第13話 異界突入 根源 パート8

 『四方錠』は4箇所にエネルギーを込めた札を貼り付けてその札の内側に入っている僕以外の対象者を外に出さず、内側に僕以外の他者を入れないようにする呪術。


 本来は封印や足止めに使う。


 僕はエネルギー操作はそれなりに扱えるけど、呪術はあまり得意じゃない。この『四方錠』による護りもただの気休め程度にしかならないだろう……。


 本来なら僕の『ファントム・マジシャン』を使って護りたいのだが、『ファントム・マジシャン』で出せる道具3つまでしかない。


 1つは姉さんを護る為に使っている。もう1つは僕が武器や防具に使う。そして最後の1つは何か起きた時の為の保険としてとって置かなければならない。


 もしも、僕の戦闘中に姉さん達に危機が及んだ場合、保険にとって置いた『ファントム・マジシャン』の武器で瞬間移動する為にも1つは残して置かなければならない。


 僕の『ファントム・マジシャン』は広い範囲は護る為には3つ以上必要となる。それでも半径30mくらいの人数しか護れない。『ファントム・マジシャン』1つだけでは教室1つ囲うのも難しい。


 『番人』と名乗ってる迷い人やあの着物姿の少女の攻撃で容易く壊れてしまう。


 だが無いよりはマシだろう。『番人』や着物姿の少女ではない弱い奴等には多少なりとも時間稼ぎくらいはしてくれるはずだ。


 本来なら僕の『ファントム・マジシャン』を使って護りたいのだが、1つは姉さんを護る為に使っている。もう1つは僕が武器や防具に使う。そして最後の1つは何か起きた時の為の保険としてとって置かなければならない。


 もしも、僕の戦闘中に姉さん達に危機が及んだ場合、保険にとって置いた『ファントム・マジシャン』の武器で瞬間移動する為にも1つは残して置かなければならない。


 僕の『ファントム・マジシャン』は広い範囲は護る為には3つ以上必要となる。それでも半径30mくらいの人数しか護れない。『ファントム・マジシャン』1つだけでは教室1つ囲うのも難しい。


 だから今は『四方錠』を使った。


鉄也

「さてと、僕はちょっと行ってくるよ。『月夜浮世絵』でこの世界に迷い込んじゃった人を見つけたからちょっと助けて来る」


コウ

「お前も無理するな……。『月夜浮世絵』って……。お前じゃなかったら失明のリスクがある技じゃねーかー……」


鉄也

「あれ? そうなの? 僕、何回も使っているけど失明した事ないし、そもそもそのリスクは誰が調べたの? 初耳なんだけど?」


コウ

「お前のその力が便利そうだからって組織の科学班が再現しようとした結果、失明のリスクや得られる情報量多さから脳のパンクのリスクがあるらしいじゃねーかー。普通だったら使ったら危ない技じゃねーかー」


鉄也

「そうなの? それは知らなかったな。僕としては『呪術』を扱う方が危ないと思うけどね。失敗したり、破られたりすると技が自分に跳ね返ってくるからさ」


コウ

「『月夜浮世絵』はお前の脅威的な肉体がなかったほぼ失明する技だってーのー」


鉄也

「むぅ。それじゃ僕の能力が扱い難いって言われているみたいでなんか嫌だな」


コウ

「お前の能力はお前の体にしか使い熟せない能力だからなー」


 僕はそこまで扱い難いと感じた事はないんだけどなぁ。


鉄也

「まぁ、いいや。とりあえず行ってくる」


ゴスペル

「にょ。ならオイラも同行するにょ」


鉄也

「ゴスペル。お前はここに残って皆んなを護れ。コウは今自分の傷を癒すのに力を使っていて戦闘は出来ない。それに僕の呪術による護りも気休め程度にしかならない。ヤバい状況になった時はお前の力で皆んなを逃がせ」


ゴスペル

「し、しかしにょ!? そ、それじゃあ鉄也様はどうするにょ!?」


鉄也

「僕の事なら心配するな。最悪の事態を想定して準備はしておいた」


 最悪のケース。それは僕達がこの世界に閉じ込められて出られない状態。しかし、ゴスペルか僕がいれば『異界』を抜け出す事は出来る。


 だが、僕はかなりエネルギーを消費している状態だ。


 しかもこの世界にいる限りエネルギーの回復速度は遅い。


 今の状況でこの世界を脱出出来るのはゴスペルの力だけだ。


 しかし、僕だけがこの世界から出られない状況になったとしても一カ月くらいなら生き残れるように準備はしてある。


鉄也

「ゴスペル。頼んだぞ」


 僕はそう言うと教室から出て3階へと向かった。


 3階に到着し、早速現れたのはミノタウロスの姿をした迷い人。


ミノタウロスの姿の迷い人A

「ヴゥモォッ!!」


 奴は僕を見るなり襲いかかって来る!!


鉄也

「遅いんだよ!!」


 僕は奴の腹を殴りつける!!


ミノタウロスの姿の迷い人A

「ヴゥモォッ!?」


 奴が膝から崩れ倒れてくる。そのタイミングで頭を殴ってかち割る。


 うむ。思った通りだな。弱い迷い人なら素手でも充分倒せるな。


鉄也

「さて、早いところ助けないとな」


 僕は廊下を歩き出した。


ーオマケー


鉄也

「エネルギー操作にはいくつか分類があります。『流動術りゅうどうじゅつ』。この技はエネルギーを自身の身にまとわせて攻撃力やスピードを上げたり、傷口にエネルギーを集めて治癒能力を高めたりする事やエネルギーをなんからの形にして攻撃する事も出来る」


コウ

「『流動術』はエネルギー操作の基礎的なモノだなー。ちなみに鉄也の扱う『八岐大蛇』や『鎌鼬』なんかもこの分類になるかなー」


鉄也

「次にエネルギーを熱、可燃物質、電気などの様々な物質に変化させる『変化術へんかじゅつ』。ただこの技は体の体質や能力との相性とかあるから扱うのは少し難しい部類かな」


コウ

「鉄也の使っていた電気をまとった手刀の『手刀雷牙』や俺の『猿陽光神楽・転武』もこの部類になるかなー」


鉄也

「そして人や指定した場所を呪って様々な影響を出したりする技の『呪術』。『呪術』はエネルギーを消費するだけではなく怒りや悲しみなどの辛いつらい思い出なんかを糧にして力を増す。そして『呪術』は失敗したり、破られたりするとその効果は自分に跳ね返ってくる。エネルギー操作の技では最も扱い難い類いになる」


コウ

「ちなみに鉄也が使った『四方錠』は失敗したり、破られたりするとどういう効果があるんだー?」


鉄也

「僕の使った『四方錠』は失敗したり、破られたりすると逆に僕がその『四方錠』を使った空間に閉じ込められる。といっても10分くらいだし、僕なら簡単に壊せるからあまり意味ないかな」


コウ

「ちなみに俺が使った木の札にモノを封じておくのは『物仕舞いものしまい』と呼ばれるモノで仕舞っておきたい物をその木製の物体に仕舞っておく呪術だなー。デメリットとして失敗したら自分がその木の札に封じ込まれちまうから注意がいるぞー」


アルト

「へぇ。エネルギー操作の技っていろいろとあるんだね。ちなみにエネルギー操作で1番強いのって何?」


鉄也

「どれが強いとかは特にないかな。どのエネルギー操作も使い手の実力次第や状況で変わるから。覚えやすい難易度で言ったら『流動術』が1番習得しやすいかな。まぁエネルギー操作の基礎みたいなモノだし。ちなみに僕は『呪術』はあまり得意じゃないから相手に多大なダメージを与えたりとかそういう技は使えない」


コウ

「俺も鉄也ほど苦手じゃねぇーけど、それほど得意ではないなー。まぁ、『呪術』は才能の問題だからなー。俺の親父は得意だから遺伝による力ってわけじゃねぇーだろうからなー」


鉄也

「まぁ、こういったエネルギー操作の技を使えれば戦いのバリエーションは増えて戦い易いと思うよ」

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