第39話 牛鬼2(改訂版)

 たけると鈴鹿すずか、カメラマンは牛が浜に行く。

 砂浜の道には海をみる人が大勢いるが誰も砂浜に入っていない。

 3人は砂浜に入り、たけると鈴鹿は水着になり泳ぎ始める。

 そして、海の中で遊び始めるが鬼の気配はない。

 こうして、夕方になり、暗くなってくる。

 すると2人は海中に鬼気を感じる。

 たけるの血は騒ぐ早く刀を出して、その刀に鬼の血を与えろと・・・

 彼は呪われた鬼切の刀の名を心の中でつぶやく

 「来い、羽左衛門ノ贄ノ夜叉」

虚空から護符に包まれた鞘に収まった刀が虚空から浮かびあがる。

 彼は刀を手に取ると電気が走るようにしびれる、刀を抜きはらうと、心の中が鬼への憎しみで満たされる。

 鈴鹿も虚空から大通連を抜く。

たけるは鈴鹿に言う

 「鈴鹿、浅い所まで泳ぐぞ。」

 「承知。」

鈴鹿は短く答える。

 水深が腰の深さになったころ、鬼気が追い付いてくる。

 牛鬼はたけるの右足を掴むと引きすり込もうとするが足は動かない。

 たけるは牛鬼の右腕を刀で差し切り裂き始める。

 牛鬼は手を放し刀を抜くが傷口はふさがらず、体液を吸われるように干からびていく。

 傷口に激痛が走り、牛鬼は立ち上がり

 「うおおおお」

と叫び声を上げる。

 鈴鹿が迫り背中を切りつける。

 こちらもふさがるはずの傷口がふさがらない。

 牛鬼が鈴鹿に気を取られているすきをついて、たけるが左腕を切り落とす。

 さらに鈴鹿が牛鬼の右腕を切り落とす。

 牛鬼は海中へ逃げ込もうとするが、たけるはこの瞬間を狙っていたようにかがんだ牛鬼の首を切り落とす。

 鬼の死体は海中へ沈んでいく。

 たけるは呼吸を整え、鬼への憎しみに抗いながら刀を鞘に納めると、刀は虚空へと沈んでゆく。

 しかし、心の中には鬼への憎しみに満たされている。

 彼はもがきながら憎しみから這い出る。

 気づくと横に鈴鹿がいる

 「憎しみから解放されたの。」

彼女は微笑む。

 たけるは鈴鹿がかわいく見えたため、思わず顔をそらし

 「ああ、コントロールできるようになって

  きているようだ。」

と言う。

 牛鬼退治の場面は特別番組で放送される。

 視聴率はたけるが牛鬼を退治するシーンより鈴鹿が服を脱いで水着になるシーンのほうが視聴率が良かった。

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