真夜中の夢
水谷一志
第1話 真夜中の夢
一
僕は夢を見た。
それは真っ昼間に自分がいる夢。そこは断崖絶壁。そんな所に自分が一人ポツンと立っていて、太陽の光が眩しいくらいだ。
なぜ、僕はこんな所にいるのだろう?どうして、僕は一人でいるのだろう?
二
思えば僕は物心ついた時から考え事をしていた。
その考え事は日に日に深まり、後戻りできない所まで行くぐらいになった。
そして僕はその考えを文章にしたためたいと思うようになった。
一生懸命考えた結果を、誰かに読んで欲しい。そして、誰かに知って欲しい。
そう考えることは人にとって自然なことではないか?
僕は、そんな風に思う。
三
僕は都会生まれだ。
それも大都会。ただ僕は夜の喧騒は苦手だ。
考え事をしたい僕にとって、喧騒は天敵に他ならない。
なので僕はずっと田舎に憧れ、いつかは田舎に住みたいと思うようになった。
四
いつしか僕は人から憧れられるようになった。
僕は大したことをしているとは思っていないのに、僕の考えたことが認められるようになったのか?
それは良いことだが、僕としては戸惑っていることも否めない。
僕なんかがそんなに認められていいのか?もっと他に尊敬されるべき人がいるのではないのか?
しかし人はふとそう考える僕を放ってはおかない。
いつしか僕はある程度の地位を持つようになった。
五
しかし、僕はそんな地位はどうでもよくなった。
もっと自分の考えを深めたい。自分を磨いていきたい。
僕の考えはそのような方向に推移していった。
そして、僕は引っ越すことに決めた。
大都会を離れ、昔憧れていた田舎で暮らすのだ。
そんな中、僕は夢を見た。そして今目が覚めた。
うん?今は真夜中のはずなのに、まだ明るい。
そうだ。そうだった。僕は引っ越したのだ。
【ノルウェーのショルデンという田舎に】
【そう、僕の名はルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン】
PS 20世紀を代表する哲学者、ルードヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン。僕、水谷一志が大好きな人物の一人です。 (終)
真夜中の夢 水谷一志 @baker_km
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます