第9話
「ごめんごめん」
「というか、あなた前も兎と戯れてるね」
「うん、兎好きだからね」
一目でそんなこと分かる、
今も私に構わず兎を宝物を見るような目で見ている。
「君は」
「え?」
「名前は?」
そういえば、まだ自己紹介をしていないのに
した気になっていた。
「きつねだよ」
「キツネ?どいう漢字なの?」
「柑橘系の橘に音の音」
「そうなんだ、僕は柴。柴犬の柴」
「へえ、兎じゃないんだ」
「さすがに違うよ」
確かに、兎顔じゃない。
そういう問題ではないか。
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