第9話 敬語
突然、彼女からメールが届いた。
一緒に住んでいた頃に履いていた僕のスニーカーが、靴箱の奥から出てきたらしい。
「捨ててもよろしいでしょうか」だなんて、あの頃には使ったことのない敬語。
でも僕のほうも、彼女の名前に「さん」をつけて返事していた。
あらためて僕たちは他人になったのだと感じた。
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