焼き討ちにでも合えば良いのだ。禿げろ!!そして爆ぜろ!!ほら見よ!!迷惑を掛けられた村民が大挙して村長宅に押し入っておるわ!!


片付けが大体終わり、正式に村長の結婚報告がされるという事で住民は皆広場に集まった。まぁ集まった住民は皆穏やかな雰囲気じゃないけどね。


「村長ってそんな人だったの?」

「誠実な良い人だと思ってたのに。」

「女性を胸でしか見てないなんてサイテー。」

「この前優しくしてくれたのもその所為だったのね。」


女性達が村長に冷たい目線を送る。そりゃ俺が巨人化と咆哮まで使って広めたんだもの、村の端から端まで声が届きましたよ。


「あんな巨乳の嫁さんを捕まえるとかもげてしまえ!!」

「禿げろ!!そして幻滅されろ!!」

「そんな良い人が居ながら嫁さんが居ないと嘆いてたのか!!この糞野郎!!」

「独身同盟の裏切り者!!」


嫉妬に狂った男達が血走った目で村長を見る。可愛い顔をしてなおかつ巨乳、そりゃ嫉妬もしますわな。


「・・・・と言う事なのです!!皆さまこの度は大変ご迷惑をお掛けしました。」

「この補填は帝国からもさせて頂きます。戦争状態も解除されると思いますのでどうか私達の結婚をお許しください!!」


顔面ボコボコの髪の毛ちりちりの村長と、大きな胸を揺らしながら頭を下げる皇女さん。村長から事情を聞いた村の人も、まぁそこまで村長の事を思ってくれている人ならと結婚は了承した。


しかし!!ここで問題なのは結婚したら村長は村を出て行かないと行けない事!!第3皇女様との結婚だからね!!向こうにいって皇帝として教育を受ける必要が


「無いらしいぞ。」

「無いの!?」

「皇帝は長男が継ぐんだそうだ。皇女は元々他国に嫁に出される予定だったんだと。それならば娘の願いを叶えたいという現皇帝の親心が暴走した結果でもあったわけだ。」


後に聞いた話だと、皇帝は娘が認める程の天才ならぜひ帝国に欲しいと調査員を送って調べる事もしていたそうだけどね。娘大好き皇帝が他所の国に嫁に出すのを渋っていたそうだ。なんと村長の命を狙った軍部のお偉いさんの不正。帝国の諜報員がわざと漏らしたんだって。その恩を使って帝国に呼び込もうともしていたとか。国王の予測は大外れだな。


「まっ向こうの諜報員の方が腕は上だ。良いように踊らされたんだな国は。」

「それも今後は良くなるんだよなぁ。」

「村長のおかげでな。」


一応王族の一員である村長に嫁入りするわけだからと講和条約が締結され、帝国と王国はこれから技術交流も合わせて深いお付き合いをしていくことになった。


王国からは強い兵士を育てる術を、帝国からは魔道具技術をお互い教えていい範囲まで公開する事となり、両国で交流留学が頻繁に行われる運びになる。


「これで戦争も一段落かね?」

「後世にこう言われるんだろうなぁ。両国を巻き込んだ結婚騒動だって。これ王家の汚点にならんのかね?」

「なるとしたら美談だろうな。戦争中の両国の争いを止めた2人の愛ってな。」

「ロミオとジュリエットが在るくらいだからなぁ、そんな美談になるんだろうなぁ。」


ロミオとジュリエットの話は旅人が持ち込んだものを読んで知ったそうな。帝国では魔道具を使った舞台が盛んで、今大人気の演目になってるらしい。そのうち配役が村長と皇女さんに変わりそう。


ピンポンパンポーン⤴ ニノヒ帝国とロロキー王国の戦争状態が解除されました。戦争解除に貢献された人にはアクセサリーとSPを贈呈いたします。戦争が回避された事により、両国間での行き来が自由になりました。転移ポータルにて帝国を訪れる事が可能です。皆様お疲れ様でした。ピンポンパンポーン⤵


「ふぅ、これで一安心だ。」

「それで、行くんだろ?」

「あぁ!!戦争状態も終わったんだ!!街に行って鍛冶屋に突撃して来る!!」

「まぁ今回も無駄足にならん事を祈っとく。」

「もうそろそろ俺にも運が向いて来るはずなんだ!!だから大丈夫だ!!」

「そうか、まぁどちらにしても無事で居ろよ?」

「かっこいい盾が出来たら見せびらかしに帰って来るよ!!じゃあな!!」


よっしゃ!!シア行くぞー!!

( ´ ▽ ` )ノ


~・~・~・~・~・~

ここは城塞都市ルドのゴーレムの待機場、ここには今回の騒動で鹵獲したゴーレム達が並んで鎮座していた。


「おーいそっちはどうだぁ?」

「問題ありませーん!!」


ゴーレムの管理は騎士団と自警団が共同で行っており、現在ルリ皇女の証言の元、ゴーレムの数合わせが行われていた。


「しっかし帝国の技術もすげぇもんだな。」

「これ全部人が乗って動かせるんですからね。しかも村長が神器を使わない制御機構を作るとか。」

「皇女様も村長も魔道技術の天才だからな。その恩恵に一番に与れる俺達は幸運だな。」

「ちげぇねぇ!!」


戦争も終わり、緩んだ空気が漂う中慌てた様子の自警団が2人の元に駆け込んでくる。


「たっ大変だ!!」

「どうした?そんなに慌てて?」

「ゴーレムが!!ゴーレムが!!」

「戦争はもう終わっただろう?もしかして追加の結納品か?」

「渡すなら村長が帝国に渡さないと駄目だろう。」

「違う!!ゴーレムの数が足らない!!赤いのとその取り巻きだ!!」

「「なんだって!!」」


帝国では赤落ちの旅人はその罰として薬漬けにされ、ゴーレムのコアとして活動する事を義務付けられる。今回参加した有人ゴーレムの一部はそんな赤落ち達が乗っていた物だった。それらが全て姿を消しているという。


「こりゃ大変だ!!村長にすぐ報告しないと!!」

「俺達はもう一度数を確認するぞ!!間違いでしたじゃ洒落にならないからな!!」

「俺他の奴にも声かけて来るよ!!」


その後、休んでいた騎士団と自警団総出でゴーレムの数を確認したが、確かに赤いゴーレムとその随伴機が全て消えていた。


捜索も行ったが、相手は飛行能力を有するゴーレムだった為に捜索は難航。そして見つからないまま王国と帝国で警戒するという形になったのだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る