困った師匠と武術大会

第46話

※ちょっと短いですがプロローグですので許して(;・∀・)


その男は王都にて力ある者として有名だった。ある分野においてその男に追従する者は無く。騎士団からもお呼びが掛かり騎士相手に指南する程の腕前だった。


男の教えを受けた騎士達は、これで民が守れると男に感謝していた。男も自分の技で多くの命が救えるならと惜しげもなく全てを教えていた。


順風満帆の日々、しかし男は驕らず、常に自身を鍛え、有事の際には率先して前に立ち戦った。


そんな日々が続く中、世界滅亡の可能性と旅人の召喚が民衆に周知された。そして王様より布告が出る。強き者、突出した力を持つ者は召喚される旅人にその技を、力を教えて欲しいと。


秘伝の技を見ず知らずの他人に教える事に武術界隈は紛糾した。たとえ王の命令だとしても一子相伝の技も存在しており、おいそれと教える事は出来なかった。


他の人々が教えを与える事に渋る中、男はすぐに準備を始めた。道場を借り、いつでも旅人を受け入れられるように準備した。自身の技の要点をまとめ、解りやすい指南書まで作った。


自分の所に来る旅人はどのような人物なのだろう?出来れば民の事を守る騎士の様な精神を持った者が良い。


男はいつか来るであろう旅人の事を思いながら、時には騎士団の教練に赴き、時には窮地に陥っている人々を助ける為に奔走した。


男の行動の速さを見て、他の指南役に任命された人々はやっと重い腰を上げ、準備を始めた。


そしてとうとう旅人が降り立つその日、男の人生は大きく動いた。悪い方へと・・・。


その日を道場で迎えた男は、誰一人訪ねて来ない現状を楽観的に考えていた。王都にたどり着く旅人が少ない為に、男に教えを乞える者が居ないのだと。


だが一週間、一月と経ち王都に旅人が到着し始め、他の道場や指南役の所に多くの旅人が訪ねる中、男の元に旅人が来ることは無かった・・・・。


おかしいと思った男は旅人に尋ねた。なぜ自身の教えを受けに来ないのかと。


旅人は口々に言う、男の技術は必要無いと。地味で派手さに欠けると。そんな職業についている者は居ないと。


男は言った。自分の技術は確かに地味な物だ、だが必ず必要になる技だと。役立てる技だと。


しかし男の言葉をあざ笑うかのように、他の指南役に技や力を教えられた旅人は、本来であれば男の領分であった場所を食い荒らしていった。どんどん自分の領分を侵され。焦りを募らせる男。


自分の所にも旅人が来れば!!そうすればこの技がいかに重要なのか解って貰えるはず!


男は道行く旅人に声を掛け続けた。自分の弟子になってくれと。必ず役に立つからと。このままでは男の技が消えてしまうと。


だがやはり、男の技は旅人に受けが悪く。誰一人として教えを乞う者は居なかった。それ所か男に教えを受けていた騎士達まで男の技を捨て、旅人が教えを受ける中でもたらした新たな力の使い方に傾倒していった。


それでも諦めずに男は声を掛け続けた。いつか、いつか必ず自分の技を継承する旅人が現れるのを信じていた。


だが話を聞いた旅人の言う通り、男の技を習得できる職業の者が現れず、あまりにしつこい男の勧誘に、元教え子であった騎士団が男を捕縛する為に動いた。


牢屋の中で失意に沈む男、そんな男に元教え子達は声も掛けなかった。それ所かもう男は落ち目だと、おしまいだと陰口を叩いた。


そして、旅人に教えを授けられない男は不要と役人に談じられ、指南役の任を解かれ半年を断たずして王都から追い出されてしまった。


男は悲観した。自分の技は必ず多くの民を救えるのにと。どうして旅人が誰も自分の所に来ないのかと。自分の技が在れば、もっと安全に戦う事が出来るのにと。


そして行く先々で愚痴をこぼし、酒に溺れた。馬鹿にして来た連中を殴り飛ばした事もある。その所為で騎士団や自警団に厄介になる事も多くなった。


そんな日々を過ごし、男はやさぐれて行った。そしていつしか旅人を恨むようになった。こうなったのも全て旅人が悪いと。自分の所に来なかった旅人の所為だと。


男は旅人にも絡み始め、次々に居場所を失くし、街を転々として行った。そしてどの街にも入る事を禁止された男は、開拓村に足を向ける。


その先に、唯一自分の技を継承できる存在が居る事など、今の男には考え付かなかった。それ程までに、自分の運命に絶望していた。


男の名は双盾師シチート。人々はかつて男の事をこう呼んでいた。『城塞のシチート』と。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 


書きたてほやほやの1話ですよぉ~。冒頭でも書きましたが短いのはプロローグだからですので許して(m´・ω・`)m


いや、グダグダ本文に続けるよりここで一度区切ったほうがカッコイイかなぁって思いましてね?決して筆が止まったわけじゃないですよ?


感謝の更新はここまでですな。なんせまだ続き1文字も書けていませんので。後は章が書き終わったら又一気に投稿しますのでそれまでお待ちを!!


2022/4/10 カテゴリー別週間SFランキング 7位・・・・・(゜〇゜;)?????


ほんとこの五日間何が起こってるの(;・∀・)


でも嬉しいです!!執筆頑張るので応援よろしくお願いします!!


2022/4/11 週間ランキングSFカテゴリー4位になっとる!!(゜ロ゜;ノ)ノ



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