形だけの筆記試験の描写なんてありません。つまり召喚の実施です。流れ作業と聞いてます。対戦おなしゃす ※乙喜実視点
本当に形だけなんだなー……。
一日目は筆記だけって聞いてたけど、まさか中一レベルだとは……。
まぁでも確かに? 昨今は基礎教養は小学生で終わってるって言うし。あんなもんでいいっちゃいいんだろうなって。
で、問題の二日目ですかそうですか。
もうね。三度目となれば慣れたもんですよ。ここまで来たらサクッと行ってサクッと終わらせてサクッと合否聞きますよ。
さぁもう数歩で敷地内。このパターン知ってます。焦っちゃ駄目だって知ってるんすわ自分。
だって。
「…………」
「……おはようございます瞬さん」
後ろから引っ張られるから。
ここまで来たら狙ってますよね瞬さん。
「えっと、とりあえず離してもろて」
「…………」
「せめて隣に来てもろて……」
「…………」
「あ、ありがとうございます……。じゃ、行きましょうか」
「…………」
ん〜。ことごとく無言。
素直ではあるけど、無言なのは……普通に困るのでやめていただきたい。
……まぁ、瞬さんの生い立ちも特殊だし。生まれながらのコミュ障みたいだから無理もないですけども。
「あ、ラッキー」
げ。今の声は……。
「おっはー。昨日は全然話せなかったねお二人さん」
「は、初汐さん……。お、おはようございます」
「…………」
あ////
ま、瞬さんそんな急に抱きつくなんて////
ひ、人前ですよぉ〜////
……内心でもこっぱずかしいことをしてしまった。反省。
でも急に抱きつくなんてどうしたんだろ――。
「やーやー新入生になりそうな有望な人生の後輩ちゃんたち。恵涙の友達?」
あ、初汐さんの後ろに隠れてて気づかなかった。黒髪ショートカットの可愛い……あの言い回しからすると在校生……すなわち先輩さんかな?
はは……私も一応黒髪ショートってカテゴリーだけど、溢れ出るモサさのせいで別の生き物感しゅごい。惨めになる……。
と、卑屈になってる場合じゃない。挨拶しないと。
「え、えっと。ど、どうも。先輩。私――」
……!!?
眼鏡の隙間から……チラッと見えちゃった……。
な、なんだこの人……?
可愛い顔で女子の制服だけど男……だとかそんなのどうでもいい。
薬物染みた虫を異界から引っ張ってきてるとかもどうでもいい。
契約者の数が四桁近いとかそんなこともどうでもいい。
そ、そんな一つ一つがぶっ飛んでる内容だけど。全部霞んでしまうくらいのをこの人は――いや、そもそも人って呼んで良いの……? 一応人類……なのかな?
「……? どうしたの?」
「あ、す、すみません……。わ、私……へ、逸見乙喜実です……。こ、後輩になれるかはわかりませんが……お願いします……」
疑問は今はどうでもいい。この場はやり過ごさなきゃっ。
こ、この人とは特に極力関わりたくない!
「うん。よろしくー。で、そっちの子は夕美斗ちゃんの妹ちゃんだよね〜。覚えてるよ」
「…………」
あ、抱きしめる力が強く……。ま、瞬さんもこの人からはなにか感じるモノがあるのかな? 感覚が鋭い人なのかも。
「僕の名前は
「はぁ、従兄弟……」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
従兄弟? 血縁関係?
そもそもの生物としての規格が違うのになにを?
「余計なお世話だし、性格の悪さも憐名ほどじゃねぇし。遊び相手だっているっつの」
「その辺で引っ掛けたナンパ男だけでしょ? 中学生の頃からただれちゃってまぁ」
「
「はいはい。とりあえず行くよ。その子、試験前で緊張してるようだし。人見知りっぽいし。先輩が近くにいたら落ち着かないだろうから」
「お、お気遣い大変ありがとうごじゃます……」
「だったら憐名だけ――あ、ちょっと引っ張んなって!」
「またね〜♪」
い、行ってくれた……。
「ぷっはぁ〜……!」
き、気が抜けちゃあ〜……!
う、うぅ……半ば諦めてたけど、やっぱり入学したくないよこの学校!
「…………」
「え、あ、はい」
そんなクイクイしないでください……。もうちょっと休みたい……あ、はい行きます。
サクッと終わらせてから休みますよ……。
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