第12話 領主補佐
「実はサム兄さまのことなのですけど、自分がガンフ兄さまを差し置いて領主になろうとしています。」
ほんの数時間前の事実をお父様に伝えます。
「なるほど、あれはガンフの予備と考えていたのだが……、まあガンフがフィーネの予備になるからそこまで必要ではないな。どうする?」
いや、なんで私に聞くんですか?一応、答えますけど。
「そうですね、お父様がどう行動するかによって変わりますが、サム兄さまに向いてるところに放り込んだらいいんじゃないですか?」
「ほう、それは?」
「軍学校ですね。職業は[参謀]なので、向いてるでしょう。」
「なるほど。ところでサムはどこに進学予定だ?」
それについてはガンフ兄さまが答える。
「王立学園ですね。本人は貴族学科を希望しているみたいですが……。」
「ふむ、では軍学校に放り込もう。」
そこで、ティア姉様が手をあげて提案をする。
「あ、だったら私も行きたい学科があるの。」
「ティア、突然だな。」
お父様も苦笑いしていた。
「だって、サムと同じタイミングなら不自然じゃないかなぁって思って。それに、フィーネに見てもらって私のやれそうなことが見つかったんだから!!」
「お、おう。」
お父様も引いてしまってますね。
仕方ないのでパンと手を叩き、ティア姉さまを止めます。
「ティア姉さまは商売に特性があったのでその勉強がしたいと言うことです。」
その時、一つ思い出したことがあったので、付け加える。
「そういえば、私付きのメイドのエリザがコーサス商会の出でしたから、そちらで勉強するのもいいですね。」
お父様は少しだけ考えて
「なるほど。ティアは好きにするがいい。もちろん最大限の支援はする。」
「あ、ありがとうお父様!」
そう言って、お父様に抱きつくティア姉さま。
「礼なら、フィーネに言うことだ。フィーネじゃなかったらわからなかっただろうしな。」
「うん、ありがとうフィーネ。」
そう言いながら私に抱きつくティア姉さま。胸が顔に当たって、息ができなくて苦しいです。
「では、今からフィーネを領主補佐とする。それでいいか?」
兄姉たちは意義なしとばかりに頷く。
「あの、お父様、それは少し待っていただけませんか?」
「ん?どうしてだ。」
「サム兄様がこの事を知ったらどういうことをするか想像していますか?」
「「「「……あっ。」」」」
うん、みんなサム兄様の事を忘れてたみたいね。
「サム兄様を軍学校に放り込んでからじゃないと、面倒が起こりますよ。」
「「「「確かに。」」」」
「では、どうする?」
お父様がたずねてきた。
「まあ、サム兄様とティア姉様の入学まであとひと月。だったら、私の誕生日を理由に社会見学ということにしてお父様の書斎に出入りするのはどうでしょう?」
「なるほど。」
お父様が頷いてくれた。
「さらに、同じ理由で町へ出て、逸材を探します。スカウトするのはサム兄様が入学する頃になりますが。」
「なるほど、その逸材を使って発展させるということか。よし、お前に任せよう。」
こうして、ヴァルクハイン男爵領の発展のため、私が指揮をとることになった。
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