第2話 背中にカブトムシ
「背中にカブトムシがとまってるよ」彼が言った。
別に虫好きではないけど、苦手でもない。
けれどもコンクリート街にカブトムシが飛んでくるなんて珍しい。
私は彼に背中を向けて頼んだ。
「捕まえて。早くしないと逃げちゃうよ」
すると彼はギュッと後ろから私を抱きしめた。
「ハイ、捕まえた」
ウソつき。
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