勇者に恋をしたモブな子爵令嬢、家を追い出されたので勇者を探し出して添い遂げますわ。~勇者は、長くて白い髪が特徴の美少女ですが。なにか?~
第11話 冒険者としての初仕事なのに赤の勇者と同行。魔障がらみでしかたないですわ
第11話 冒険者としての初仕事なのに赤の勇者と同行。魔障がらみでしかたないですわ
クルエールの街から少し南西に酪農業が盛んの村を通り過ぎ、赤の勇者グレン一行と共に私とナディアは、不穏な空気を感じる森の前にいる。
ここまで来るのにまさか街で馬車を借りるなんて――――。
あのグレンは、自前の馬車持ってるし。
まぁ、勇者なのだから長旅もあるだろうから、考えれば持っていて当たり前なのよね。
しかもグレン一行全員、御者が出来るなんて……。驚いていると私が出来ない事に、あのグレンに鼻で笑われてしまった。
悔しいったありゃしないっ!! 出来ない事よりあの憎たらし顔を見てしまった事に悔しいのっ。
少し奮発して――――まぁ、私からしたら微々たるもんですが、御者の人含めて借りてやったらグレンがイラついていたので、内心凄っく喜でやったわ。
「あの村の人達の証言、それに依頼内容通り。この先の森の中にヤツらはいる」
「依頼内容、森に潜むゴブリンの群れの討伐……だったな」
「それにしても、ゴブリンなんて。私達がする事ぉー?」
「まぁまぁ、エンレイにフレア。村人達が困ってるのですから、そこは〜ねぇ」
エンレイは、赤みがかった金髪の長い髪をし甲冑を身につけた目尻がとんがった目の女性だし。
フレアは、その隣とんがり帽子から少し見せる赤緑色の髪、目付きは鋭く、如何にも魔法使いって感じ。
こう見ると、ナディアの姉シエンが優しそうで物腰柔らかそうなの。
シエンが何故、この自分さえ良ければいいという考えをしたグレンの仲間になったのか?
頭を悩ませてながらシエンやナディアを眺めているが、全くわからない。
そんな疑問が募る中、グレン達が目を合わせ武器に手をかけ腰を低く身構えながら辺りを気になりだした。
目の前に近づくのがいるわ。口にしないがいちおう私も剣の柄を持つ。 するの2つの黒い影が陽炎のように地を這い私達の目の前に、そして黒い影から姿を見せる黒い肌のゴブリンが2体。
「ブラックゴブリン。魔障……当たりだな」
「グレン、エンレイっどいてっ!!」
フレアの声にグレンとエンレイが、ブラックゴブリンから離れる。
フレアとブラックゴブリンの一直線。
フレアの杖から複数の石が放たれ、ブラックゴブリンの身体にめり込み倒れる。
その間に、グレンがブラックゴブリンを倒している。
「ちっ、なんだ今の現れ方?」
「魔障のスキルってやつかも」
「ほんと、影移動ってやつ?」
険しい顔をしているグレン達は、警戒しながら奥に向かう。
やはり勇者であるし、長年組んでいるパーティーなのは分かったわ。
心配なのは、もしアイリスと出会って直ぐ連携したら私達、絶対相思相愛よっ。だって、あのグレンのパーティーよりも短いじゃない……目と目があって次の行動――――でも、目と目があったら見つめちゃうかも……。
「……ベ……ル?」
「……リベル?」
「マリベル!!」
「なっ!?」
ナディアの大声で、我に返る私。
ムッとしたナディアは、既に離れてしまったグレン達の方を指す。
「何、しているの? グレンたち先に行ってるから、早く」
「いや、見事だなぁって」
「はぁ、デレデレした顔でそんな事全く思ってないでしょ」
「デレデレ?」
「魔障関係なのに、全く何を妄想していたんだか……」
「いいでしょ!!」
先に行ってしまったグレン達、私とナディアはその後を追う。
「何か、聴こえる」
「お姉さん、グレン達の声」
「ゴブリンのあの声もだわ」
頷きあう私とナディアは、駆け足でその声の所に向かう。
グレン達の姿が見えるとその向かいには、ブラックゴブリン数十体。それに一つだけ大きなゴブリンがいる。
苦戦を強いているグレン達に、飛び交うブラックゴブリンの喚き声。
「いけるか! フレア、シエン?」
「あと数発、放てる!!」
「回復に専念するわ」
「グレンお前は?」
「そんな無駄口叩けるならエンレイお前もいけるな?」
ブラックゴブリンの攻撃に翻弄されているグレン達。
それを見たナディアの表情が、強ばっている。
「お、お姉さん!!」
「待ってっ」
「はっ、離して」
私は、咄嗟に行こうとするナディアの手を引き怒鳴る。
「いまのナディアが行っても――――変わらないわ」
「逃げる突破口になれる」
「あの勇者なら、逃げるどころかナディアが入ってきたことで更に戦うわ」
「なら」
「少し落ち着いて」
深呼吸するナディア。
目の前でナディアの姉シエンが、顔を歪め苦しそうな表情をしているんですもの。早く助けに行きたいのは分かるわ。
今グレン達の状況、多勢に無勢。何も手立てもなく突っ込むのは無謀。特にやばいのは真ん中の大きなムキムキのゴブリン。アイツさえいなければ、ゴブリンは魔障からだろうが所詮ゴブリン。
「どうする?」
「木の枝にいる弓兵の……ゴブリンアーチャーとゴブリンメイジが、厄介だけど。1番厄介なのはあのムキムキのゴブリンジェネラルよ」
「アーチャー、メイジ!! ジェネラル!?」
「ナディア、少しだけ時間貰うわ」
私の言葉にナディアはグレン達の戦いを何回も見返している。
「ジェネラル一体だけならグレン達でも倒せたけど、何十体もゴブリンに囲まれてたら……」
「そうね……」
ナディアの腕を掴かんだまま私は幾つもの言葉を言う。
正確には《メニュー》から魔法を選んでいるだけなんだけどね。
私の掴んで離さない手から魔法が幾つも掛けられているのが分かるのかナディアは、目を丸くしながらソワソワし出す。
「さぁ、終わったわ。これで楽勝!!」
「マリベル、何を?」
「まだ、私はランクが低いからねぇ。ナディアには大いに目立ってもらわないと」
「ぇっ、で何をしたの? この感じ、この前と」
「そうね。攻撃力向上、防御力向上、魔法防御向上に敏捷向上と……あと――――」
「……あぁ、もぅそんな事出来るなんて」
「そう、持続回復と聖属性付与!!」
「詠唱すらなかったし、なんだか頭が痛い」
「ボソボソ言ってたじゃない」
「短いんだけど……まぁ、もういい。これで戦えのね!!」
「ええ、早くお姉さんを助けましょ」
ナディアは、颯爽とグレン達が戦う場へ目指す。
私も少しだけ活躍させて貰うわ。Bランクの依頼だし、勇者パーティーを助けたとなれば私のランクは上がるわ。
さぁ、ゴブリン共その命を持って、私のランク上げに協力してちょうだい。
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