第294話
なんとか無事?に魔力供給は完了出来た。
「はぁ……はぁ……全く、優しくって言ってるのに……はぁ……」
「これでも慎重にゆっくり魔力を練ったんですけど……」
「はぁ……はぁ……はぁ……本当に魔力タンクバカなんだからぁぁぁ。」
リオ型のゴーレムが「も~」と言いながらポカポカ叩いてくる。
どうにもこうにも、その姿が可愛らしく見えてしまう。
「もう良いですか?魔力の方は?」
「あ~……うん。問題無く動くよ。それで……旅はどうだったか聞かせて貰える?」
リオの表情が変わる。
「はい。」
ラグナはアルテリオンに行った際に起きた事件の説明。
ラグナがガッデスに到着した際の様子。
その帰りに発見した輸送部隊の壊滅。
バケモノの姿と様子の説明。
エチゴヤの輸送部隊の覚悟をリオに対して説明したのだった。
「なるほどねぇ……まさか反人類同盟が増えていたなんてねぇ……やっぱり自分の目で見ないとわからないことが本当に多いや。ルテリオが元気そうだから安心したけどね。」
ホッとするリオに対し、
「ルテリオ様とは全く会っていないのですか?」
そう尋ねるラグナ。
「ん~、最後に会ったのはルテリオが精霊神になる前だったかな?私は動くことが出来ないからねぇ。最後に会った時のルテリオはヨボヨボのお婆ちゃんだったよ。本当にビックリだよねぇ。あんな姿でも昔は本当にきれいだったんだよ?」
笑い話のように話すが、実際には笑えない内容だった。
「えっ……??僕が会った時と違いますよ??つまり……ルテリオ様は精霊神となった時に若返ったのか??」
ラグナがルテリオが若返ったなどと言うので、驚いて固まるリオ。
「どうしました?」
「いや、今なんて言った?」
「だから、ルテリオ様は精霊神様になった事で、若い頃の姿に戻ったのかと……」
それを聞いたリオはラグナの肩を掴んで激しく揺さぶる。
「どういうこと!?そんな事私聞いてないよ!?」
「わっ、わかりましたから落ち着いて下さいよ!!」
暫くすると落ち着いたようで、今度は真剣な眼差しでラグナに詰め寄る。
「教えて。ルテリオは今どんな姿をしているの?」
「ルテリオ様ですか?えっと……大体20cmくらいの大きさの少女で、半透明の羽を持っていてまるで小さなお姫様の様でしたよ?」
ラグナの言葉を聞いて驚愕するリオ。
「う、嘘……じゃぁ、まさか……まさか……ルテリオは精霊神になった事で小さなロリババァになったって事!?若返りなんて詐欺じゃないかぁぁぁ!!」
うがぁぁっと騒ぐリオ。
だが直ぐにハッとするとラグナに尋ねてくる。
「ラ、ラグナ君はルテリオに何もされてない!?」
「いえ、特には何も……あっ……」
何をされたって訳ではないが、ルテリオに対して行っていた事を思い出していた。
「なになになになに?なにされたの!?何されたの!?」
「いや、その……」
ちょっと言い辛そうにしているラグナを見て何かを察したらしい。
「もしかして、キスとかされちゃったり……?えっ……?ロリババァめ、やりやがった!?」
またもやラグナの身体を掴んで激しく揺さぶり始めるリオ。
「ち、違いますよ!!そんな事は全くしてませんから!!」
そう言うと、今度は逆にラグナの顔を両手でガシッと掴むと、ジッとラグナの顔を見つめ始める。
しばらくそうしていたと思ったら……
「本当に……?」
「本当ですよ!ただ、魔力が欲しいと言われたのであげたくらいですよ?」
「えっ!?」
「えっ?」
リオの反応に驚くラグナ。
「えっ?えっ?えっ?えぇぇぇぇぇぇ!!!」
「うるさいですって!!なんでそんなに驚く事なんですか?」
「だってだってだってだって!!魔力だよ!?」
「魔力ですけど……それがどうかしましたか?リオさんにもあげてるじゃないですか。」
「私に魔力をあげた意味とは全然違うよ!!だって、だって、だって、だって!精霊に魔力っていったらアレじゃん!」
慌てふためくリオに対して首を傾げるだけのラグナ。
「アレって??だから何がなんです?」
「もー!!何で気が付かないの!!精霊に魔力を渡すって事は契約したって事じゃないの!?」
「契約……?でも、別にそういう感じは無かったですよ?」
「ほぇ?契約したんじゃないの??」
「いや、そんな話は全く……僕が練った魔力をもぐもぐと食べてただけですよ?ルテリオ様もおやつ感覚みたいな感じで食べていただけですし……」
「おやつ感覚……??」
「はい。ただ僕の魔力を食べていただけなんですよ。本当に契約とかそんな話は全く……」
「……えっと……なら許す。」
何故かはわからないけど、リオ型のゴーレムの顔が真っ赤に染まっていた。
「そ、そうだ!!これからの事を考えなきゃいけないね。ちょっと待って。ミオンが暇か聞いてくるから。」
リオはそう言うとゴーレムの目が閉じて動かなくなるのだった。
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