▼ 転生貴族の冒険黙示録ーチートな能力を持って異世界を攻略する

くろとら

第1話 プロローグについて

あー、暇だ・・・。こんなに暇を持て余すことになるならあいつらと一緒にキャンプに行くんだったなぁー」


青年海道零時はそんなことを呟きながら自宅のベット上に寝っ転がりながらスマホをいじっていた。

零時がしばらくスマホをいじっていると「ピコン!」といった聞き馴染みのあるスマホの通知音が鳴り響いた。

零時は「何だ?」と思いながらスマホの画面に表示されている通知をタップした。


『今、みんなでバーベキューを楽しんでるよ!!お土産期待しててね!!』


通知を開くとそんなメッセージと数人の少年少女がバーベキューを楽しんでるいる様子の写真が画面に表示された。

このメッセージの送り主の名前は立花楓と言い、零時が通っている高校の同級生でもあり、小学校から付き合いのある言わば幼馴染みという存在だ。


「あいつらもバーベキューを楽しんでるみたいだな・・・。なんか、こんな写真を見てたら俺も腹が減ってきたしそろそろ夕食でも食べようかなぁ・・・」


零時はいじっていたスマホをベットの脇に置きベットから立ち上がった。

ベットの上から立ち上がった零時は夕食を作るために階段を降りて行きキッチンに向かって行った。

因みにだが零時は母親、父親、姉の四人でこの家に暮らしているのだが両親と姉はそれぞれ会社に泊まり込みになってしまっているため今現在この家には零時しか居らず自分で夕食を作るしかなかったのだ。


「さてと、今日は炒飯でも作ろうかな」


零時は夕食のメニューを考えながら冷蔵庫を開け食材を確認してみると冷蔵庫の中にはもやしと半分に切られた大根しかなかった。


「おいおい、まじかよ・・・。もやしと半分の大根だけって炒飯どころか何も作れねぇじゃん・・・」


「はぁー、仕方ない近くのスーパーで何か食材でも買いに行くか・・・」


零時は冷蔵庫の中身を確認し絶句しながらも階段を上がって行きベットの脇に置かれているスマホと財布を手に持ち家を出た。

零時が外に出ると外は既に暗くなっておりほとんど人の気配はなかった。


「うーん、お金も無いし今日は炒飯をやめてオムライスでも作ろうかなー」


零時は時々正面から歩いて来る人達を避けながら改めて今日の夕食の献立を考え直していた。

しばらく歩き続けていると目的地であるスーパーの入口が見えて来た。

零時がスーパーの入口が見えるところまで歩いて行くと突如スーパーの入口から叫び声が聞こえ、それと同時に数人の男女が走りながら飛び出して来た。


「きゃぁぁぁぁぁあ!!」


「た・・・助けてぇぇぇ!!」


「みんな、早く逃げるだ!!」


スーパーの入口から飛び出して来た男女は口々にそう叫び声を上げていた。

そんな逃げ惑う男女の後ろには手に二十センチほどの包丁を持っている男が居た。


「クソ・・・クソクソ!!揃いも揃って俺のことを馬鹿にしやがって!!全員死んじまえばいいんだ!!」


男はそんなことを叫びながら手に持っている二十センチほどの包丁を振り回しながら逃げ惑う男女を追いかけていた。

男の目は血走っており、言動も何処か安定しておらず、情緒が不安定なようだった。


「おいおいおいおい・・・。こっちに来るのかよ・・・。これは、取り敢えず逃げないとやばいことになりそうだな・・・」


男が自分の方向に向かって来ることを察した零時は後ろを振り返り逃げようとしたが突如その足を止めた。

何故零時が足を止めたのか・・・。

それは、零時の後ろにはセーラー服に身を包んだ中学生ぐらいの二人の少女が腰を抜かし座り込んでしまっていたからだ。


「おい!!取り敢えず、早く立ってここから逃げるぞ!!」


「む・・・無理です」


「こ・・・腰が抜けちゃって、立てません」


「おいおい、まじかよ・・・」


零時は腰を抜かし座り込んでしまっている二人の少女に駆け寄り逃げるように促したが二人の少女は完全に腰を抜かしているため逃げるどころか立ち上がることさえ出来なかった。


「・・・・・・はぁー、仕方ねぇな。ここは男らしく覚悟を決めないと駄目みたいだなぁ」


零時は一度大きく深呼吸をした後、突然前を向きナイフを持っている男に向かって走り出した。

そして、男にどんどん近付いて行くとそのまま地面を強く踏み込み男の胸目掛けて格闘家顔負けの飛び蹴りを決めたのだった。


「グエッ!!」


「おい、お前ら早く逃げろ!!」


ナイフを持っている男は零時の飛び蹴りをモロに喰らってしまいカエルのような悲鳴を上げ地面に倒れ込んだのだった。

男に飛び蹴りを喰らわせた零時は後ろを振り返り未だに腰を抜かし座り込んでいる二人の少女に向かってそう叫んだ。


「お・・・お兄さん!!後ろ!!」


「危ない!!」


「後ろ?」


零時は二人の少女の声を聞き後ろを振り返ると自分の飛び蹴りを喰らい倒れ込んでしまっているはずの男が立ち上がり包丁を自分に向けながら走って来ていた。


「まじかよ」


「クソー!!俺を邪魔するんじゃねぇよ!!」


「グフッ・・・」


男は既に零時のすぐ側まで来ており零時には男のナイフを避ける暇も無く、男に包丁で腹部を刺されてしまった。

男に包丁で腹部を刺された零時は口から少量の血を吹き出しそのまま地面に倒れ込んでしまった。

そして、零時を刺した男は直ぐにその場に居た大人達に押さえ付けられ拘束されていた。


「「お兄さん!!」」


今まで腰を抜かし座り込んでいた二人の少女は自分達の目の前で倒れ込んだ零時を見て直ぐに立ち上がり零時の元に駆け寄って来た。


「お兄さんしっかりしてください!!」


「お兄さん死んじゃだめです!!」


「おい、坊主大丈夫か!?今救急車を呼んだからそれまで踏ん張るんだぞ!!」


二人の少女達は涙を流しながらハンカチで腹部の傷を押さえながら今にも意識を失いそうな零時に声をかけ続けていた。


「・・・・・・いや、普通にこれ無理だわ」


「「お兄さん!!」」


「おい、坊主!!」


二人の少女と一人の男の呼び掛けも虚しく零時は静かにそう呟き静かに目を閉じ完全に意識を失ってしまった。

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