異世界の画家志望 。アドルフ。
本誠
第1話
8.8センチ砲の轟音の中にドイツ人の声が絶え、ドイツ人より大きな、ロシア人の声が聞こえる。マシンピストルの銃声が聞こえてもベルリンの街は慌てふためず、変化がない。もしその銃口から放たれた鉛玉が人1人殺めも。戦場という場、異常性はこれは普通なこととしてる。
ナチ親衛隊に守られている首相官邸地下壕。
今、ちょび髭の男は愛し合った事実婚ドMな女性と法的に結婚した。まさに戦場の結婚。式らしいことはしていない。けれど、性格は捻れていたとしても表情に喜が浮かばないちょび髭は内心照れや嬉しさを少し思った。総統と呼ばれたちょび髭は新妻の不安そうな、泣き出しそうな表情に対してただただ妻の髪を険しい表情で撫で頬の流れた涙を拭うだけだった。無口なちょび髭、元は絵描き志望の青年、こんな時勢で無ければ性格が捻れていたとしても言わなかった別れの、最期の言葉を妻に述べただろう。
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