拝啓三年前の私達へ
美咲☆@
第1話 見えない
冬の季節に入る布団って暖かいよね。
もう二度と凍えるような外には出たくないと思うくらい。
どうしてこうなのか、いつからこうなのかは全くわかんない。
気づいたらこうなってて、もうどうしようも無かったんだ。
10歳になった今では実感が無いが、7歳まではガッコウがあった。
毎日お母さんに揺さぶられて起きて、むすっとしながら朝食を食べる。
その時も布団からは出たくなかったけど、今とは全く違う理由。
だって体を起こすのが面倒くさかったんだもん。
でもそれが甘えだったってもっと早く気づけたらな…。
ガッコウには沢山の友達が居て、みんな笑ってた。
時々ひび割れがあったけど、白くて綺麗な壁のコウシャだった気がする。
大きな砂場があって、そこを自由に駆け回った。
毎日が笑顔に満ちていた。
そんな日々が永遠に続くと思っていた私が馬鹿みたい。いや、馬鹿だ。
もう思い出したくもない。
楽しい頃なんて思い出したって今が辛くなるだけだもん。
あの頃居た家は今どうなってるのかな…。
ガッコウはどうなったのかな…。
外に興味なんて向けたのは1年ぶりだ。
カーテンを開けることさえしてこなかった。
だってもう全てがどうでもいいんだもん…。
なんて格好付けれたらな。
本当は望みを捨て切れていない大馬鹿者なんだ。
外が怖いから見ないようにしてるだけ。
でも、いつかはこの状況が変わると信じて待ってる。
だから毎朝外の音を聴いて人が居るかどうかを確認する日課は欠かさない。
でも外を目で見ることなんてこれっぽっちも出来やしない。
暗い部屋を突き刺すように差し込む日光さえ、私にとっては恐怖そのものだった。
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