第四章『チーム結成、そして第二エリアへ』

奇妙な縁とチーム結成

ステータスチェックと中級技能

 有沙は20時過ぎにログインできるということだったので、取り敢えずそれまでの間に色々やっておこう。


 知り合いについてはゲーム中で合流する予定だったが、何時なのかは相手次第だとのこと。取り敢えずリーサがログインしてくるまでは、誰かは分からないということだな。


 取り敢えずリーサの知り合いは1人らしいので、合わせて2人程度ならなんとかなるだろう。育成もパーソナルレベルのレベリングではなく、アビリティレベルらしいので、無理に戦闘を繰り返す必要もないだろう。スキルやアーツを使いまくればいいのだから。


 再ログイン後、宿の部屋で生き生きとした表情のミュアとゼファー、そしてグレイと再会。疲れが取れたようで何よりだ。


 その時、ふと通知が表示される。どうやら不具合等の修正に関するお知らせのようだ。色々上がっているが、中にはチュートリアルの仕様変更やメニューを開いた状態で通知が鳴らないバグなど、結構重要そうな内容も並んでいる。


 一応、それに先駆けて今度の日曜日にイベントを開催するということ、そしてその後にこれらの不具合等を修正する大型メンテナンスを行うということが告知された。


 ジョブチェンジチケットの所持枚数の緩和と転売禁止、杖術アーツなどの名称変更、景観の一部変更になど、色々な変更点がある。杖術アーツってことは『強力杖殴り』が別の名前になるということだろうか。あれはあれで面白い名前だと思っていたが、まぁ徹夜テンションみたいな名称だったから仕方ないのかな。だったら最初からちゃんと変えとけよとは思うが。


 中でもテイミングの成功率の上昇は俺たち従魔士には待ち望んでいた修正となる。まぁ劇的に上がるというものではないだろうが、これで涙を飲んで従魔士を諦めるというプレイヤーは少なくなるだろう。また、『神々の神殿』が任意で実行できるようになったのも大きい。これでなりたかったジョブになれなかったプレイヤーというのは、ほぼほぼ居なくなるんじゃないだろうか。


 一応、今までのプレイヤーに対する補填としてチュートリアルをスキップしたプレイヤーにはチュートリアルイベント中に得られた経験値と同量の経験値を獲得できるアイテム『経験の雫』が配布され、全プレイヤーに特別なジョブチェンジチケットと種族変更チケット、そして幾らかのゲーム内通貨が与えられる。


 経験値獲得アイテムはそのものズバリなので置いておくとして、特別なジョブチェンジチケットとは、これを使ってジョブチェンジした際にパーソナルレベル11から現在までのレベルまでにジョブ特性で獲得したステータス値を変更後のジョブのものに入れ替えるという効果があるらしい。また、同じジョブにも変更することが可能で、その際はジョブレベルは据え置きだがステータス値が入れ替えられるらしい。これは既に一度ジョブチェンジチケットを使用してジョブを変更したプレイヤー向けの補填なのだろう。これにはサザンカさんも喜ぶに違いないだろう。……まぁ、これでまた変な不具合が起きなければいいのだが。


 種族変更チケットは種族特性を知らずに種族を決めて、なりたかったジョブになれなかったプレイヤー向けに種族を変更できるというチケットだ。今回の修正で一部種族の習得可能ジョブやアビリティが緩和されるが、一応の対応とのことだ。因みにメカノイド族なんかはSTR値がほとんど上がらないのに戦闘職では近接戦闘用のジョブしかなれなかったらしいのでそれが変更されるらしい。まぁ、メカノイド族のプレイヤーなんて今のところ目についていないので、今更な話なのかもしれないが。


 取り敢えずメンテナンスの間はログインできないらしく、期間も一日以上とかなり長いのでかなり大規模な修正となるのだろう。それまでに目一杯遊ばないとな。イベントも詳細は後で再度告知するらしいが、どういうものなのか楽しみである。


 お知らせに一通り目を通した俺は、そのまま宿屋を出たが、その際に妙に男性プレイヤーからの視線があることに気がつく。ミュアのNPC・従魔表示やゼファーの姿自体が見えてるのかと思ったが、どうやらそうではない。


 ……まさかとは思うが、男女二人(+銀灰狼)で宿屋から出たのが気になっているのだろうか。もしパーティーを組んでいれば、普通に一緒に宿泊(ログアウト)になるので、何もおかしいことはないんだぞ? 別に宿屋のNPCからも『先程はお楽しみでしたね?』みたいなことは言われない。今の御時世、そういう描写は外から色々うるさいので極力カットされている。うーん、出た時間が悪かったのかなぁ……。


 流石にその視線に晒され続けるのも居たたまれなくなり、俺はそのままリーサと待ち合わせるはじまりの街の噴水の広場へと移動する。ここなら変に見られることもないだろう。


 俺はようやく落ち着いてステータスの確認をする。これなら宿屋の中で確認しておけばよかった。


 ふとミュアの方を見ると、グレイの毛並みを堪能している。ゼファーは眠いのか俺の頭の上に座った。グレイはミュアに撫でられて満更でもない様子だ。


 取り敢えず、割り振ってなかったステータスポイントとアビリティポイントを消費しておいたり、色々店を見て回ったりすることにしよう。シグねぇに生産プレイヤーを紹介してもらえるとはいえ、今のうちでも消耗品は欲しいからな。


 まぁ、アビリティポイントの方は【中級杖術】一択なわけなのだが。




 ――――――――――――――――


 名前:ユーク

 Pパーソナルレベル: 28

 種族:人間族

 得意武器:杖

 ジョブ:従魔士テイマー レベル16


 HP:310 / 310(+30)〈+40〉

 MP:455 / 455(+170)〈+40〉

 STR:144(+70)

 VIT:139(+80)

 INT:254(+150)〈+30〉

 MIN:59(±0)

 AGI:184(+100)〈+25〉

 DEX:184(+70)〈+40〉


 SP:0


・アビリティ(0ポイント)

初期:【杖術 レベル10 MAX】【テイミング レベル7】【友好化】【緑の息吹】【黒龍の印】

追加:【観察眼】【起死回生】【不屈】【精霊術】【強襲】【致命の一撃】【中級杖術 レベル1】

装備:【幸運】【早移動】【MPセーブ(精霊術)】【手加減】

・スキル

『テイミング』『精霊術』『姿隠し』『アサルトアタック』『手加減』

・アーツ

杖術(『強力杖殴り』『横薙ぎ』『あか突き』『瞑想(杖)』『蓮華打』『金剛爆打・明鏡』)


〈ジョブ〉

・特性

 テイムモンスターの全パラメーターステータスが【1.4】倍。この数値は【補正強化】のレベルによって変化する。

 テイムモンスターを【4】体まで連れ歩くことができる。この数値は【連れ歩き数+】のレベルによって変化する。

・ジョブアビリティ

【テイム補助 レベル4】【従魔成長】【テレパス】【補正強化 レベル2】【連れ歩き数+ レベル1】【従魔との絆】

・ジョブスキル

『モンスターコール』『モンスターリンク』『スキルスワップ』『緊急召集』『モンスターエンハンス(STR・VIT・INT)』『一時離脱』

・ジョブアーツ

『号令』『鼓舞』


〈装備〉

・武器

 メイン:精霊王の宝緑剣(短剣)(成長度2:Pパーソナルレベル20到達 INT+60 DEX+30 【MPセーブ(精霊術)】)

 サブ:阿修羅巨像の魔杖(INT+40 STR+30)

・防具

 頭:新緑の耳飾り(MP+50 【手加減】)

 胴体:灰狼の革上鎧・改◎(VIT+40 STR+20)

 腕:アッシュバングル(INT+30 AGI+20)

 手:星森のグリップリング(MP+50 DEX+10 MIN -30)

 腰:クロムライトベルト(HP+40 DEX+20)

 脚:灰狼の革下鎧・改◎(VIT+40 STR+20)

 靴:風切鳥のブーツ+(AGI+40 【早移動】)

 外套:姿隠しの外套+(MIN+40 『姿隠し』)

・アクセサリー

 幸運の眼鏡(MP+50 【幸運】)

 星森のペンダント(AGI+40 DEX+10)

 魔力の指輪(MP+20 HP-10)

 知力の指輪(INT+20 MIN-10)

 なし


〈称号〉

【ジャイアントブレイカー】【精霊の守護者】【精霊王の祝福】【ゴーレムキラー】【屠る者】【阿修羅の拳を砕きしもの】【鉱山ダンジョン10階層踏破】


〈従魔・使役〉

 ゼファー【星嵐の精霊】レベル25

 ミュア【ハーフエルフ】レベル30

 グレイ【シルバーアッシュウルフ】レベル26


 ――――――――――――――――――




 ステータスポイントの方は取り敢えず上げたい方針のステータスを上げている感じだ。隠しクエスト前の時からMPとINTとAGIを上げた感じだ。


 アシュラゴーレム戦でシグねぇが入手して俺が手に入れた『ミスティックロッド』と交換した『阿修羅巨像の魔杖』だが、ステータス効果の総量的には強化した磁気巨像の魔杖より少し上がっている。まだ強化してもらっていないが、それでも十分使えるので交換することとなった。それに磁気巨像の魔杖+の耐久値が少し危ない感じだったのもある。


 初期でこの数値なのだから、サザンカさんに強化して貰ったあとのステータス値が楽しみだ。おそらく【中級鍛冶】なら強化できるだろう。因みに装備可能条件はレベル28以上とSTR70以上だったので、割とギリギリだった。


 さて、新たに習得した【中級杖術】だが、実は今のところはまだ新しいアーツは覚えてはいない。


 武器種に対応した戦闘技能の場合、初級技能で基本的に5つの戦闘用アーツと1つのスキルを習得する(ただし、スキルを覚えず全てアーツだった【杖術】やスキルとアーツが半々な【盾術】、逆に5つのスキルと1つのアーツを覚える【魔術】のように、幾つか例外はある)のだが、中級技能では基本的に2レベル毎にアーツあるいはスキルを習得する。


 その際の表示は、例えば初級技能で習得したアーツの上位版のアーツを習得した場合は、その初級技能のアーツに統合されてプラスマークが付けられる。レンの習得していた『ファーストスラッシュ+』みたいな感じだ。また、初級技能では習得していない別系統のアーツを習得した場合は、それらが中級技能のアーツとしてまとめて表示されることとなる。スキルの場合も同様だが、スキルは基本的に別系統の場合が多いらしい。


 だから【中級杖術】を覚えたばかりの状態では、例外はあるものの基本的には特に変化はない。まぁアビリティ効果として、杖をつかった攻撃や杖術アーツへの威力補正が追加されるので、習得すれば単純に威力は上がることとなる。


 中級技能はレベル2へはすぐにでも上がるらしいので、普通に杖を使って戦ったり杖術アーツを使っていれば、『強力杖殴り』が『強力杖殴り+』になるか、別のアーツを習得するかのどちらかにはなるだろう。


 まぁ、その『強力杖殴り』も次のメンテで別の名前になってしまうのだろうが。




 ――――――――――

※ステータスの表記に関しては、その仕方を色々変更しています。一応、書いてある内容自体は変わらないのですが、より分かりやすいように書き方を変えていく予定です。

 過去の分のステータス部分も、現行の表記の仕方に従って、遡って変更していく予定ですが、先の執筆を優先する為、変更が後回しになる場合もありますので、その点はご理解いただけると助かります。

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