日記

影神

タイムカプセル



『卒業』




それは。



何かの終わりと。



何かの始まりを意味するモノ。




ザクッ、ザクッ、、




俺達は、小学6年の時に埋めた。



タイムカプセルを掘り返しに来ていた。




「もうここに来る事も、無いんだな。」



彼は、高松源。



スポーツが得意で、クールだ。



「別に帰って来たって良いんだぞ?」



彼は、峰岸弘輝。



見た目が良く、女子受けが良い。




「早くいい男捕まえて。



結婚して、、」



彼女は、益田佳緒里。



あざとい系女子ってやつだ。



「何だかこうしてみると。



寂しいわね、、」



彼女は、山東美智瑠。



賢いし、見た目も良い。




皆。カーストで言うなら、



一軍って所だけど。



俺等の代は、皆仲が良かったから。



そんな溝は存在しなかった。




「そうだな、、」



俺ひとりで掘っていたのは、



じゃんけんで負けたからだ。



別にハブられている訳じゃない。




「俺の名前は、」



ザクッ、ザクッ、カン、




「んっ、、」 



弘輝「おっ。見つけたね?」



佳緒里「何だかワクワクする、」




「はあ、、」



俺は、腰を地面へと着ける。



源「お疲れ」



美智瑠「お疲れ様。




はいっ。」



渡されたペットボトルを受け取る。



「ありがとう。」




源「誰開ける?」



佳緒里「私開けたい!」



弘輝「何入れたっけ、、」



美智瑠「もう、忘れちゃったわ」




皆のその姿を。



少し離れた所から見る。




こうやって。



6人で集まる事も、、




無いんだろうな、、




幻想、、



いや。




"過去の記憶"




欠けてしまったパズルが。



一瞬。



記憶と共に蘇った。




弘輝「何だこれ、、」



佳緒里「あれ、、?」



源「先を越されたか?」



美智瑠「いや、、



見て、、。」




皆の様子が変だった。



「どうしたんだ、、?」



喉も潤い、汗も引いたから。



皆の所へと駆け寄ろうとしたが。



何だか空気が悪かった。




弘輝「おい。誰だ、、



こんな事したの?」



佳緒里「ちょっと。




性格が悪いよ、、」



美智瑠「そんな訳、、




どうして。」



源「友達を疑うのはやめよう。




掘ったのはじゃんけんで負けたからだ。



誘ったのは佳緒里。



他の誰にでも出来たはずだ。」




佳緒里「確かに。



そうだけど、、」



弘輝「誰がこんな事、、」



「なになに。



どうしたんだよ?」



皆が見る先には、クッキーの缶詰めの中に。



一冊の日記が入っていた。



「行方不明者リスト?」



手に取り。ページを捲ると。



そう、書かれていた。




名前と、その事件の新聞の切り取りが。



綺麗にまとめて貼られていて。



沢山の行方不明者の名前が。



この日記に載っていた。




「何だこれ、、」



貼られた情報は最後まで続き。



裏表紙を見て。



俺は、言葉を喪った。




尾河諒。



いつも俺達が遊んでいた仲間のひとり。




俺達は、いつも6人で居た。



6人一緒に。



ずっと居れるはずだった、、




彼は、タイムカプセルを埋めてから。



中学校へと上がる前に。




行方不明になった。




このノートの持ち主は、尾河諒の様だ。




佳緒里「帰ろう、、?」



弘輝「最後がこんなんで。



残念だ、、」




2人は帰って行った。




美智瑠「どう、思う、、?」



「どうって、、」



俺達がここで会える。



最後の日だった。



タイムカプセルなんて開けなきゃ良かった。




源「本当に。



諒のだったら??」



美智瑠「、、。



漫画みたいな展開だけど。




もし、仮にそうなら。



そうだとして、これを解いたら。




彼が見付かるかも知れないわね。」




馬鹿げた話。




他人が。



嫌がらせで。



尾河諒の名前を使っただけ。




でも、もし。



本当に諒のだったら、、




またあの頃に戻れるのかもしれない。









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日記 影神 @kagegami

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