とある生命体A、Bの観察日記

2^3

 ある日、俺の部屋に奇妙な生命体が2体現れた。

 その2体の生命体はすぐさま俺の部屋から逃げようとしたが、俺は捕らえることに成功した。

 好奇心で捕まえてしまったが、どうしようか。

 少し悩んだ結果、俺はこの2体の生物をそれぞれ生命体A、生命体Bと仮名をつけ、観察日記をつけることにした。



 ◻️月◻️日 天気 晴


 今日から生命体A、Bの観察日記を記録する。

 生命体A、Bは突如として俺の部屋に現れた2体の生物である。


 生命体Aは二足歩行であり、2本の腕をもつヒト型。

 おそらくだが、言語能力を有している。知らない言語であるため、何を言っているかは不明。


 生命体Bは四足歩行である。腕はない。頭部には角が生えている。どうやらこちらには言語能力はないようだった。

 しかし、生命体Bには驚くべき能力があった。

 空中に浮遊したのだ。前足(4本足のうち前2本を前足、後2本を後ろ足とする)を上げると、まるで空中に床があるかのように振る舞うのである。

 まさしく、空中浮遊能力。

 これは歴史的大発見になるのではないだろうか。


 観察を続けると、2体の生命体の様子が少しおかしいことに気づいた。具合が悪そうだ。

 俺は食べ物が必要なのだと考え、簡単な食事を用意したが、生命体A、Bともに食べることをしなかった。口に合わなかったのだろうか。少し心配だ。


 さて、夜も更けてきたため、今日はこの辺までにしておこう。

 続きは、明日にまわして寝ることにした。



 ◻️月◻️日 天気 雨


 最悪だ。逃がしてしまった。

 俺が起きたときにはすでに、生命体A、Bの姿はなかった。

 何故気づかなかったのだろうか。

 空中浮遊能力があったのだ。空間移動能力を持っていても不思議はない。


 そんな訳で、たった一日で観察日記は終わってしまった。

 残されたのは生命体Aが忘れていったと思われる、丁寧に包装された箱型のモノだけである。

 結局、あの生命体は何のために俺の前に出現したのだろうか。

 うーむ。わからない。謎のままだ。


 そういえば、わざわざ購入したこの日記帳も無駄になってしまったな。

 もうすぐ正月だから、休み期間の間は日記でも書こうかな。


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