むかしのはなし

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2025.5.19

とってもお久しぶりです。


何も言わず更新を止めてすみません。


なんとなく読み返して完結させたいと思い,

筆を執りました。


拙い文章ですが彼らの物語を

ゆっくりと紡いでいきます。


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僕と唯奈は小さいころからずっと一緒だった。


両親が仲がいいから、よくある話だと思う。


だからこそ僕にとって唯奈が側にいることは当たり前のことなんだと思っていた。

それは綾香が産まれてからも変わらなかった。

だって僕の側にいる人が一人増えただけだったから。唯奈も同じだったと思う。私たちの妹だって綾香を可愛がっていたのだから。


3人になってからも家で遊んだり、公園で遊んだりして過ごしていると幼稚園に入る前、母さんから言われる。


「唯奈ちゃん以外にもたくさんお友達ができるといいね。」


唯奈以外に


その時僕は唯奈との関係を言い表せるようになった。

そうか、唯奈と僕はお友達だったんだと。


唯奈とはいつも一緒にいるけどずっと何だろうって思ってたことがあったが、母さんの言葉でその時初めて理解できた。


だから幼稚園に通うのが楽しみだった。もっと他にも唯奈みたいな友達がたくさん増えるんだって。


そうして幼稚園に入ってからは望んだとおりたくさんの友達ができた。

男の子も女の子も関係ない。

僕と唯奈はいつも友達に囲まれていて中心にいた。でもいつも僕の傍にいたのは唯奈だった。僕はそれで満足だった。



でも唯奈は違った。



「りょうくん。りょうくんはわたしにとっていちばんたいせつなひとなの。だからわたしとつきあって。」



ある日唯奈からそんな風に告白された。

でもこの時の僕は付き合うということがよくわかっていなかったが他ならない初めてで一番の友達の唯奈からの頼みだ。


「ぼくもゆいなちゃんがいちばん(お友達)だとおもってるよ。つきあうってよくわからないけどゆいなちゃんがそういうならいいよ。」


僕は了承した。してしまった。

付き合うということを理解しておらず、母の言うどこか行きたいところに一緒に行く、一緒にいるくらいの感覚だったんだ。


「やったぁ!うれしい!」


「それならよかったや。さぁ、はやくかえろう。」


「うん!」


唯奈が嬉しそうに僕の手を繋いできたのでいつも通り家へと帰ろうとする。


今日は何があった、○○ちゃんとこんなことをしたと何気ない会話をしていると唯奈が足を止めてぷくーっと頬を吹くらませ僕に言ってきた。


「りょうくんは、わたしとこいびとになったんだから、わたしのことをいちばんにかんがえて。」


何か怒った様子の唯奈に僕は困惑してしまいなんでそんなことを言うのかわからなかったが、返事をしてしまった。


「うん。わかった。ゆいなちゃんのことをいちばんにかんがえてこうどうするよ。」


「ほんと?じゃぁ、これいじょうりょうくんのまわりにおんなのこがこないように、ゆいないがいのおんなのこがきらいってまわりにいって」


「えぇ、なんできらいっていわなきゃいけないの?きらいっていうとかなしいんだよ?」


「うぅ、でもいやなの!!じゃぁゆいないがいとはあんまりはなさないようにして!!」


「わ、わかったよ。あしたからそうしていくから。」


子供ながらにおかしいと感じていたけど、そのときはこうしないと嫌われるという気持ちが強くて反抗する気なんて起きなかった。


その日から僕は女の子を避けるようになっていた。


それは小学校に入っても同じだった。


小学校はまた見たことのない人たちで沢山だった。小学校に入ったころ僕の見た目もそれなりに成長しており注目を集めたのか入ってすぐに女の子に囲まれた。


そんな状況でも唯奈は表立って周りの女子に牙をむくことはない。


「ごめん、僕はゆいなちゃんのそばにいたいから。」


こうして、あくまでも僕から離れるように言わせていたんだ。


それでも小学校の間に女の子たちから声をかけられたり告白されるのが止まることはなかった。


そして中学に入る前、唯奈から新しく追加のがあった。


「涼は頭もいいし、運動神経もいいから結局女の子が離れることなかったじゃない。いい?これからはテストでは平均点、運動も平凡な評価にして。絶対に目立っちゃダメだよ。あと前髪を伸ばして顔を出さないようにして。」


「うん。わかったよ。」


どうして唯奈は僕が目立つのが嫌なんだろう?

女の子には唯奈に言われた通りに伝えているし、僕が目立ったところで何もないのに。

でもそれでも僕はただいう通りにするだけだった。


中学に入ったら、唯奈に告白する人が増えた。

僕は地味な恰好にさせられていたから、そんな恰好で唯奈の側にいると周りの男子から嫌われていた。


たまに呼び出されて脅されたりしたこともあった。


それでも一緒にいてくれた友人がいたから過度ないじめを受けることはなかった。けど、そんな友人とも唯奈を優先しなければいけないため、あまり遊ぶことはなかった。


そして高校に入る前にまた変な要求をしてくる。



「明日から高校だけど、このつけ髭をつけなさい。ある程度買っておいたけど無くなりそうになったら買い足しておいてね。ちょっとでも不潔にみられて他の子が近寄らないようにしないと…。あと涼は背が高いから猫背でオドオドした感じで過ごしなさい。」


「あぁ。わかったよ。」


それを言われても僕はもう何も疑わずにただただ従うだけだった。


入ってそんなに経たずに僕は孤立していた。

朝日たちだけは変わらず接してくれていたが、入学してすぐ浮いていた僕と一緒にいるのはよくないと僕から距離を置くようにしていた。


そんな中で唯奈が僕ではなく沢田を選んだ。

信じていたものがすべて崩れ去り、そうしてはもう我慢なんてせずにとして過ごし始めたんだ。


捨てられて、ムカついて、後悔して、それでも自分の間違いに気づいて。



ふぅ、と一息つき僕は唯奈を改めてみる。


その顔はさっきよりも青白く後悔にまみれた顔だった。


「これが僕からみた、唯奈が僕にしてきたことだよ。今思うと疑わずに盲目に従っていた僕も同じくらいか、それ以上に悪いのもわかってる。でも、でももう僕を解放してくれないか。これからは君に縛られたくない。自由にしたい。僕の大切な一番の友達の唯奈をこれ以上嫌いにさせないでくれ。頼む。」

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