ウルカ歴000212年。永世中立国を宣言し、他のどの国の侵略行為にも加担しないことを国是としたメクベディ国ではあるものの、それは決して他の国からの侵略行為に対して無抵抗であるという意味ではなかった。メクベディ国が自分達と共闘しないのであればと痺れを切らした隣国＜ルルドハ＞が武力にて従わせようとして侵攻を開始する。しかしメクベディ国は軍備にも力を入れていたことでこれを許さず、しかもルルドハがメクベディ国に侵攻したことで守りが薄くなった隙をついて、メクベディ国とは反対側の隣国＜カゥウォリ＞がルルドハに侵攻。一気に王都まで攻め入って陥落させ、国王＜バセストⅡ世＞は捕らえられ、ルルドハはカゥウォリに降伏する。

ウルカ歴000243年。長く戦国時代の様相を呈していたレイオスティーリア大陸西側の各国だったものの、併合や離合集散を繰り返した果てに、フォスル国とメクベディ国の他には、＜ヌグレド＝カッファイト＞＜ボルウ＞＜ワドレナス＞という三つの国になっていた。しかしこの年、あまりに長く続いた戦乱に怒ったのであろうか、通常のそれの三倍以上に巨大に成長した魔獣トロファヌが突如ワドレナスを襲い、国土の八割を焼き尽くし、ボルウへと侵攻する。これに驚いたボルウ国王＜デ＝ド＝ボルウ＞は、トロファヌ討伐を戦士団に命じたものの自身はヌグレド＝カッファイト領内へと逃亡したが、正体を見抜かれて囚われ、処刑される。国王を失ったボルウ戦士団ではあったものの国民を守るためとして、戦士長＜アドルホス＞を先頭にトロファヌ討伐を敢行する。とは言え、剣や槍や弓矢では魔獣トロファヌには敵うはずもなくアドルホスは戦死。戦士団も壊滅する。

ウルカ歴000244年。ワドレナス、ボルウと順に焼き尽くしたトロファヌはヌグレド＝カッファイト領内へと侵攻する。その動きは、明らかに国そのものを焦土化することを目的としていた。人間達の国々をことごとく破壊しつくす意図がそこからは感じられた。これに対し、かつては遺物を操り覇を目指した過去も持つヌグレド＝カッファイトは、遺物を利用した巨大兵器＜カリオティト＞を開発しており、トロファヌに対抗する。カリオテイトは、遺物として発掘された強靭な槍を五つの大型弩砲で放ち、三十頭の馬で牽く＜戦車＞であった。本来は戦争で用いるはずだったそれではあるものの巨大すぎて小回りが利かず、また運用も難しかったことで役立たずとして置物になっていたが、同じく巨大なトロファヌに対しては、＜移動砲台＞としては役立ってみせた。トロファヌ自体、巨大に成長したことで動きそのものは鈍重になっていたことで、それなりの射程を持つカリオテイトは相性が良かったらしく、千人を超える人間達が交代で操作し、遂にトロファヌを引き下がらせることに成功する。