逆日記
愛空ゆづ
逆日記
私の一週間は何の面白みもない。起床飯昼寝風呂飯就寝起床……これが7回並んでいるだけ。誘われれば喜んで外へも出かけるが、自分から誘う事などはない。相手に迷惑がられるだけだろう。空欄の予定表を見ながら、今日も1日退屈な日々を過ごす。例えば、私が日記をつけたとして、毎日“何もない1日だった”という1行を書くだけだ。
新しいことを始める気も起きないばかりか、今までやっていたことも徐々にやめている。日に日に無気力になっているのを感じる。そうしてまた働かない頭でネットを眺めていると、逆日記なんていうアプリが目に入った。
それは日記に書かれている内容を逆に私が実行していくというものだった。
最初の1ページ目は“部屋の掃除をした”だった。薄汚い部屋を綺麗にするいい機会だ。とりあえず今ある要らないものを捨ててみよう。少し気分が晴れたような気がする。
2ページ目は“風呂にゆっくり浸かった”だった。意外なことが書かれているもんだ。確かに、最近はシャワーだけで済ませる日も多い。浴槽を洗って、いつ買ったかも覚えていない入浴剤を入れた風呂につかる。
3ページ目は“筋トレをした”、4ページ目は“一日中寝た”など、どういう訳か私が、疲れて何もする気が起きないときにちょうど休みを強要してくる。その後は美容院に行かされたり、スーツを買わされたりもした。最新のAIは一体何を考えているんだろうか。1か月が経ったある日、私は逆日記の指示するまま、会社に就職することになった。そこはなんと逆日記を作った会社だった。逆日記に従っているうちにいつの間にか健康な身体と身なりが整っており、更生を果たしていた。
今日は無職の友人の担当になって3日目。“筋トレをした”との日記を送る。
逆日記 愛空ゆづ @Aqua_yudu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます