140文字の恋愛小説

三川三

第1話 耳

 私は他人に耳を触られるのが嫌いだ。


 だから美容院に行くのも億劫で、つい腰に届くまでの長さになってしまった。


 それなのにあの人ときたら、面白がって余計に触ろうとするところがあって、よく私を怒らせた。


 今日、風が私の髪をたなびかせ、耳をくすぐった。


 私は久しぶりに、あの人のことを思い出した。

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