妹「ねーちゃ、おそうじてつだってー」 姉「えー、めんどくさい」

@9vso2a

第1話


妹「ねーちゃ、おそうじてつだってー」


姉「えー、めんどくさい」



妹「いーからいーから」


姉「やだー」


妹「おかーさんにおねがいされたの」


姉「わたしは勉強してるの」


妹「まんが読んでるじゃん」


姉「漫画で三国志を勉強してるの」


妹「そーゆーいいわけはいいのー」


姉「……」


妹「……」ジトー


姉「せっかくの休みなんだから休みたいのー」


妹「でも、ねーちゃはいつもぐーたらじゃん」


姉「そうかなぁ?」


妹「うん」


姉「どこらへんが?」


妹「どにちはおひるまでおきてこない」


姉「そんなことないよ?」


妹「なくない」


姉「ないよ」


妹「だってこのまえ、わたしとかいもの行くやくそく破ったばっかじゃん」


姉「うぐ」


妹「ねーちゃのばかー」


姉「ごめん」


妹「ゆるしません!」キッパリ


姉「……」


妹「ばかー!」


姉「……」


妹「ねーちゃ、泣いてもゆるさない」


姉「……ごめんって」


妹「あとね、お風呂あがったあとしたぎでうろうろしてるのもだらしないよー」


姉「だめ?」


妹「だめ…………、じゃないかんじもする」


姉「だよねえ」


妹「でも、」


姉「でも?」


妹「……」


姉「……」


妹「おっぱい」


姉「……が?」


妹「めちゃ見える」


姉「……」


妹「ちっちゃいけど」


姉「う、うるせー!」


妹「おかーさんはおっきい」


姉「……」


妹「わたしもすこしだけふくらんできた」


姉「……」


妹「でもねーちゃは……」


姉「うがー! うっせー!!!」


妹「ねーちゃ、うるさい」


姉「妹が悪い」


妹「おとなげない」


姉「な、……わたしだってまだ高校生だし! 妹と比べたら大人かもしれないけど、まだ全然子どもだし!」


妹「……たしかに」チラッ


姉「ねえ、どこ見て言ってんの」


妹「……」シラー


姉「へっ、どうせちっちゃいですよーだ」


妹「あ」


姉「クラスの胸おっきい子に『姉さんは走りやすそうだよね』とか言われてもぜんっぜん怒ってないですよーだ」


妹「ねーちゃがすねた」


姉「すねてないですぅー」


妹「もむとおおきくなるらしーよ?」


姉「あー、でもそれ迷信じゃないの?」


妹「やったことあるの?」


姉「あ……、るわけないでしょ」


妹「ふふん」


姉「……なにその顔」


妹「うひひ」


姉「……ぐぬぬ」


妹「あ、でもね、でもね」


姉「うん?」


妹「ねーちゃはすっごく美人さんだからだいじょうぶ!」


姉「ふはは、だよなだよなー」


妹「かれしはいちどもいたことないけど!」


姉「妹ちゃーん? さっきからトゲトゲしいよ?」


妹「あれ、ほんとにいないんだ」


姉「そりゃまあ」


妹「どーして?」


姉「え? い、いやー、どうしてだろうね?」


妹「つくるきないの?」


姉「うーん……そう言われるとあるような、ないような」


妹「多分ねーちゃにはいらないよ」


姉「へ?」


妹「ふだんのねーちゃはだらしがないからー、こいびとさんにゲンメツされちゃうんだぞー」


姉「……だから最初からいらないって?」


妹「うん!」


姉「『うん!』ってもなあ……」


妹「それに、ねーちゃの学校、おんなのこしかいないんでしょ?」


姉「ああ、うん。女子校だからね」


妹「だったらできないじゃん」


姉「……」


妹「……」


姉「……」


妹「……ねーちゃ?」


姉「あー」ポリポリ


妹「?」


姉「あんね、女子校でも恋人ができないことはないよ」


妹「……んー?」


姉「友達は他校の男子と遊びに行ったりしてるし」


妹「ふむふむ」


姉「文化祭はみんな他の学校行って男子捕まえたりしてるし」


妹「ねーちゃはしてないじゃん」


姉「ま、それはそうだけど」


妹「わたしとあそぶほうがたのしいんだね」


姉「まあね」


妹「ねぼーするくせに」


姉「だからごめんてー」


妹「ココスのジャンボパフェをようきゅうします」


姉「はいはい」


妹「ねーちゃやさしい」


姉「今度の休みに行こっか」


妹「わーい」


姉「……あー、あとさ、妹。クリスマスの日って学校休みだよね?」


妹「うん」


姉「もし暇なら水族館行かない?」


妹「すいぞくかん?」


姉「イルカとかペンギンとか観たくてさ」


妹「行く!」パァァァ


姉「クラスの友達がめっちゃ楽しかったって言っててね、ちょっと行きたくなった」


妹「でも、クリスマスだし、すいぞくかんとかそういうのって、こいびととーってものじゃないの?」


姉「まあ、たしかに。けどその友達は女二人で行ってたんだよ」


妹「へー」


姉「予定あけててね」


妹「ねーちゃこそ、急にともだちさんと行きたくなったーとかやめてね」


姉「ないない」


妹「ないの?」


姉「そういうことすると、まわんなくなっちゃいそうだし」


妹「?」キョトン


姉「あ、こっちのはなしね」


妹「なにそれー」


姉「……」


妹「……」


姉「で、なんだっけ。掃除しようって話だっけ」


妹「うんうん、ねーちゃとわたしでそうじしてほしいって言われたの」


姉「なんでまた」


妹「はなしは聞いてくれるんだ」


姉「一応ね」


妹「おーそうじで楽をするためらしいです」


姉「まーそうだろうなあ」


妹「というのはウソです」


姉「はい?」


妹「きょうおそうじするとえんぎがいいらしーです」


姉「母上に騙されてない?」


妹「テレビでみました」


姉「なるほど」


妹「て、ことで!」


姉「やだー」


妹「ねーちゃ、そうじをするとココロもきれいになるんだよ」


姉「へえー」


妹「せんせーが言ってた」


姉「へえへえー」


妹「わたし、おそうじすき」


姉「よしよし、掃除好きの妹ちゃんはココロが綺麗だなー」


妹「なんかかんじわるいー」


姉「んなことないよ」


妹「ねーちゃもココロをきれいにしましょう」


姉「なにそれ、まるで私のココロが汚いみたいじゃん」


妹「もっと、ってこと」


姉「そっか」


妹「うん!」


姉「……んー、妹は掃除が好きなお姉ちゃんはお好き?」


妹「ちゃんとそうじできるおとな、かっこいい」


姉「かっこよさはあまり求めてないんだよなあ……」


妹「じゃあかわいい!」


姉「なんでもいーのか」


妹「そうなのです」


姉「なら、そうだなー。妹ちゃんがほっぺにちゅーしてくれたらするよ」


妹「……」


姉「ふふふ、できるもんならしてみやがれー」


妹「ねーちゃ、目閉じて」


姉「え?」


妹「目を閉じましょー」


姉「なんで?」


妹「なんでもー」


姉「……」


妹「……」


姉「……ま、いいか。閉じるよ」パチッ


妹「よし」


姉「……」


妹「……」


姉「……」


妹「ちぅー」


姉「……でへへへ」


妹「ぎゃくにも、ちぅー」


姉「……ぐふふふ」


妹「ねーちゃ、わたしにもしてー」


姉「しょうがないなー」


妹「はやくー」


姉「はいはい」


妹「おー」


姉「んー」チュー


妹「……おおー」ニコニコ


姉「……」


妹「……」ニマニマ


姉「はい、終わり。じゃあさっさとお掃除しちゃおう」


妹「……きゅうにやる気でてるね、ねーちゃ」


姉「まーねー」


妹「ようし、がんばろー、おー!」


姉「おー」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る