試験は滞りなく……? ※才視点
「よぉ、終わったぞ」
「……もう良いのかよ」
「あぁ。他は放っておいても問題なかろうよ。帰っても良いんだが、義理として終わるまでは残ってやるつもりだがな。しかし惰性には変わらん」
「…………そうかよ」
「なんだ? 随分とまぁシケた面を晒すじゃないか」
「俺がこんな面になってる理由、わかってんだろうがっ」
一緒に来て良かったかどうかはさておき、まさかこんなトラブルが起きるとは思わなかったぞクソ。
「お前、事故った時の為の保険で呼ばれたんじゃねぇのかよ。あの子、かなり酷い目にあってたろ」
あのリリアンに襲われるなんて、平和に暮らしてた……しかもかなり内気そうな子には酷過ぎる仕打ちだよ本当。
「クハハ。我とて愚妹の浅慮さは予測不可。なにせ言う事聞くつもりはあっても、言いつけても覚えられる脳みそがないからなぁ」
「本当にお前の妹?」
「一応。今や唯一の肉親だな」
「……襲わないように言いつけてはいたんだよな?」
「あぁ。言わなかれば舌だけでは済まなかったろうよ」
「……仮に血が繋がっていなかったとしてもヤンチャ過ぎんだろ」
「仕方ない。如何に力をつけようと愚かなままだったのだから。まぁ、キミが手綱を握っていればそのうちもう少しマシにはなろうよ」
あの子にあのヤンチャな狂犬をなんとかさせる気かよ。あの子のなにがお前にそんな信頼させるようなモノがあるんだか。
「それよりお前も気をつけておけよ」
「なにを?」
「あの阿呆のことだ。お前を視界に入れれば直ぐ様飛びかかってくるぞ」
「…………でしょうねぇ」
俺、嫌われてるもんな。
「なにせ考える前に感情任せの反射的に動くからなぁ〜。説得どころか会話も危ういぞ」
加えて言葉も通じねぇと来たか。本格的に会いたくねぇな。
「今のうちに覚悟しておけよ。よく顔を合わせることになるだろうからな」
「は? なんで?」
お前はあのコンビ両方と関係もってるからわかるけど、別に学園敷地内だったらお前の外出に付き合うつもりねぇぞ。
「キミはお前の後輩だからな」
「俺、佐子先輩以外の先輩とほぼほぼ関わらなかったが?」
一応被服部の方々とは面識はあるけど、もうほとんどリリンしか行かなくなってるしなぁ〜。だから別に先輩後輩関係ねぇよなって個人的には思うわけで。
「いずれわかる」
「またそれか。最近なんか多くね?」
「そも、お前の察しが悪いのが悪い。我の思考力も投影してるというのに。リリアンのこと言えんぞ」
「そら悪ぅござんしたね」
仕方ねぇだろ。頭使おうとすると余計なことまで考えるようになってパンクしそうになるんだよ。
きっと、お前の頭を存分に使うにはまだまだ時間かかるんだろうさ。
「ま、これに関しては説明してやっても良いんだがな」
「じゃあしてくれよ」
「断る。自分で考えておけ。せっかく今は見物しに来てるのだし、そちらに集中したらどうだ? そら、アレなんか中々面白そうな生き物だぞ」
あからさまにはぐらかしやがって。もう慣れたけどよ。
にしてもあの子とリリアンとしょっちゅう関わるようになるような言い回しだったけど……。いったいどういう経緯でそんなことになるのやら。
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