第9話

「分かった。それでは新しい人生は希望通りの世界への転生とさせてもらおう。」


転生と言うことは新たに生まれ変わるということでしょうか?


「うむ。そうなる。如何せん元の世界には既にお主の肉体が存在せぬからな。」


わかりました。一つだけお願いがあるのですが…


「願いか。内容にもよるが…」


無理なら大丈夫です。自分が死んだ後どうなったか知ることは可能でしょうか?


「うーむ…まぁ仕方ない。今回だけは特例で許可しよう。時間軸の関係上死んだあとの映像だけだ。未来については私が見せてしまうと、そうなると確定して道が出来てしまうのでそれだけは出来ぬ。」


大丈夫です。亡くなったあと数日だけで大丈夫です。


「それくらいなら構わぬ。しかし今現在どの位時間が経っているかなどについては一切教えることが出来ぬ。世界の秩序が崩壊してしまうのでのぅ。」


わかりました。その条件でよろしくお願いします。


「うむ。それじゃあ今からそちらの意識に映像を送る。」


そういうと創造神様は俺に向かって手をかざした。

頭の中に飛び飛びで映像が流れてきた。




「おい!なんか凄い音したぞ!」


「なんでこんな雲一つ無い状態で落雷なんかあるんだよ!」


「とりあえず近くに落ちた様に見えたから見に行くぞ!」


複数のテントサイトから数人が俺がいた場所に向かう所か。


「誰か椅子に座ってるぞ!」


「落雷大丈夫かー?」


「おーい、大丈夫かー?」


あの時座って焚き火してたからなぁ。


「そこで座ってる人大丈夫ー?」


「あれ…可笑しくないか?聞こえてるはずだよな?」


「なんか変だ。急ぐぞ。」


数人が走って俺の所に来てくれていた。


「あんた落雷大丈夫だったか?」


そう言いながら俺の肩を叩く男性。


そのまま倒れ込む俺。


「おっ…おい!大丈夫か!?」


「まじかよ。眼を開けたままだぞ!」


「やばい!呼吸が無い!脈も感じない!救急車と管理人に急いで連絡だ!」


次の映像に切り替わる。




「うっ……バカ兄……っ……」


「バカ息子がっ……親より先に逝きやがって……」


「翔弥ぁぁぁ……」


これはキツい… 


裏にいるのは医者か…


「死因が不自然過ぎる。心臓だけピンポイントで焼き焦げてる。落雷なら通常皮膚などにもダメージが有るはずだ。」


「確かにそうですよね。身体は綺麗なままでしたし。」


「後は警察の判断に任せるか。」


現代科学では解決出来ないでしょうよ…


まぁ…まだまる焦げの死体じゃないだけ良かったとするか…


病室の外でも泣き声か……


「っ…翔弥君……」


「大丈夫か?彩華あやか君」


「社長……っ……すみません……私が止めていたら……」


「君が気にする必要なんて無いよ…コレばかりはどうにもならん…」


「せめてっ……一緒に着いて行っていたら……うぅっ……」


先輩……先輩は何も気にしなくていいよ……


「特別じゃからな…」


創造神様が手をかざしてくれていた。


「!!今翔弥君の声がっ……」




彩華先輩、俺の為に泣いてくれてありがとう。


そして、何時もバカ騒ぎの相手してくれてありがとう。


言えなかったけど先輩のこと好きでした!


幸せになって下さい!




「翔弥君!私もっ……私も君のことが好きだったよっ…」


「まさか!…こんなことが…」




社長…短い間でしたが大変お世話になりました。


仕事。本当に楽しかったです。本当に申し訳ない無いですが彩華先輩をお願いします。




「あぁ……任せてくれ。君がびっくりするくらい更に会社を大きく、キャンプ業界でトップにまで登りつめて見せるから楽しみにみていてくれ!」




楽しみにしてます!


それじゃあ彩華先輩。今までありがとうございました。




「翔弥君……君が後悔するくらい幸せになってみせるからっ……」




「ふぅ…こんなもんかのぅ。少しばかり現世に干渉してしまったが…」


ありがとうございます。でも…大丈夫ですか?


「まぁこの位はな。後で上級神あたりには小言を言われるかもしれんがのぅ。」


なんかすみません。でもおかげで次に進めそうです。


「それなら良かったわい。それじゃあ…そろそろ行こうかのう。」


わかりました。よろしくお願いします。


「それで君が新たに行く世界だが、スキルと呼ばれるものがある。すまぬが好きに選択することは出来ない。」


どういう基準でスキルが決まるのでしょうか?


「詳しくは言えぬが…その人の魂の情報、願望に左右される。後は努力次第だな…」


それだけ聞ければ大丈夫です。欲しいスキルが見つかったら頑張ってみようと思います。


「それじゃあ改めて。今回は本当にすまなかったのぅ。それじゃあ次の君の人生に幸せあれ!」


はい、頑張ります!


創造神様の両手が俺の方に向けられて光り輝いた。


「スキルは少しオマケしておいたからのぅ。」


「えっ…!」


光に包まれて意識が途絶えた。

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