違和感
みんなはさ、違和感ってのを感じたことあるか?
人が話してて、その人が言ってることに違和感があって、実は嘘をついていたとか。沢山ものが並んでる写真を見て違和感を感じたと思ったら、一部分だけ合成だったとか。
俺もある。
ただ、俺のは違う。俺は漠然としてるものじゃなくて、はっきり見えてるものに違和感を抱く。
どういうことかわからないって?例えば俺は高校であった。
新学期でクラス替えがあって、高校なもんだからそりぁ人が多かった。前の年に一緒になったやつなんてほんの少しで、あとは見たこともない奴らだった。だけどその中に十人かもう少し多かったくらい。
なんだか”違和感”を感じるやつがいた。
そいつが変な奴って訳じゃない。勉強が全くできなかったり、頭がおかしかったわけでもない。そいつら自身に違和感があった。
見た目とか言ってることにじゃない。
存在にだ。存在に違和感があった。そいつらが存在してることがおかしいって感じだ。
そりゃあクラスのやつに聞いた。だけどそんなことはないって言ってた。気にしすぎなんだよとか言われた。よく覚えていないが。
それから数字にも違和感があった。数学とかの話じゃない、クラス人数だ。俺は二年四組だったがそれの「二年四組 58人在席」ってのに違和感があった。何かがおかしい感じがした。
それにそういうことについて考えると頭が痛くなった。いや違うな。頭が霧がかってるみたいな感じがした。
クラス人数とか違和感がある奴について考えると、頭がぼやーってしてなんだかとても大事なことを忘れているような気がした。
それに街とかに出かけたときも、テレビを見た時も違和感がある奴はいた。
だけど違和感を感じる奴には特徴があった。
そいつらの情報を目にすると霧がかかった感じがする。
名前、生年月日、名簿番号、そいつとの思い出すらだ。それを考えるたびに何かを忘れているような、なんとも言えない気分になる。
これについてずっとなんなのかわからなかった。だけど最近気づいてきた。
今まで言ったのはほとんどが人だった
もしくはその個人に関する情報とかだった
だけど一つ違うものがあった。
クラス人数だ
クラス人数だけ個人に関わることじゃない。もっと大きなことだ。俺は今まで違和感のあるものが多すぎて目を背けていたが、一つに絞ることができた。
その結果、おかしなことに気がついた。
俺は今までずっとこれだと思ってきたが、変なことに気がついた。今まで考えもしなかった。
クラスの生徒が多すぎるんだ。
五十八人もいるとなると俺の高校の教室じゃ物理的に入りきらない。だったらクラスを増やすとかあるだろ、そもそも高校なんだから新入生を調整できるはずだ。
そして新たな疑問も出てきた。本当に今までそうだったのか?今まで五十八人もいたか?
四十人くらいじゃなかったか?
もしクラスの人数が四十人なのが正しいとすれば、余る十八人は何だ?
そう、多分これが多分俺が違和感を感じていたやつの正体だ。
だからそいつらに関することを考えると頭に霧がかかったみたいになるんだ。存在しないからな。俺の頭の中だけだからな。
それがわかってもそいつらは消えない。相変わらずクラス人数は五十八人だし、違和感は残ったままだ。これが間違ってるかもしれないのと、単に俺がこの仮説を信じきっていないからだと思う。
だけど机上の空論にしては辻褄が合いすぎる。クラスで溢れた分と違和感を抱くやつらが大体同じ人数なのも、クラスのやつに聞いたことがほとんど記憶にないことも。
だけど
だけど
もしこれがあってるとしたら
どういうことなんだ
誰か教えてくれよ
なんで鏡に映る俺にあの違和感があるのかを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます