第19話

委員が終わる頃にはすっかり夕暮れで、

柴はもう家に帰ったのか、兎だけがいつもの場所にいた。

今日一日のことを思い出すと

視界が滲む。

まだまだやることはあるのに、

最後までやってられるか不安だ。

「ただいまです」

「あら、あなただれかしら」

今日も母の病気はよくならない。

いつもの事なのに傷ついた心にはいつもより

強くのしかかった。

こんな気持ちの時はどうするのが正解なのだろうか、

よく聞く対処法は好きな事をするといいと聞く。

「そうだ、心理学の勉強しよ」

する、と決めたはいいが

引き出しには入っていなかった。

絶対にここにしまうと決めているのだが、

どこに行ったのだろう。

「寝ぼけてどこかに置いちゃったのかも」

出来る限り私は自分の部屋から出ない、

と決めているが、念のため一階も探す。

「なんでここに?」

一時間ぐらい闇雲に探してようやく見つけた。

信じられない場所から出てきた。

ゴミ袋に放り込まれていたのだ。

もしかして、母が入れたのかもしれない。

信じたくない、病気がここまで進行してしまったなんて。

「どうすればいいのだろう」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る