第383話

本当に長らくお待たせしました。

体調も良くなって来たので徐々に復活!





待機していた兵士に連れられて王城内へ。


「ようこそお越しくださいました。シーカリオンはあなた方エチゴヤ商会の来訪を歓迎いたします」


「わざわざ女王陛下がお出迎えしてくださるとは、恐縮です」


うふふ、あははとまるで仮面を張り付けたかのように笑う二人。


「それであの方の容体は……?一時期は命の危機もあったとの報告もありましたが……」


「ずいぶんとお耳がよろしいようで。とある方の協力により持ち直す事が出来ましたので。ご心配をお掛けしました」


持ち直したとサイさんがミオンさんに伝えると、にぱっとでも言うような笑顔でそれは良かったです。と伝えていた。


『さっきから何なんだこの2人。いつもと雰囲気が違いすぎる』


そんな事を考えている間にも2人の会話は進んでいる。


「もしよろしければ、王城の勤務医を派遣することも可能ですわ?」


「それには及びません。既に治療は完了しましたので。後は回復を待つだけですから」


「ふふっ、なら良かったですわ……本当に大丈夫なのですのよね?」


「えぇ。傷はもう塞がりましたから。」


サイさんはそう答えるがミオンさんからは作り笑いが消えた。


「……何故エチゴヤの代表ともあろうお方がそれほどの怪我を?」


ミオンさんの指摘はもっともだろう。


何故エチゴヤの代表たるブリットがあの様な瀕死の重傷の怪我を負うことになったのか。


「それは……」



サイさんが苦々しい表情を隠しきれずに、重たい口を開いた。


「……まさか子供をあの様な非道な作戦に使うとは思ってもいませんでした」


サイさんから語られた手口。


それは以前アルテリオンでも起きた事件と同様なのだった。


「ヨハム公爵領までは順調な道のりでした。もっと激しく妨害されるだろうと考えていたのですが、全く妨害される事なく移動することが出来ました。今考えるとそれもこちらを油断させる為だったのでしょうね……ヨハム公爵領にあるうちの店の人間と合流した直後に2人の子供が自分達も連れて行ってほしいと声を掛けて来たのです。その子供達は孤児院で生活しながらも、うちで仕事の手伝いをしていた子で……父も何度か顔を見たことがあったらしく、私を含めて油断していました。まさか孤児院があんな事をするとは……」


子供達を連れていく事を快諾したブリット。


「私達はヒノハバラからシーカリオンへと拠点を移す。つまりこの国を出て行くという事だ。この国に戻れるかもわからない。それでもいいのかい?」


「「はい!」」


「よし!いい返事だ!」


「良かったな、お前達。代表、本当にありがとうございます」


ブリットに深々と頭を下げるヨハム公爵領の支店長に、気にするなと肩を叩く。


「話には聞いていた。元々成人を迎える年齢になったらうちで引き取る予定だったのだろう?ならば構わないよ」


「本当にありがとうございます!」


2人の子供達も孤児である自分達があのエチゴヤで働けるという事だけで、とても嬉しそうだ。


そんな子供達の笑顔にブリットも自然と笑顔になる。


「お前達、良かったな」


その時に支店長は改めて子供達をみて違和感を感じた。


「お前達、その服はどうしたんだ?」


いつもの薄汚れた服ではなく、妙に小綺麗な服に。


「シスターがくれたんです!この服を着てエチゴヤに行くんだよって!」


子供達が笑顔でそう答えた瞬間、服が発光するのが見えた。


「だ、代表!!」


咄嗟にブリットを庇うように動いた支店長諸共激しい炎が2人を包み込むのだった。





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