ウルカ歴000245年~ウルカ歴000249年まで

ウルカ歴000245年。魔獣トロファヌを辛くも退けたヌグレド=カッファイトではあったものの、国内では長い戦乱の影響もあって畑は荒れ、労働力たる若い男が減っていて、国力は大きく低下していた。それもあって人心は乱れ治安は悪化。反社会組織が台頭し、逆にそれらが街の秩序を維持しているような地域さえあった。この当時のヌグレド=カッファイト国王<アムルゼヌ四世>はなんとか国としての在り様を正そうと軍の増強を図り反社会組織の壊滅を目指すものの、逆に返り討ちに遭って戦力が一層削がれるということを繰り返していた。


ウルカ歴000246年。そんな乱れたヌグレド=カッファイトのある街に、一人の青年がどこからともなく現れた。青年の名は<クルス>。クルスはその街を事実上支配していた反社会組織に攫われたという少女を救うために単身乗り込んだのだった。少女の姉から頼まれて。そんなクルスの実の名は<来手くるす眞砂人まさひと>。クォ=ヨ=ムイの<楽しみ>のために送り込まれた転生者だった。クォ=ヨ=ムイはクルスに<不死の力>と<千人力>を与えて、何をするのか見るために送り込んだのである。するとクルスは『悪人を片っ端からぶっ殺して称賛されたい!』という自らの欲求を叶えるために行動を開始。まずは頼まれた少女の救出に向かう。しかし少女はすでに虐待の果てに殺されていて、怒ったクルスは、反社会組織を壊滅させる。組織とは何の関係もない住人を何十人も巻き添えにして。


ウルカ歴000247年。少女の救出は果たせなかったものの、街を支配していた反社会組織は壊滅させたクルスは、街の英雄として迎えられ、持て囃された。それに気をよくし、クルスは他の街を救うために出立、立ち寄った先々で反社会組織を次々に壊滅させていく。やはり、まったく無関係な人々の犠牲を出しながら。


ウルカ歴000248年。そんなクルスの噂はたちまち広まり、<新たな英雄>として待望する機運が生まれる。だが同時に、実際にクルスの人間性に触れた者は「あれは英雄なんかじゃない。ただの悪漢だ」と評し、自身の不死性と千人力を当てにした無謀な戦い方に巻き込まれ家族を失った者の中には、逆にクルスを暗殺するために金を出し合い暗殺者を雇う者も出始めた。


ウルカ歴000249年。すっかり自らを<乱世の梟雄>と驕ったクルスは、自分を英雄としてついてきた者達を集めて<ノウルトゥム>という街に腰を落ち着け、「俺はこの国の王になる!」と吹聴し、さらに自分に従う者を集め始める。


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