第8話 ワシは同僚に、「それじゃ、金は貯まりませんよ」と言いきったことがある。

 ここで、ワシの個人的な話をしよう。


 ワシは、ある会社で働いておるのだが、そこでもケチケチ生活をしておる。


 ある日、ワシが昼飯を食べ終わって茶を飲んでいると、いつも金がないとぼやいている同僚がやって来て、


 「そんな、しけた弁当毎日食ってるんだから、金をたくさん貯めているだろう、少しは俺に奢れよ」


と言った。


 ワシは、

 「金がないから、しけた飯食ってるんです。あればもう少しましなもの食ってます」


 と言い返して、話は終わった。


 この同僚、人は悪くないのだが、金が貯まらない人の典型的な生活をしているのだ。


 まず、三食外食で、風呂無しアパートに住んでいるから毎日銭湯に行く、銭湯帰りは喉が渇くので、ビールやその他の飲み物をつい買って飲んでしまう。洗濯は行きつけのコインランドリー、家に帰ると一人で暇だからつい晩酌をして寝てしまう。

 そして、暇だから朝早く起きて、マックとかで暇を潰す。


 これでは金は極めて貯まりにくいぞ。

 食事を一食500円と予想して計算すると、

 500×3×30日で、月45000円、

 銭湯が480×30日で、月14400円

 洗濯乾燥代が一回1000円くらいなので、月4回洗濯して、4000円。

 晩酌がビール350ml入り1本200円として、200×20日として、4000円。

45000+14400+4000+4000=67400円を毎月使っていることになる。

 これは最低の金額で、まず、家賃が4万円くらい、電気代が3000円くらい、その他家や職場で飲む缶コーヒーやジュースなどの飲み物代、おつまみ代などが加わると、大まかな金額だが、12万円以上の生活費がかかっている計算になる。

 このような金銭感覚だと夕食は1000円位かけるケースが多いので、食費は6万円以上かかるはずだ。

 食費と家賃だけで10万円以上かかれば、手取額が30万円位ないと、給料日前はかなり苦しい生活になると思う。 


 ワシは、職場に入り浸りになりそうな生活にあきれて、マックに行くのを控えて、掃除や家の整理整頓をすれば、暇潰しになるのではないかと言ったが、めんどくさいとの答えだった。


 このように蛇口を閉めても、隙間から水が漏れるような金の使い方をしていれば、頑張っても中々金は貯まらない。


 ここで、ワシは精神論を語る。


 「手間をある程度かけても、金を惜しめ」


 これは、金を残すためなら、めんどくさいことも我慢して実行する。

 蛇口の水漏れを直して、水ならぬお金が漏れないようにしなければ、文字通りその日暮らしで、雇止め食らったら一発アウトだ。

 

 では、食費の節約方法で一番効果が大きいのは、自炊だぞ。


 1日の食費が一人暮らしなら五百円以下、四人家族でも千円程度にすることは簡単だぞ。


 外食に比べて1/3のお金で済み、暇つぶしにもなる。片付けは面倒だが、手間暇掛けないようにする工夫は、パズルより面白いぞ。


 ここでようやく、ここで最初に書いた陳腐なことわざが必要になってくる。

 

 「人は心の持ちようで、幸せにも不幸にもなれる」

 「馬を水飲み場に連れていくことが出来ても、水を飲ませることは出来ない」


 さっき話に出した同僚は、ワシの節約法を嘲笑あざわらっておった。


 やる気の無い者に、何を言っても通用せんぞ。


 ワシのつまらん話をここまで読んだ、

 、絶対に出来るはずだ。


 さあ、誰でも目指せる「プチ豊かな生活」の達成のために。

 ほんの少しだけ、無理せず頑張ろう。

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