第374話

「きゃぁぁぁぁ!!」


「うわぁぁぁぁ!!」


ヒノハバラ側から人々の叫び声が響く。


国境門を守る兵士達が武器を構えた。


「こりゃやばいわぃ」


「坊主も逃げた方がいいぞ!!」


ヒノハバラへと入国しようとしていた数人は異変に気がつくと、


「急げ!離れるぞ!」


急いでその場から離れる商人達。


馬車に乗って待機していた商人も慌ててUターンを開始。


その時だった。


「邪魔じゃ、ボケェェェ!」


という、どこか懐かしい声がヒノハバラ側から聞こえた。


ラグナがその声がした方に顔を向けると、


ドゴォォォォーーン!!


突然金属で出来た丈夫そうな国境門の片側に大きな音と共に凹みが出来ていた。


ドゴォォォォーーン!!


ドゴォォォォーーーン!!


何度も金属を殴打したような音が響く。


徐々に凹みが大きくなり、門がどんどん歪んでいく。


武器を構えていた兵士達は恐怖でガタガタと震えていた。


「な、何なんだ!なんなんだよぉぉぉ!!」


金属で出来た頑丈な門がどんどん歪んでいく光景に、武器を構えていた兵士達は狼狽える。


「む、無理だぁぁぁ!!」


兵士のうちの一人が恐怖の限界に達して、武器を放り投げると一目散に逃げ出した。


「お、置いていくなよ!!」


そんな兵士を見て、他の兵士達も武器を捨てて慌てて逃げ出す。


それはそうだろう。



扉の向こうにはこの重たく頑丈な扉をいとも簡単に凹ませる力を持ったナニカが暴れているのだから。


そんなナニカがいつ門を破ってこちら側に入ってくるかなんてわかったもんじゃない。


兵士達が逃げ出した光景を遠くから見ていた商人達も危険を察知して、シーカリオンへと逃げることを決意したのだった。


ラグナは魔力障壁を展開し、門の向こうで暴れているナニカがいつ飛び出してきても問題ないように準備をしつつ……


「さっきの声は……まさかね」


と思考を巡らせる。


彼女は学園の生徒として学んでいるはず。


エチゴヤと共にいる訳がない。


国境門を守るべき兵士達や商人達が逃げ出し、ラグナ以外の人影はもはやこの場には残っていない。


「誰か、奴らを止めろぉぉぉ!!」


「無理ですぅぅぅ!!」


「ぐはぁぁぁぁー!」


「可憐な乙女に向かって誰がオッサンだコラァァァァァ!!」


「ギャァァァァァァ!!」


という、阿鼻叫喚な叫び声だけがこちらへと近づいてくる。


「もう、門が持たないぞ!!」


と兵士の一人が叫んだ時、 ドゴォォーーン!! という音と共に国境門はひしゃげて倒れてしまった。


そして、倒れる扉に対して跳び蹴りを放ったと思われる少女が国境門の扉の上に着地した。


そして新しい獲物はどれだとでもいうようなギラついた目で周囲を見渡す少女。


少女は国境門の先でポツンと立つ存在に気がつくと、一気に駆け出す。


「ちょっ!?まっ!?」


ラグナは慌てて展開していた魔法障壁を強化すると少女はその魔法障壁を殴りつけてくるのだった。





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