中3の真夜中

ヤッキムン

第1話

中2の時は沖縄に住んでいて、中3になる時に大阪に転校した。両親はまだ沖縄で仕事をずっと続けていたけど、自分は中3になるので高校受験を落ち着いてやれるようにと、大阪の祖父母の家に行って、中学に通うことになった。自分としては、沖縄に住んでて、工芸科のある高校に進学して、伝統工芸を学ぶのも良いなあと思ってたんだけど。それから沖縄の芸術大学に行くのも良いかなあと。でも両親の意向で、大阪の中学に転校した。

ちっちゃい頃から、夏休みとかに何度か遊びに行ってたことのある大阪の家だったんだけど、今回、中3で住むために行ってみたら、最初に家に入った時から、何か霊のような存在を感じた。自分用に用意してくれてた勉強部屋に入った時も、何か霊のいる感じを受けた。

暮らし始めて、家では毎日、祖父母がお経をあげていて、家にいる霊は、家のことを守ってくれてはるのかなあ~って思った。

それから何日か過ぎて、ある日、ちょっとだけ祖父母の悪口をふと思ってしまった時あって、その日、中学の勉強を終えて、ふとんに入って寝ていたら、真夜中になって、とつぜん、枕元に、何人かの武者のような霊が現れた。ビックリして、速攻「ごめんなさい!もう言いませんーっ!」ってあやまったら、すぐに霊たちは自分の勉強部屋を出て行き、階段をおりて1Fの祖父母の部屋のほうに戻って行ったみたいだった。

「ああ、やっぱり普段毎日めっちゃ色々とお世話になっている祖父母に対して、悪口を思ったりするもんじゃないんやなーっ!」と、その時思って、それ以来、悪口を思ったりは全くしなくなった。

家のある場所は、地理的に大阪と京都の中間で、山崎の戦いの山崎にも近く、また、中学の先には藤原鎌足のお墓なのではとされている阿武山古墳もあり、家の近くにも今城塚古墳もあったりと、歴史的にとても深みのある土地柄なので、色々な時代に関わっていらっしゃる霊のお方々も、家に住みついていたとしても、何の不思議もない土地なのだ。

自分は中3になって高校受験のために大阪の中学に転校して来たので、毎日高校受験の勉強をしながらも、真夜中にはむしろ、霊のお方のことよりも、エッチな女の子のことを想いながら暮らしている。

自分の部屋には、その部屋に住んでらっしゃる霊さんがいて、真夜中、自分が寝てる時に動き出す。自分の来る前から住んではるんやから、部屋の先輩なので、敬うようにしてる。どうも「芸術に対して高い意識を持て!」というようなことを毎日自分に説いてる気する。芸術家のような霊なのかなあと思う。そのお方の弟子か何かに説いてはるように。

自分も絵を描くの好きやから、勉強しながら、ついつい絵をノートに描きたくなって、いっぱい描きまくってるんやけど、それを見守ってくれてはるような気さえする。しかも描いてると、やたら上手に描けてしまうのだ。画家の霊なのだろうか。しかも、可愛く、そしてエッチな女の子の絵を描きたくなるから、もしかしたら、女流芸術家、女流画家、女流作家のようなお方の霊なのかなあと。

中学でも美術の授業がいちばん好きやし、美術的な雰囲気漂う自分の勉強部屋なのだ。でも、なにせ中3なので、エッチな女の子のことばかり考えながら暮らしている。それを霊のお方が見守ってくれてはるような感じ。

落ち着いて受験勉強するようにと、やって来た大阪の家だったのに、わりと毎日騒がしい家である。

いちばん最初に、自分の勉強部屋に入った瞬間に、何か ちっちゃいお人形の存在を感じて、お人形など部屋にはなかったから、前の住人もしくは、霊のお方の愛するお人形なのかなあ~って思った。

部屋で暮らしはじめているうちに、なんとなく、お人形さんがいくつも存在してるのを感じるから、きっと、以前には、この部屋にも、多くのお人形さんがいてはったのかなあ~って思う。

ただ、なにせ自分は中3やから、お人形さんより、エッチな女の子のことばかり考えながら暮らしている。

あと、真夜中になると、霊のお方に「芸術に対して高い意識を持つように!」って説かれてる気になるのは、はっきりとそう言ってるわけではないんやけども、そういう念を自分に送ってるような感じを受けるからなのだ。

そうして、高校は、近くに百人一首などで知られる伊勢さんの伊勢寺のある高校に進学することになるから、もしかして、伊勢さんの霊の御導きなのか...って思ったりしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

中3の真夜中 ヤッキムン @yakkimn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ