悪いけど悪くない……けどやっぱ良くない ※乙喜実視点

「で、ではまず頭から流させていただきます……」

「ウム」

 あぁ〜小っ恥ずかしいなぁ〜もう……。

 銭湯とか温泉とかちっちゃい頃から苦手なのに加えて大おばあちゃんと一緒の時には大体一緒に入ることになるし。てか入らないと癇癪起こす代わりに入ればご機嫌になる所為で親戚連中からの圧が増し増しになって同調圧力的なアレでほぼ強制的に入らされるんだけども。

 でもそのお陰……とは言いたかないけど、ちょっとは耐性もあるかな。頭や背中流すくらいは大おばあちゃんにやってたし。

「…………」

 にしてもなんて触り心地の良さ。

 明るい色の所為か細めかなって思ってたけど意外と太め。細いとくるっくるしやすくてストレートには手間がかかると考えたら不思議でもないのかな? でもリリンさんは細かったけどストレートだったから関係ない? ん〜……わからん。

「……う〜ん」

「おいキミ」

「え、は、はいっ。おかゆいところはごじゃりましゅるか……っ!?」

 か、考え中のとこに急に話しかけないでくださいってばまったくもうっ。

「ない。が、余所見しているな? 今は私に集中するんだな。さもなくば全身くまなく喰らいつくぞ」

「す、すみません……」

 そ、それはこちらの落ち度です。平に謝罪。

 だからかじるのはやめてください。二度と。

「じゃ、じゃあ流しますねー……。め、目ぇ瞑ってくださぁ〜い」

「うぶぶぶぶぶぶぶぶ」

「……!?」

 たまたま向かいの鏡を見たらなんてことでしょう。リリアンさん目かっぴらいたまんま!

 いや沁みることはないでしょうけど……。見ててこっちが痛いッス。いちちち。

「次は背中流しますね〜……」

 まさか一日目で買ったばっかのボディタオル二枚下ろすとは思わなかったなぁ〜。一枚は予備のつもりだったんだけど……うん。仕方ない。

「キミ」

「は、はい。どこかかゆいところでも?」

「それ、必要か?」

 それ……ってボディタオルのことかな?

「そりゃあ……使ったほうがいいかなって……」

「ようはアレだろ? 肉体の表面を洗っているのだろう? だったら素手でも良いだろ?」

「ん〜……まぁ〜……はい……」

 肌の為に素手でやってる人がいるっていうのは知ってます。でも最近のボディタオルは肌を傷つけない優しい素材で肌触りも良いから手より洗いやすいこれでいいと思うんですけど。なにがそんなに気に入らな――いや違う。この人は私の手でやらせたいんだ!

 そうだ。この人は私との接触を求めてるんだった!

「そういえばキミよ」

「は、はい。な、なんでございましょっ」

「これを体につけてこすりたいんだったな?」

「そ、そうですね……」

 そうなんですけど、なんでそんなベチャベチャご自身の体につけてるんでしょうか? も、もったいないですよ?

「こうすれば私もキミも洗えるだろう?」

「へ……?」

 な、なんで両手を広げて近づいて……っ。

「い、い、い、い――」

 いいぃいいいぃいぃぃいぃぃぃぃぃいいいやぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあああああああ!

 穢されちゃううううううう!!!



 結論から言うと。イケない気持ちになりつつも、すべすべお肌でとっても気持ちよかったです(涙)。

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