好きの気持ちは隠せない
クロノヒョウ
第1話
「片瀬ぇ、俺またフられたぁ」
「なんだよ亮太、またかよ」
放課後泣きそうな顔で俺の前に現れたのは、中学生からの親友である亮太だった。
爽やかで綺麗な顔立ちの亮太は告白され付き合ってはフられを繰り返していた。
「で? 今度は何でフられたの?」
俺は亮太の頭を優しく撫でた。
「わかんねえ。私のことなんて好きじゃないんでしょって、いつものセリフ」
「お前さ、もっと真剣に付き合えよ」
「俺はいつだって真剣だっつうの」
ああ、知ってるよ。
亮太は顔が良くて女にモテるがゆえによく誤解されるが、見た目とは違って真面目で優しいってことは俺が一番よく知ってる。
「なあ片瀬。お前は彼女つくんないの?」
「あ? そうだな、俺に彼女ができたら誰が亮太のこと慰めるんだよ」
「は? なんだよそれ」
「はは、俺は別に、今はお前といて楽しいからそれでいいんだよ」
「ふーん。もったいねえ。片瀬モテるのにな」
そう言って亮太は俺の肩に腕をまわした。
「ベ、別に好きでもないヤツにモテても嬉しくねえよ」
「え? 何? 片瀬好きなヤツいんの? 俺聞いてないんだけど」
近い近い。亮太の顔が俺のすぐ横にある。
「ん、教えねえ」
「っんだよ」
亮太はやっと俺から離れてくれた。
あっぶねえ。
心臓のドキドキがバレるかと思った。
顔が熱かった。
赤くなってんの見られてないよな?
俺が好きなのは亮太、お前なんだよ。
俺は心の中でそう叫んでいた。
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