お姉ちゃん @Ren_Sato様

【タイトル】 お姉ちゃん

【作者】 @Ren_Sato

https://kakuyomu.jp/works/16816700426023392206


 今作はそっくり、姉妹双子です!

 お話は姉である咲夜視点で語られるのですが、姉である皆さんは共感できるのではないかと思います。私も姉なので、わかるー。のオンパレードでした。


 年上だから下に譲って、我慢して。って下に妹や弟がいるといわれがちです。年の離れた兄弟であればそういわれてもまだ納得できるのでしょうが、一、二歳しか離れていないとなんで? って気持ちが大きくなります。大人のくくりから見たら同じ子供なのに、なぜ少し早く生まれたくらいで下に譲らなければいけないのかと。

 咲夜の場合はその相手が双子の妹です。ほぼ同時に生まれてるんだから、姉とか妹のくくりはほぼ無意味では。と思うのですが、それでも「お姉ちゃん」って言われると、真面目な子ほどそれに答えなければいけないと思ってしまうものです。


 咲夜は器用でなんでも平均以上にできるタイプ。頭もいいし、運動神経もいい。親の言いつけもしっかり守る優等生です。

 それに比べて双子の妹の陽愛は不器用。体も弱くてすぐに熱もだすし、親にもわがままをいうし、甘える。典型的な妹タイプです。


 親から見てしっかりした咲夜とまだ手のかかる陽愛のどちらを優先するかといわれると、やはり陽愛を優先してしまうのでしょう。咲夜はしっかりしたいい子だから面倒みなくて大丈夫という固定概念が出来上がってしまっているのが読んでいるだけで伝わってきます。


 けど、咲夜だってまだ子供です。親に甘えたいときだってあるし、自分と同じ顔で親に甘やかされる陽愛を見ていたら思うところもあります。それでもお姉ちゃんですから、それを態度には出せないわけです。


 それに咲夜にはもう一つ気がかりなことがありました。咲夜はなんでも平均以上にできる万能タイプですが、一つのことに熱中することができません。どこかでブレーキをかけてしまうのです。それに比べて陽愛はこれと決めたらやり続ける熱中タイプ。最初は咲夜の方がうまかったピアノもいつのまにか陽愛の方が上手になっていて、それに対して咲夜はコンプレックスを抱きます。


 双子であり姉妹であり別々の人間である。そうした成長過程の少女の葛藤が描かれた作品です。ライトノベルというよりは文芸系の文体と作風は刺さる人には突き刺さるでしょう。私も刺さりました。


 思春期の少女の葛藤が好きな方は大変好みだと思いますので、どうぞ読んでみてください!

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