第15話名古屋のマテリア
「期限は?」
「出来るだけ早く」
「わかりました」
「とりあえず、明日行きます」
「お待ちしています」
亮が考えたのは名古屋再出店と
名古屋マテリアの制服化だった。
高級美容院と言う名目であっても
スタッフの服が安物では店内の質が
落ちてしまうからだった。
亮はマテリアのスタッフの状況をすべて確認し
飯田と店を出て喫茶店に入った。
亮はすぐに小倉トーストとコーヒーを頼んだ。
「おい亮、さっき食べたばかりだろう」
「名古屋名物小倉トーストは食べないと」
「結局、アンパンじゃないか」
「確かに・・・」
亮が半分食べた頃
「飯田さん」
亮は飯田の毛染め状態、カットの形など
頭を隅から隅まで見た。
「良いですね、根元からしっかり染めてあります。
毛染め薬も良いし毛艶もいい」
「飯田さん、髪が少し細くなってトップが
ペッタンコなっているので
うちのシャンプーを使ってください
プレゼントします」
「ありがとう、お前さんは何でもできるんだな」
飯田は今まで以上に信頼をした。
「飯田さん服を売りたいんですけどいい物件ありますか?」
「もちろん本業だから探せるが」
「うちでブリリアンスショーというブランドを買収して
僕が社長なんですけど、もう一度名古屋に再出店したいんです」
「それは知らなかった・・・わかったすぐに探させる」
「お願いします」
「ところで、なぜ名古屋で洋服を売るんだ?」
「昔から名古屋はファッションセンスが
無いと言われているんです」
「ああ、それは聞いている」
「まあ、名古屋の女性に言わせると男が行けてない
からおしゃれをしてもしょうが無いと言っています。
朝ゴミ捨てに行く時パジャマのまま、
コンビニに買い物に行く時
部屋着のまま、近所のスーパーはすっぴんそれが
悪循環なのか、鶏と卵ですね」
「なるど、それで?」
「安くておしゃれな服作ります」
「まあ、よくわからんが頑張れ」
「はい」
亮と飯田は一緒に名古屋へ行ってすっかり親しくなった。
人間関係を深くするのは旅行やドライブが良い
~~~~~~
翌日亮が会社に出社すると智子が目で合図を送った。
目を上げると大橋と三島が話をしていた
「ねね、この前の飲み会以来あの二人が急接近」
「良かったね」
「それが、今井部長がやきもちを妬いているみたい」
「部長が妬くのがおかしい」
「そうなんだけどね、それが凄いんだ目つきが」
「あはは」
亮と智子が一緒に笑った
~~~~~~
六本木の一文字の会社の会議室で
一文字と西君と島崎三人で話をしていた
「どうだった」
「それが・・・」
西が困ったような顔をして言った
「どうした?」
「予定より名古屋化学の株が買えませんでした」
「なんだと」
一文字が西の顔を睨みつけた
「たぶんGOTOの連中が身内に情報を流したと思います」
「インサイダーか」
一文字は舌を鳴らしてしかめっ面をしていると
「それがGOTOの関連株もずいぶん買われていました」
「そうか、それでどれくらい儲かった」
「はい。名古屋化学で10億円」
「うん」
「関連株で20億です。ただまだ関連株の方はもう少し上るかと」
一文字はインターフォンで新村一恵を呼んだ。
「磯村を呼んでくれ」
「はい」
しばらく経つとストレートホールディングの磯村常務が入ってきた
磯村常務は新規事業担当の責任者で
とても頭が切れ一文字の信頼が厚かった
「お呼びですか?」
「うん、今回の株の取引で30億の資金が出来た」
「はい」
「その資金でプレステージ計画実行だ」
「わかりました、早速」
磯村が部屋を出ると一文字がきつい顔で言った。
「西、予定通り行かなかったから、女子大生で我慢しろ」
「はい、申しわけありません」
~~~~~~
その夜、亮は森と新橋の喫茶店で待ち合わせをしていた
するとそこにはスーツで決めた森がやってきた
「今日は蝶へ行くから決めてきたぞ」
「あはは、はい。早速ですが」
「なんだ」
「うちの会社の株が買われています」
「ん?」
「狙われているかも知れません」
「そうか」
「調べられますか?」
「難しいなあ、俺の力じゃ」
「そうですか」
「相手がわかれば手伝うぞ」
「はい」
そこへ警察庁の原美咲からの電話が鳴った
「はい、團です」
「原です」
「ご無沙汰です」
「来週スタートするわ」
「いよいよですか」
亮はため息をついた
「ため息つかないでよ」
「あ、すみません」
「どうかしたの?」
「うちの会社の株が大量に買われているので」
「あそう、調べてみようか?」
「お願いできますか?」
「いいわよ、じゃあ明日の夕方会いましょう」
「森さんは?」
「二人が良いに決まっているでしょう」
「はい、じゃあ明日」
「どうした?」
森が心配そうに聞いた
「原さんから電話で来週スタートだって」
「了解、いよいよだな」
「明日打ち合わせしてきます」
「俺は?」
「二人で」
亮は気まずそうに言った
「あはは、そうだな」
森は手を握り締め警察業務に
復帰する事に興奮していた。
「森さん行きましょうか」
「おお」
二人は立ち上がった
銀座八丁目の蝶に入ると
絵里子が二人を迎えた
「いらっしゃませ」
「こんばんは」
二人は奥の席に案内された
「おい、良いのか?ここは一番奥だぞ」
「はい、いつもここですけど」
「やっぱり、お前はおかしい」
「えっ?」
絵里子はうれしそうに
亮の脇に座ると亮の手を握った。
「ありがとう、来てくれて」
亮は「はい」と言って
お絞りで手を拭いた
「じゃあ、呼ぶわね」
「お願いします」
テーブルにお酒がセットされていると
絵里子が微笑んだ。
「森さん、いまきますからね」
亮が耳元で囁いた
「OK、じゃあ今日は美也子さんを呼ばないのか?」
「はい」
「後でもめても知らんぞ」
「そうですね」
淳子と雅美の二人が来ると
亮は森を挟むように座らせ美也子を呼んだ
美也子が横に座ると「ごめんね」
亮は小声で謝ると小声で答えた
「いいですよ知っているから」
そこへ、内村が入ってきた
「あっ、社長」
隣の席に内村が座ると
亮に向かって手招きをした
「伝言は聞いたか?」
「はい、おかげさまで」
「そうか。実は例の件情報が漏れていたようで
それなら、君に動いてもらったほうが良いかと
思ってな」
「はい、ありがとうございます」
亮は怪訝な顔をして聞いた。
「ところで、情報の漏れと言うと」
「ああ、買収しようとしていた会社の株が
誰か急に買い始めて、TOBをせざるおえなかった」
「そうですか。その株を買っている
相手がわかりましたか?」
「いや、だがそろそろわかるだろう」
「うちも危ないかな」
「そうだ、DUN製薬さんも株が上がっているな」
「はい、社長の会社もうちの会社の株をお持ちですよね」
「ああ、うちは機関投資家だから他に売らんからな」
「はい、問題は情報が漏れたということですね」
「ああ、社員のモラルがなくなっているか。
産業スパイがもぐりこんでいるとしか考えられん」
「産業スパイか」
「どうだ、こっちで一緒に飲むか?」
「いいえ、ちょっと」
「うん、わかった。そうだ理恵が宝石をもらったと言って
喜んでいたぞ、ありがとう。それと杏子が仕事に
誘われたとか言っていた」
「はい、冷凍食品を作ろうと思っています」
「冷凍食品か。大手食品会社が躍起になって開発しているが
勝てそうか?」
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