解体

日記

　３月１日

　丁寧に行うように。素早く、しかし綿密に行わなければならない。無茶な話だ。やったところで報われるかどうかはわからない。ペンを忙しく走らせる。それと同時に俺は抗わなきゃいけない。絶対に負けちゃだめだ。

　３月4日

　ギターをかき鳴らす。昨日のライブは最高だった。まだ余韻が残ってる。いつかあんな風に。でも今日もペンを走らせねばならない。少し蝕まれてきているような気がする。いや気のせいか。

　３月9日

　カンカンカンカン……イライラする。うるさい。気が狂いそうだ。俺が何したって言うんだ。お前らなんかに絶対に負けないから。そう誓ったから。やり遂げるんだ。絶対に。

　3月11日

　電車の中で書いている。めまいがしている。ここなら安全だろう。そう思いたい。もう少しで奴らが侵入してくるかもしれない。そうなったらどうなるか、想像もしたくない。俺はどんな状況でも決してあきらめない。生き延びてみせる。

　3月14日

　雷だ。光を見ると心臓が張り裂けそうになる。老人のおかげでなんとかなった。今世話になってる。頭が重い。考えつかない。後どれぐらい耐えれるか。わからない。

　3月16日

　神は偶を呈し、人はどこへ向かうか。それが最上の問題だろう。光を手にするのが先か、闇に食らわれるのが先か。皆と語らっている時間が楽しい。久しぶりに消化器を充填できたのも小では無いだろう。生命に感謝。

　3月18日

　この上ない虚脱感。仲間の介抱なしではもう。思わず終末を感じる。熱伝導を有する、それがいくら臓器に至っても変わらない。ああ、肌が足りない。動物をしたい。

　3月21日

　救世主。６本が1本になり、何層にも、何層にも重なり合う。全ての癒し。全ての、全ての

　3月23日

　開け、開け、開け。開いてくれ。お願いだから。手がいっぱいだ。手が、そう手！　手が全てだ。だから開いてくれ。頼む。

　3月25日

　雑巾、雑巾、雑巾、雑巾、雑巾、雑巾、雑巾、雑巾、腹、腹、腹、腹、出る、出る、出る、出る、出る、出る、出る、出る、出る、出る、出る

　3月28日

　この男は日記を書いていたようだ。せっかくだから私も書いてみるか。