鬼切りの刀に憑かれた逢神は鬼姫と一緒にいる

第14話 鬼母子３（改訂版）

　その教室は真っ赤に血で塗りたくられている。天井にへばりついている肉から血のしずくが落ちる。

　２匹の鬼はバラバラになった肉片を貪り食っている。

　たけると鈴鹿は教室に踏み込む

　「随分散らかしたな。」

たけるが言うと気配の強い大きい方の鬼が

　「うおおおおお」

と吠える。

　たけるは正面から刀で切りかかるが鬼は左腕の筋肉を硬直させ刀を受け止める。

　鬼の腕には浅い傷ができる、傷口から体液を突割れるように干からび始め、鬼に激痛を与える。

　彼は鬼の右側へ回り込み横っ腹を狙う、鬼の右腕をかいくぐり腹に刀を突きさし、刃を横に滑らせ切り裂く。

　鬼は後ろに飛び態勢を整える、そして、右腕を振りかぶりたけるに叩きつける。

　彼は刀で腕の方向をそらせ、鬼の懐に入り腹を横に切り裂く。

　しかし、鬼は腹の筋肉を硬直させたため表面を切り裂いただけに終わる。

　鬼は左腕でたけるを捕まえようとするが、彼は飛び上がり左腕を足場にして刀を鬼の左目に突き入れる。

　さらに飛び上がり鬼の頭上から切り付ける、頭を割ることはできなかったが、右目も切り裂く。

　盲目になった鬼は両腕を振り回す、跳ね上げられた机が教室の入り口で撮影していたカメラマンを直撃をする。

　彼は倒れるが撮影を止めない。

　たけるは振り回す両腕を刀で切り落とす、そして、鬼の首をはねる。

　鈴鹿は気配の小さい方の鬼に立ち向かう。

　彼女は神速で鬼の前に出ると刀をしたから切り上げる。

　鬼は両腕で体をかばうが両腕のひじから先が切り落とされる。

　切り落とされても腕が生えてくるはずだが傷口はそのままで血が流れる。

　彼女はさらに一歩踏み込み首をはねる。

　そして、たけるの戦いの行方を見る。

　たけるは呼吸を整え、高ぶる気を抑え込み、鬼への憎しみに抗いながら刀を鞘に収める。

　しかし、鬼への憎しみは消えない、憎しみは言うまだそこに鬼が残っている。

　彼は憎しみの沼の中でもがく、そして体は鈴鹿へ近づいて行く。

　たけるの両手が鈴鹿の首に届き、締め始める。

　鈴鹿は苦しみをこらえて、微笑む。

　すると憎しみの沼に日が差す、たけるは日に向かってもがく。

　彼の意識は体にやめろと訴えているが止まらない。

　憎しみの沼でもがいていたたけるはついに沼の上に顔を出す。

　そして、体の自由が元に戻る.

　たけるは、鈴鹿の首から手を放す。

　鈴鹿はせき込みながら

　「戻って来れたね、段々使いこなせる

　　ようになっているね。」

　「君のおかげだ。」

　「あなたの妻だから当然よ。」

　「誰が妻だ。」

鈴鹿は隙を見せるとたけるの妻の座に着こうとする。

　カメラマンは立てない、足を骨折しているようだ。

　しかし、撮影を止めない。

　たけるは携帯で救護隊を要請する。

　そして、警察にも鬼を退治したことを連絡する。

　今回のカメラマンの命がけで撮影した映像はあまりにも凄惨過ぎて放送されることはなかった。