とある町の博物

バブみ道日丿宮組

お題:たった一つの博物館 制限時間:15分

とある町の博物

 田舎といえば、畑が広がっててあまり家がないイメージ。

 私の住んでる町もそんな感じだ。若者よりも年寄りのが多い。あまり人が増えないこともあって、町内では顔を覚えられてたりする。

 そんななんもないような町で賑わうところが1つだけある。

 それは博物館。隣町とか、海外からわざわざ見に来てる人がいるくらいの繁盛っぷりだった。

 博物館は警備員が完備してる。しかも有名なセキュリティ会社が防犯ブザーなどの設置を行ってる。

 中には数千万円のものがいくつも並んでたりするらしい。

 私は学校の社会科見学で入ったときに見たぐらいで、どれが高いものだったのかわからなかった。説明文は難しい日本語が使われてるし、誰の遺品かなんて興味はなかった。

 アナウンスの声をまともに聞いてたのは、おそらく数人でほかは違うことを考えてたに違いない。

 だからこそ、簡単な仕事だと思ってた。

 私は学校を首席で合格すると、就職先に博物館を選んだ。

 筆記試験、面接と続いて合格して、内定を勝ち取った。

 そこからが面倒くさかった。

 なんと展示物すべてのデータを何も使わないで言えということだった。

 暗記物は不得意ではないが、さすがに難しい日本語を繰り返し言うのはたいへんだった。

 質問されたら、答えられるようにしなきゃいけないから、資料を深く読んだ。

 はじめての相手は、両親でしっかりと内容が話せてると褒めてくれた。

 次にというか、毎週のように同級生が博物館を訪れてくる。

 目的はどうやら私らしい。

 会うために毎回3000円もする入場料を払って、ポイントを稼いでるとのことだ。

 見た目は悪くないし、性格も尖ったところはない。

 付き合ってもいいかもしれない。

 学生らしい恋愛を学生時代にし忘れてる私ということもあって、ちょっとした恐怖を感じてる。進むことも大事だとは思ってるが、なんだろうか。

「……はぁ」

 休憩室で一人お茶を飲む。

 今日の仕事は終わり。

 アナウンスが必要な団体はそんなに多くない。

 自分の目でみて、自分の知識で、博物を見る。

 そういうのがあるらしい。

 仕事が減るのはいいことだ。

 ずっと立って、喋るのは疲れる。 

 自分が選んだ仕事なのだから、しっかりすべきなんだろうが、疲労は必ず起こるものだ。

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とある町の博物 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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