第7話 稲荷の使い(改訂版)

 逢神たけるのテレビ初出演のオカルト相談コーナーは鬼の出現で騒ぎになり、世間の注目を浴びる。

 1週間後、2回目の生放送の時間が来る。

 たけるは愛想よく

 「今週はどんな相談でしょう、相談者の方

  どうぞ。」

すりガラスの向こうに相談者が座る。

すると突然、少女がたけるの前に現れる。

たけるのこの世ならざるものを見る目は、少女がお稲荷様の使いだと告げている。

 「稲荷様の使いが何のようでしょう。」

 「ふん、見ただけで分かるのか、神殺し

  よ。」

 「山の神の件ですね。」

 「知って殺したのか、そのようなものを

  我の使えるお方の地に入れたくないが、

  交渉に来た。」

 「何か条件付きでこの地に入ることを認め

  ていただけるのですね。」

 「話が早い、鵜沼五角堂に鬼が住み着いて

  難儀しておる、おぬしの呪われた鬼切り

  の刀で切っておくれ。」

 「分かりました。」

 「我の名は美鈴、約束を果たせ。」

少女は姿を消す

 「飛び入りのお客さんがいらっしゃいまし

  たが、相談者の方からお話を聞きましょ

  う。」

番組はめちゃくちゃだ、たけるは開き直る。

 「体が重くて、何か鳴き声が聞こえるんで

  す。」

ボイスチェンジャーを通した相談者の声が聞える

たけるはすりガラス越しに相談者を見ると肩に赤ん坊の霊が憑りついている。

 「子供をおろしましたね。」

 「何がいけないんですか、私には生む訳に

  いかなかったんです。」

 「責めてませんよ、祓ってもらえばよくな

  ります。」

 「では祓ってください。」

 「ここは相談コーナーですよ。」

 「依頼料をいただければ払いますけど。」

 「何ですかそれ。」

 「時間が来ましたので今週はここまでに

  します。」

たけるはオカルト相談コーナーを終わらせる。

 実際、時間が押していたのだ。

 えりなが、たけるに怒る

 「あれは、なに。」

 「お稲荷様の使いですけど。」

 「確かにそれもあるけど、相談者に

  お祓い料を払えってどういうこと。」

 「別に仕事をするのですから取るのは当然

  です。」

 「お祓いして解決しないと番組成り立たな

  いでしょ。」

 「相談者待たせていますから祓ってくださ

  い。」

 「依頼料払ってくれそうですか。」

 「番組から出します。」


 別の部屋で依頼者はソファーの座っている。

 たけるが見ると十代の少女だ。

 少女の顔が見えない形で撮影がされている。

 たけるは丹田に力をためるとその力を右手に移す。

 そして、少女の肩に触れると赤ん坊の霊は消え去る。

 「終わりましたよ。」

 「ありがとうございました。」

一応礼を言うが少女はたけるを睨んでいる。

 除霊を撮影した映像は、この情報番組の中で放送される。

 映像には少女の肩に何か影のようなものが映っており、たけるが手で触れると影は消える。

 わざわざ除霊を撮影したのは、オカルト相談コーナーが話題になっておりなるべく印象を良くしようとした措置である。

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