【KAC202211】未来日記が500円で売っていたので買ってみた
緑豆デルソル
未来日記を500円で購入してみた
仕事が終わった。
さあ帰ってゲームしよう。
家に帰る途中、変な屋台があるのに気付く。
「へい、らっしゃい」
中をチラッと見ると、屋台のオヤジに話しかけられてしまった。
「お兄さんちょっと見ていってよ、面白いのいっぱいあるよ」
まいったな、早く帰りたいんだが。
でもまあ、見るだけなら、そう思って適当に屋台を眺める。
耳栓 十万円
分度器 五万円
鍵 三万円
未来日記 五百円
ほう、未来日記か。
「オヤジさん、この未来日記は本物?」
「ああ本物だよ」
「じゃあ買います」
「まいど」
俺は500円玉を取り出し、オヤジに渡す。
未来日記を受け取り、俺は家に帰った。
どうしようか。
ゲームもいいけど、まずは未来日記を見よう。
一番最初のページに文章が書いてある。
見てみよう。
『3月28日 未来日記が500円で売っていたので買ってみた。思ったより安かった』
今日の出来事が書いてある。
続きを読もう。
『3月29日 帰り道を誰かが付けていて、チャイムが鳴らされた。いたずらは許せない』
『3月30日 家に帰ってまた家のチャイムが何度も鳴らされる。いたずらは止めて欲しい』
『3月31日 また夜にチャイムが鳴らされる。鳴った瞬間にドアを開けても誰もいなかった。どうなってんだ』
何だこれ、怖いなあ。
でもここで文章が終わってる。
結局何なんだろう。
まあいいや、飯食ってゲームしよう。
俺は未来日記のことを忘れ、ゲームをして、寝た。
3月29日
「あー仕事終わった終わった。帰ってゲームしよう」
俺はいつものように、帰り道を歩いていた。
すると急に、背後から視線を感じた。
何だろうと思い、
バッと、背後を振り返る。
振り返るが誰もいない。
そしてまた歩き出すと、背後からの視線を感じる。
俺は怖くなって、家まで走って帰った。
そして家に帰ってくつろいでいると、家のチャイムが何度も鳴らされる。
ピンポンピンポンピンポンピンポン
誰だよ、いたずら止めろよ、と思ってインターホンのカメラモニターから外の様子を見るが、誰もいない。
「誰もいないな……」
俺はふと、未来日記を思い出した。
「そういやあの日記にチャイムが鳴らされるって書いてたな」
俺は未来日記をもう一度確認してみた。
すると新しい文章が書かれてあった。
『3月30日 家に帰ってまた家のチャイムが何度も鳴らされる。いたずらは止めて欲しい』
『3月31日 また夜にチャイムが鳴らされる。鳴った瞬間にドアを開けても誰もいなかった。どうなってんだ』
『3月31日 今すぐ日記を燃やせ』
え?
今すぐ日記を燃やせ?
こんな文章無かったよな。
俺は体からわき出る悪寒を抑えられなかった。
どうする。
このままだと、日記のままになってしまうんじゃないだろうか。
…………。
燃やすか。
うん、燃やそう。
そう思った俺の行動は早かった。
台所に立ち、フライパンの上に日記を乗せて、全てが炭になるまで燃やした。
俺の目の前には、
炭になって真っ黒で触るとボロボロと崩れる、未来日記があった。
その後、俺は飯を食って、ゲームをして、寝た。
3月30日
仕事が終わって家に帰る途中、特に変わったことは無かった。
俺は安心した。
ただ、帰り道に屋台があったことだけは気になった。
帰り道、その屋台の中をチラッとだけ見たが、
屋台には、
未来日記 五百円
と書かれて、それが置かれていた。
【KAC202211】未来日記が500円で売っていたので買ってみた 緑豆デルソル @midorimameDELSOL
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます