ヒキこもりと思われてる少年は真夜中に覚醒する

るるかチャンネル

学校に行けないのには訳がある。真夜中の俺は強いぞ?

俺の名前は夜中初よなかはじめ中学2年生


特技は【夜ふかし】

苦手なことは【早起き】


中学2年生と言っても中学には行っていない。


何故なら朝動けない、理由はシンプル。


朝動けないから学校に行かない、ここだけ聞くと。


甘えんな!!俺だって行きたくない時も、学校に行ってるんだぞって思う奴も多いよな。


俺も去年までは朝キツイなって思いながらも中学校にはしっかり行っていた。


だが、今の俺は朝学校に行けば本当に命に関わる。


時は遡ること4か月前。中学1年生の冬休み中のある日、夜中12時頃に近所の自販機にジュースを買いに行った。


走れば1分も掛からない距離を別に急ぐでも無く自販機へ向かい、いつも買ってるコーラを買う。


寒い中に家から出てわざわざ冷たいコーラを買うとか馬鹿だと思われると思うけど、これを飲みながら朝までゲームをやるのが俺の冬休みの日課だ。


だけどこの日はいつもと違った。


コーラを自販機から取り出して、家に帰ろうと横を向くと。


目の前に前髪パッつんで顔色が悪い同い年?位のハーフ顔の美少女が現れた。


人が現れるって表現は変かもしれないけど、本当に気づいたら目の前に現れたんだよな。


突然現れた顔色が悪い美少女が一瞬笑顔になった。


「にやっ」


その笑顔に変な寒気がした瞬間、俺の意識は無くなった。


次に意識を取り戻した時、何故か自分のベットで寝ていた。


すぐにスマホで時間を確認すると夜中の2時…。自販機にジュースを買いに行ってから約2時間が経過していた。


「起きましたわね」


「へぇっ?」


横からの声に驚き、スマホから顔を外して横を見ると、ベット横には意識を無くす寸前に見た美少女が立っていた。


「な、なに、してるんだよ」


動揺しながら何とか出た言葉がこれだ。


「貴方が起きるのを待っていたのですよ」

「緊急事態で止むを得ず貴方の血を飲んでしまい」

「私に血を飲まれて貧血で倒れた貴方をベットまで運んで起きるのを待っていました」


俺の血を飲んだ?この子は何を言ってるんだ?


「な、何訳分からないこと言ってるんだ」

「血を飲むとか吸血鬼かよ?」


「よく分かったわね。私は真相2位の正真正銘の吸血鬼ですわ」

「とっても強いんですわよ」


笑顔で答える自称美少女吸血鬼


「これでも飲んで落ち着きなさい」


先ほど自販機で購入したコーラを自称美少女吸血鬼から渡された。


「有難う吸血鬼ちゃん」


「急に馴れ馴れしいわね」


急に横に現れたから、驚いて少し吃ってしまったけど。


健全な男子中学生が美少女を嫌いなはずが無い。


むしろ大好物。


受け取ったコーラを飲みながら自称吸血鬼に話しかける。


「それで自称吸血鬼の美少女様は何が目的で俺の部屋まで来たんですか?」


「誰が自称吸血よ」


「名前知らないし」

「ちなみに俺は【夜中 初まよなかはじめ】。はじめって呼んでね」


ちょっとチャラい感じでポーズを決めて名乗ってみた。


「そう言えば名前を名乗って無かったわね」

「私はゆい


冷静に返事されると、このポーズが手持ち無沙汰になる。


ここは何事も無かったように冷静を装うしか無いよな。


「それで唯ちゃんは何で俺の部屋にいるの?」


「何度同じ事を言わせるのかな?」

「アンタの血を飲んだら、アンタが倒れたから。」

「家から出るところも見えてて、アンタの家分かったからベッドまで運んであげたんだよ。何か文句あるか?」


え?美少女の唯ちゃんが性格急変したんだが。


「口調が…。」


「もう面倒くさいから丁寧モードは終了したの」

「大事なことだけ話すから、しっかり聞けよ」


威圧感が凄すぎて俺は何も言えない。


「非常事態でアンタの血を飲ませて貰った」

「私が血を飲んで相手は、私の血族になる」

「予定外だけど今日からアナタは私の血族」


「分かったよな?」


何なのこの美少女?全然意味わからないけど、分かんないとか言える雰囲気じゃないよな。もう、どうにでもなれ。


「はい…。」


この時はまだ頭が痛い自称吸血鬼美少女に話しを合わせてるだけのつもりだった…。


この後、本当に血族になった自分の体に信じられない変化が起き、世の中の99%が知らない裏世界の仕事を手伝わされることになるとは思ってもいなかった。


3か月後


中学二年生になった俺は、太陽が出ている時間に外出が出来ない体になっていた。


伝説上の吸血鬼のように太陽の光に当たると蒸発する、何てことは無いけど、太陽の光に当たると38度位の熱が出た風邪を引いた日くらいに体が怠くなってしまう。


とてもじゃ無いけど、昼間に学校に行くのは無理だ!!


そして昼間の活動時間を奪われた俺は、夜になると昼間とは打って変わって体調が絶好調になる。


俺をこの体にした美少女吸血鬼【唯】曰く、夜中になると火事場の馬鹿力とか言われる【潜在能力】を最大まで使うことが出来る+基礎能力が2倍程度+回復能力が上がるらしく。


中学生の力が2倍程度だと微妙な気はするが、潜在能力が最大限の状態で、その力を2倍は思った以上に凄かった。


多分、一流の格闘家よりも基礎能力だけなら強いかも?


あくまで純粋な基礎能力の部分だけなので、普通に喧嘩すれば経験の無い俺はボコボコにされる未来しか見えない。


ちなみに回復能力が上がる部分も気になったので、実際に指を恐る恐る包丁で軽く切ってみた所…。


切ってからわずか10秒ほどで軽く切った傷が消えたしまった。


これ以上深い傷は治る治らない以前に怖くて実験出来ないが、とりあえず中学2年生とは思えない力を【夜中初】は昼間まともに動けなくなる代償に手に入れた。


そして更に唯の血族になったことにより、日本では中学生が仕事をすることは禁止されるはずなのに、ほぼ強制的に唯に連れられてバンパイヤの仕事をさせられる毎日。


世の中的にはヒキこもりで昼間寝ているだけの、只の中学2年生と見られているけど。実際は全然違う。


ちなみに、今の時間は夜中の2時過ぎ…。


これから【唯】の手伝いと言うなの強制労働が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ヒキこもりと思われてる少年は真夜中に覚醒する るるかチャンネル @rurukada

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ